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怖い話

私は、賃貸の日本家屋に住んでいる

少し古めだが広々としていて庭もあるし
私が入居する前に大家さんがわざわざ水回りもキレイに
リフォームしてくれてすこぶる快適に過ごせている良い家だ

ご近所さんたちもみんないい人で
普段からにこやかにあいさつしてくれる

なぜこんないい物件に今まで借り手がつかなかったのだろうか

ただ、とある朝

ゴミ捨てのために家の外に出て歩いていたら
いつものご近所さんにギョッとした顔をされた

すぐにいつもの笑顔になって挨拶してくれたけど
なんだったのだろう?

不思議に思いながら部屋に戻って風呂場の前を通りがかったら
洗面台に髪の毛が何本も落ちていることに気がついた

おかしい

昨日の夜掃除したはずなのに

不意にさっきのお隣りさんの驚いた顔を思い出す

お隣りさんにはいったい何が見えたのだろうか

急に恐ろしくなった私は逃げるように自分の部屋へ駆け込み
ベッドで布団をかぶって震えていた

震えながら、なんとか冷静になろうと深呼吸を繰り返す

スゥーー・・・ ハァーー・・・
スゥ――・・・ ハァーー・・・

少し 落ち着いただろうか

すると、シーツを握りしめていた私の手に
別の何かを一緒につかんでいる感触があることに気が付いた

おそるおそる手を開いて見てみる

手のひらには、髪の毛がびっしりと張り付いていた

それほど長くはないが染めたこともなさそうな黒々とした色

これは…

私の髪の毛だ

何本…抜けたのだろう

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