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カナダで保育:言い訳が出来るようになったのは成長の証拠?


今日は2023年最後のお仕事の日でした。

世の中はクリスマスムードで、有難い事にこの時期には保護者の方たちから色々なプレゼントを貰います。

多いのはスターバックスやアマゾンのギフトカード、それとチョコレートやドーナツでしょうか。

今日は特にどのクラスも、カウンターの上には保護者から貰った沢山のスイーツが所狭しと並んでいました。


そして来月は2日にセンターが開きますが、その時にクラスの移動をする子ども達がいます。

基本的には新学期、9月に上のクラスに移動なのですが、その上のクラスに空きがあったり、下のクラスの子どもの年齢によって1月に移動がある事もあります。


そしてそれらを踏まえて先日主任会議がありました。

私の園は3クラスあって、それぞれのクラスに主任がいるので(私は真ん中のクラスの主任です)その3人+マネージャーで現状や今後の事についてなどを月一の会議で話し合います。

主任も普段は普通に一保育士としてフロアにいるので、その間はサブの保育士を頼んで代わりに入ってもらいます。


その会議の間にこんな話が出ました。

クラスでChallenging Behavior(直訳で「挑戦的行動」何か周りに安全面で問題が出るような行動)をとる子どもがいた時などに、保育士が

「No hitting(叩かないよ) 」
「You can use your words(言葉を使おう)」

などと言っているのをよく聞くけれど、これはよろしくない、という話です。

まぁこれ自体が悪いというわけではなく、要するにこれだけを伝えても子どもは「じゃあどうするの?」となるわけです。

なのでその後にどうするのか、どういう事が出来るのかというのを具体的に伝えるのが必要であるという事です。


これには全面的に賛成で、子ども達はまだ選択肢をそんなに持っていないので、じゃあどういう方法があるのかというのを一緒に話し合ったり、どんな事が出来るのかを伝えていく事が必要になります。

そしてそれは具体的な事でなければ子ども達はイメージを掴めず、理由もわからないので、自分の知っている方法で自分なりにその状況を解決するようになる、つまり力ずくで相手から何かを取ったりなどの行動するわけです。


ただ、子どもは(まぁ大人もですが)自分の体をきちんとコントロールできるわけではなく、わざとではないけれど相手を傷つけてしまったりする事もあります。


今度うちのクラスから上のクラスに行く男の子は、自分のフラストレーションが溜まっているとおもちゃをなぎ倒したり、興奮したり思い通りにいかなかったりする時に友達にとびかかってしまったりする事があります。

その度に話をして、それ以外にどんな事が出来るのか、どんな方法があるのかという事を伝えてきました。

最近はそれらの行動もかなり少なくなり、逆にそういう行動をしている友達にどうすれば良いのかを伝えている場面もあり感動させてくれました。

ただこの子、かなり頭の回転が速いというか良いというか、言い訳を身に付けるのもかなり早かったんです!



先日その子が三輪車に乗っている時に、どう見てもわざと他の子の所に突っ込んで行って相手の子が転んで大泣きさせてしまうという事がありました。(怪我はありませんでしたが)

なのでそれを見ていた保育士が注意すると

「It was accident(事故だった)」

と言ったそうです。



クラス内で、例えば踊っていたり何かに夢中になって周りが見えていない状態で体を動かしていた時などに誰かにぶつかり叩いたような形になって、相手の子が「叩かれた!」と言っていた時に、保育士が

「I saw it, it looks hurt when you got his/her hand. But I think it was accident. She/He didn't mean to hit you.」
(見てたよ、彼・彼女の手が当たって痛そうだったね。でもアクシデントだったと思うよ。あなたを叩こうとはしてなかったみたい)

などと伝えて、痛かっただろうけどわざとではないんだよという事を伝え、叩いて(手をぶつけてしまった)子には

「I know it was accident. I saw it your hand got your friend when you were swinging. So let's check who is near you when you swing your arm」
(アクシデントだったという事はわかってるよ。腕を振り回している時にたまたまお友達に当たっちゃったみたいだね。次に腕を振り回す時は周りに誰がいるかを確認しようね)

という風にわざとではないのはわかっているから大丈夫だよ、でもそうならないように気を付けようね、となります。

この場合、子どもに罪悪感を与えるのではなく、次は気を付けようという前向きな気持ちで受け止めてくれるように促していきたいからです。


ただ、この明らかにわざとぶつかっていったとき、保育士に見られていたと気が付いての最初の一言が

「it was accident!」

だったという事は、つまりわざとじゃなくたまたまぶつかっただけで自分は悪くない、とこの子は言いたかったわけですね。


この危険回避力、というか相手にどういう言われるか、何を言われるのかというコンセプトがわかるようになると色んな言い訳が出てきて、これが出てくると

「はい、上のクラスに行く時期になりました!」

という感じがします。

だってうちのクラスの殆どの子ども達は、何かあからさまに悪い事をしていたとしても満面の笑顔で

「I did it!」(私・僕がやった!)

って誇らしげに報告しちゃうので。


具体的に物事を伝え、その理由を伝える事も大切ですが、人間こうして言い訳を覚えていくのかなぁ、とも思った出来事でした。

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