RIFF MONSTER

89年頃からメタルにどっぷり浸かり、いまだに抜け出せない中年リーマン。メタルに限らず「…

RIFF MONSTER

89年頃からメタルにどっぷり浸かり、いまだに抜け出せない中年リーマン。メタルに限らず「過剰」で「やかましい」音が大好物。

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  • Metal Music Monologue

    メタル関連のディスク、書籍、ライヴなどの感想を中心に。

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Best Metal Albums of 2023

 今年は散漫にならないよう、例年の25枚から20枚に厳選。メタル界全体を捉えるだけの意識も視座の高さもないため、今年のトレンドを言い当てるのは難しいですが、個人的に着目していたのは、 ・自分のスタイルを高次元な領域で突き詰め切ったアーティストが、次の一手としてどんなアプローチをしてくるか? ・ポップミュージックとしてのメタルの中での、新しいポテンシャルを発見できるか? ・スタイル的な革新性はなくとも、強引に聴き手を振り向かせるだけの強力な楽曲・演奏(特に歌唱)を堪能できる作

    • Overkill全アルバムランキング

       40年近くに渡って活躍しているNYのスラッシュレジェンドOverkill。ここ十数年、第一線で安定した活動をしているせいか「スラッシュメタル界のAC/DC」的な頑固一徹バンドのイメージで語られたりすることもありますが、実態は結構音楽性に関して紆余曲折があったバンド。  ちなみに、ディスコグラフィー的にメタルアーティストレビューを行う「OtOfrE」でもOverkillは取り上げられているものの、初期以外の作品はレビューされていなかったりもして、通史的にこのバンドのことを捉え

      • Helloween作曲者別楽曲分析

         ハロウィンを「作曲」という軸で見ていくと、その大きな特徴は、初代ドラマーのインゴ・シュヴィヒテンバーグ(Dr)と3代目・現ドラマーのダニ・ルブレ(Dr)以外の8名の歴代メンバーがコンポーザーである点。しかも共作が少なく、各メンバーがそれぞれの楽曲を持ち込み、民主的に楽曲を選択するシステムを採用しているにもかかわらず、「ハロウィン印」と呼べるようなサウンドの一貫性を保っているのが特徴であり、面白さでもあります。ちなみに前回記事では、ハロウィンの全アルバム楽曲平均点比較をしてみ

        • Best Metal Albums of 2022

          改めて22年のメタルシーンを振り返ってみると、印象的な潮流の1つとして、今までメタル発展途上エリアの印象が強かった日本を含む非英語圏アーティストの躍進が挙げられるかと思います。歌詞がほぼ聞き取れないグロウル/スクリームスタイルのVoが主流となり、メタルを英語で歌う必然性が薄れたことによって、アングロサクソン系文化の追従にこだわらない(憧憬しない)非英語圏のアーティストが増加。結果自然発生的にメタルシーンのグローバリゼーションが進展、特に今年はその新しい音楽的可能性が一気に

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        Best Metal Albums of 2023

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          16本

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          【Disk】Helloween全アルバム楽曲平均点比較

           2021年のマイベストアルバムにも選出した7人編成ハロウィンの最新作。各国のレビュー見ても、概ねアプローチについては肯定的に捉えたものが多かったように思えます。ちなみに自分が本作成功のポイントとして挙げたのは下記の5つ。  ①キスクの伸びやかな高音による圧倒的な高揚感を伴った、流麗なハロウィン節の復活  ②アンディ期楽曲アプローチの肯定(安易な「守護神伝」回帰の否定)  ③実力派Vo2人を活用したツインボーカルの効果的アレンジ(デニス・ワードの貢献大)  ④楽曲平均値の圧

          【Disk】Helloween全アルバム楽曲平均点比較

          【聴き逃し名盤を探せ】Metal Hammer writers' top metal albums of 2021

           今年も発表された”Metal Hammer”誌の音楽ライターが選ぶベストアルバム20選。32名の編集者・ライター達が2021年のアルバムTOP20を選んでくれています。  Louder(Metal Hammer), Kerrang!, Blubbermouthといったメタル系音楽サイトのレビューもサクッと目は通しているものの、英語の分かりづらさ(ビジネス英語では見慣れないような表現や俗語がやたら多い)や批評スタンスの違いもあったりして、メタル新作情報網はどうしても日本語で

          【聴き逃し名盤を探せ】Metal Hammer writers' top metal albums of 2021

          Best Metal Albums of 2021

           改めて2021年のメタルシーンを振り返ってみると、ポストメタルの新たな萌芽の感じられるサウンドの登場、ニューウェーブとメタルの今までにない新たな融合アプローチなど局所的には面白いものは発見できたものの、シーンを大きく揺れ動かすような特徴的なサウンドや、新しいスタイル=サブジャンルは登場してきておらず、メタルというジャンルを音楽的に大きく発展させるような衝撃的な音・スタイルにはあまり出会わない1年ではありました。ただ一方で、個人的に年初から期待していた「メタルサウンドにおける

          Best Metal Albums of 2021

          【Disk】Gojira / Fortitude

           何気に「名盤」の定義って難しい。                        強いて言えば、革新性(音楽面、カルチャー面、演奏・技術面、サウンドプロダクション面)、音楽的完成度(演奏、楽曲、詞、コンセプト、編曲、ミックス、プロダクション)、社会的支持、批評家・ミュージシャンからの評価など、様々な観点から見て総合的に判断という感じなのかなと思っていますが、難しい定義に照らし合わさなくとも、長年音楽聴いてると「これは何年経っても語られるような凄い曲が揃った作品だな」とか「こ

