海山道凛太郎

ちょっとしたストーリーや、日々思ったことを載せています。 みなさんの思考のエッセンスに…

海山道凛太郎

ちょっとしたストーリーや、日々思ったことを載せています。 みなさんの思考のエッセンスに。 いろんなジャンルの投稿をしていきますので、気に入ったらフォローしていただけると嬉しいです。 よかったらシェアなどもしていただけるとありがたいです。 よろしくお願いします。

マガジン

  • タイトルのない英雄譚

    私が書いた短編ファンタジーを少しずつ組み合わせて、ストーリーにしていっています。転生モノでありながら、ほとんど転生モノの特徴はありませんし、ある意味ファンタジーっぽさもない私小説風です。 少しずつ書き加えていくので是非読んでいただけると嬉しいです。

最近の記事

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【掌編小説】深夜、海沿いの道の駅で

私は、車に乗って一人旅をしていたことがありました。 行先も決めずに、車に毛布と着替えと歯ブラシを積み込んで、一路田舎へ。 渋滞を避け、のんびりと走るドライブ旅。 FMラジオをかけ、その地方の地元の情報番組を聞きながら、ご当地グルメや、聞きなれない名所はないかと、ふんわり思いながら運転を楽しんでいました。 走りながら道沿いに出てくる看板を頼りに、道の駅やスーパー銭湯で休み、「The観光地」になっていないようなちょっとおとなしめの名所や温泉をまわる旅は、仕事から離れてリフレッ

    • 10分の遠回り

      私は最近、ちょくちょく仕事帰りにちょっと遠回りする。 理由は、別れた妻と一緒に暮らしている9歳になる娘がピアノを始めたから。 仕事帰りの午後5時ごろ、職場から家まで10分程度の道を少し回り道して娘たちの住む家の前の道を通るだけ。 10分くらい遅くなるけど、娘が頑張って練習しているその音だけでも聞けるのなら、まったく無駄に感じない。 どうやら練習する曜日を決めているようで、あの子が練習する月曜、水曜、金曜、その日は散歩がてら「遠回りを楽しむ日」に決めた。 ーーーーーーー

      • 人間とバナナ

        会社の送別会の三次会のとあるスナックにて 酔った若手が 「人間とバナナの遺伝子って50%が同じらしいんですよ~  僕の半分はバナナなんですよね~」 と言っていたんです。 「人間の半分はバナナ」 「バナナの半分は人間」 って思って考え始めたら、保育園の遠足の時の定番の 「先生、バナナはおやつに入りますか?」っていう 使い古された質問に、妙なホラー感が出てしまいました。 私も酔っているなと。 あと、それを聞いた課長が、 「俺も遺伝子がバナナなところあるよ~」と 品

        • 英雄とは何か

          私は勇者だ。 今、人間を苦しめ続けた魔族の王、魔王と雌雄を決するための戦いに臨んでいる。 ここまでくる間、多くの困難を潜り抜けてきた。 ある時は、村を襲った魔物たちの巣窟へ挑み、激戦の末、彼らを駆逐し、 またある時は、甘い言葉で操ろうとしていた魔物の計略を暴いて街を救ったりもした。 魔物に支配された街で立ち上がろうとした人々を支援し、革命を起こしたこともあった。 そして、今日ついに、魔王との直接対決までこぎつけた。 人間軍、魔王軍、多くの戦士たちが見守る中、私と魔王

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        【掌編小説】深夜、海沿いの道の駅で

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        • タイトルのない英雄譚
          6本

        記事

          ニートと政治家の違い

          生きているだけで金がかかるのがニート 寝ているだけで金が入るのが政治家 生きているだけで何も生み出さないのがニート 寝ているだけで何も生み出さないのが政治家 一般社会が自分のことをわかってくれないのがニート 一般社会のことをわかっていないのが政治家 高齢になって年齢で職業が制限されてしまうのがニート 高齢になっても続けられるが年齢制限した方がいいのが政治家 親に「自分たちが生んだんだから責任とれよ」と言うのがニート 有権者が「自分たちが選んだのだから…」と責任を感じさ

          ニートと政治家の違い

          定食屋にて

          私にはお気に入りの定食屋がある。 80歳近いおじいさんが一人で頑張る昔ながらの大衆食堂。 チェーン店がひしめく都会の中で、手作りの豚の生姜焼き定食が650円で食べられるこの店は、私のような庶民にとってのオアシスのような存在だ。 ある日、そんな平和な店に響き渡る怒鳴り声 「おい、カツ丼に髪の毛入ってたぞ!」 イカつい風貌の男性客が、運ばれてきた食事の中に髪の毛が入っていたと騒いでいる。 「この髪の毛入ったメシ食えっちゅーんか?この店は!」 そりゃ、個人営業の小さな

          【連載4】本当の敵

          とある小さな村に着いた。 豊かな森に囲まれ、清らかな川沿いに広がったのどかな村だ。 日はだいぶ傾いてきているので、今日はこの村で泊まることになるだろう。 野営が続いていたので、柔らかいベッドで眠れることがありがたい。 我々男性陣はそれほど気にしていないが、唯一の女性である僧侶は風呂にも入りたいだろう。 「私だけでなく、皆さんもお風呂に入ってくださいね、どちらかというとあなた方の方が臭いますので」 そう思っていたら釘を刺された。 確かに、魔法使いはともかく、勇者と戦士と