          【Disk】Gojira / Fortitude

          【映画】「ロード・オブ・カオス」

           ブラックメタルに特別の愛着はないですが、面白そうな内容だったので話題の映画「ロード・オブ・カオス」観てきました。  中身は、ノルウェーを中心とした90年代初頭のブラックメタル黎明期に起きたブラックメタルバンドのメンバーによる教会放火、殺人等のショッキングな事実を元に若干の創作を加えたドキュメンタリータッチの映画で、そういう意味ではフレディ・マーキュリーの人生をよりドラマティックに脚色していた「ボヘミアン・ラプソディ」的映画と言えるかもしれません。ただ、かたやQueenメン

          【映画】「ロード・オブ・カオス」

          【Disk】White Void / Anti

           BorknagarやSolefaldで活躍しているノルウェーのマルチプレイヤー・Lars Nedlandの新プロジェクト。どちらのバンドも比較的活動歴は長いにもかかわらず、正直いずれの作品も聴いたことはなかったのですが(どちらもWhite Voidの後にちゃんと聴きしましたがとてもクオリティ高い)、Tower Recordのサイトだったか、"Blue Oyster Cult meets New Model Army"という表現で紹介されてたこともあって興味をそそられ、試しに

          【Disk】White Void / Anti

          【Disk】Iron Maiden全アルバムランク付け

           前回の投稿で6人編成以降のIron Maiden全曲レビューをやってみましたが、今回はIron Maiden全アルバム16枚をランク付けしてみました。  ちなみに自分がメイデンを最初に聴いたのは、今から32年前の89年。Bon JoviやHelloweenを切っ掛けにちょうどハードロック/メタル系の音楽を熱心に掘り始めた頃で、確か兄貴が買ってた「Young Guitar」誌のバックナンバーを読んでたら"Seventh Son of a Seventh Son"の高評価レビ

          【Disk】Iron Maiden全アルバムランク付け

          【Disk】6人編成以降のIron Maiden全曲レビュー

           様々なものをSからDといった感じにランク分けることの出来るTierMaker。  ”Metal”というカテゴリー区分もあり、様々なアーティストのアルバムランキング(アーティスト内相対評価にするか絶対評価にするかは個人の自由)も公開されています。英語圏の人が多いこともあり、日本との評価の差異も分かって面白いのですが、見てるだけでなく自分でもやってみようということで、アルバム数の多い歴史の長い大御所バンド、Van Halen、Led Zeppelin、Black Sabbat

          【Disk】6人編成以降のIron Maiden全曲レビュー

          【Disk】Soen - Imperial

           今回取り上げるのは、ここ最近一番のお気に入りの新譜であるSoenの新作。OpethあるいはToolといったワードのもとでその音楽性が語られることが多いですが、12年のデビューから通算5作目にあたる本作では、そうした例えがもはや不要になるくらいの個性の確立と素晴らしい音楽的成熟を遂げており、プログレメタルというマニアックなフィールド内で評価されるだけでは本当に勿体ない、非常にスケールの大きな「王道ロック感」を醸し出しています。ここで王道ロックという少し曖昧な言葉を使ってますが

          【Disk】Soen - Imperial

          これを聴いてたら恥ずかしい!? ー”Guilty Pleasure Metal Songs”

           先日の音楽系YouTubeチャンネル「みのミュージック」では、恥ずかしいけどこっそり好きで聴いてる曲="Guilty Pleasure Songs"が話題に。 まあ笑い半分のお気楽企画ではありますが、欧米で作られたプレイリストを眺めると、ある一定の傾向があり、やたらきらびやかなアレンジやプロダクションが施されていたり、コテコテの甘いメロディの曲だったりと、どうやら「典型的な80年~90年前半の音」がダサい音扱いされているようで、ちなみにハードロック周辺音楽では、 ・

          これを聴いてたら恥ずかしい!? ー”Guilty Pleasure Metal Songs”

          The 20 Heaviest Metal Riffs Ever

           下の記事は、少し前に音楽サイト「LOUDER」に載ってたドゥームメタル・バンドSprit Adrift/Gatecreeperのギタリストであるネイト・ガレットが選んだ"10 Heaviest Metal Riffs Ever"。  こうしたセレクションものは、その人の好みと聴いてきた音楽の引き出しに依存するので、ネイトのセレクションについては「PowertripとかNeurosisとか良いとこ選んでる!」的な感想しか言えないのですが、個人的にもRiff Monsterの

          The 20 Heaviest Metal Riffs Ever

          【Disk】Azusa / Loop of Yesterdays

           プロアマ問わず、ここ最近メタル周辺音楽の批評として一番信頼しているのがs.h.i.(@meshupecialshi1)氏の論考。ツイッターアカウントでの投稿や、はてなブログで掲載されている「Closed Eye Visuals」におけるセンス、分析力、視点の鋭さ、音楽的知見の豊かさには圧倒されっぱなし。で、そのs.h.i.氏が「2020年・メタル周辺ベストアルバム」の1つに選んでいたのが、今回紹介するAzusaの2作目。元Extol、元The Dillinger Escap

          【Disk】Azusa / Loop of Yesterdays