          【連載4】本当の敵

          【連載3】聖女の誓い

          「おお聖女様、お目にかかれて光栄でございます」 「高名な聖女様、ぜひ私の領地にもお越し下され」 「聖女様、ご機嫌麗しゅうございます」 宮廷の社交界の場に参加した若き僧侶に、王国の名だたる貴族たちが、皆、恭しく頭を下げる。 教会の権威者の娘である彼女は、幼い時にたまたま聖典の一部を暗唱したことで周囲から驚かれ、それからは「奇跡の聖女」として各地の祭事や、災害救助などの教会の事業に随行し、広告塔として、教会のプロパガンダを担う存在となっていた。 「私のような者でお力になれる

          【連載3】聖女の誓い

          【連載2】二度目だから

          せっかく転生した世界でも、私は平凡な才覚で生まれた。 王宮の兵士の父と、武器屋の娘の母の間に生まれた私は、幼いころより剣を遊び道具として育ち、いずれは勇者として、また魔法の才能がなければ勇者をサポートする戦士として、活躍することを夢に見てきた。 しかし、残念ながら、この世界でも遺伝というものがしっかり機能していて、私の剣の技量は父の職業である一般兵士のそれを大きく上回るものではなく「ちょっとだけ武器の取り扱いに慣れているだけの兵士見習い」として、16歳の朝を迎えることにな

          【連載2】二度目だから

          【連載1】伝統の勇者

          裕福な家でもなく、学歴もなく、スポーツも微妙、顔も良くなかった私は、大した人生を送れることもなく、なんとなく社会人になった直後、仕事帰りの道でありふれた交通事故に遭い、特にニュースになることもなく人生の幕を下ろした。 なんともつまらない人生だった。 なんでこんな人生だったのだろうか。 努力が足らなかったのだろうか。 確かに、勉強も、運動も、オシャレも対して頑張ったわけでもない。 何か人に胸を張って頑張ったと言えることはなかったのかもしない。 もし、次の人生があるのであれ

          【連載1】伝統の勇者

          ゴースト・オブ・ツシマ

          【ネタばれ注意】 YouTubeで「ゴースト・オブ・ツシマ」っていうゲームの実況を見ました。 時代は鎌倉時代、今の長崎県の対馬に元寇が起こった史実を基に作られたアクションゲームで、主人公は一人のサムライになって、蒙古軍にほぼ侵略された島を、ゲリラ的に戦いながら島を救っていくというストーリーです。 圧倒的な大軍でありながら、さらに島の民を人質にとるような蒙古軍を相手に、正々堂々と戦おうとする日本の武士の戦い方では全く歯が立たないことを悟った主人公は、葛藤の末、武士の誇りを

          ゴースト・オブ・ツシマ

          15分の自由

          夜7時、仕事を終え、 夕食の買い物を済ませて家路につく。 家に帰れば寝るまで家事が続く。 スーパーから車で帰る自宅までの15分 仕事と家庭の間。 車を走らせる前にちょっとだけいじるSNS 友人たちのキラキラした非日常を眺め、ライブ配信をBGMに車を走らせる。 信号を超え、交差点を曲がり、コンビニの角を過ぎればもう我が家だ。 もう、着いてしまった。 それほど汚れていない車中を掃除をしてみたりして悪あがきしてしても、 それもほんの束の間だ。 まだ、降りたくない。 こ

          怒りと悲しみの連鎖

          私の住む街は、傭兵の街だ。 南の王国と北の帝国との国境付近に位置しているこの街は、昔から幾度となく戦場となり、その都度、多くの人々が犠牲になってきた。 荒廃した街で、家も親を失った戦争孤児たちの多くが行き場をなくし、人身売買さながらに傭兵団に安く買いたたかれ、そして少年兵として武器をとって戦う。 この街が豊富な傭兵の戦力を備えているのはそのためだ。 そして両国はその豊富な傭兵を戦力として、ずっと激しい争いを続けるのだ。 かくいう私も、10歳のころから剣を持ち、スジと運

          怒りと悲しみの連鎖

          「暮らし」という言葉

          生活することを「暮らし」という。 日が暮れるまでの間に何かをして過ごす。 “日を暮らさせる”が語源のようだ。 「過ごす」も似ている。 今日一日を「やり過ごす」という意味。 なんだか時間を無駄にしているような表現にも思えるが、 私には「今日もなんとか日が暮れるまで無事に生き抜くことができた」という意味が込められているようにも感じられた。 時間が過ぎゆくこと、いわゆる「生きること」をとても有難いこととして、ともすれば、すぐにかき消えてしまう命をつなぐことを使命として、淡

          「暮らし」という言葉

          怖い話

          私は、賃貸の日本家屋に住んでいる 少し古めだが広々としていて庭もあるし 私が入居する前に大家さんがわざわざ水回りもキレイに リフォームしてくれてすこぶる快適に過ごせている良い家だ ご近所さんたちもみんないい人で 普段からにこやかにあいさつしてくれる なぜこんないい物件に今まで借り手がつかなかったのだろうか ただ、とある朝 ゴミ捨てのために家の外に出て歩いていたら いつものご近所さんにギョッとした顔をされた すぐにいつもの笑顔になって挨拶してくれたけど なんだったの

          とある歌姫の門出

          街の酒場で評判の歌姫がいた。 時に繊細で、時に力強く、心に響く彼女の歌は酒場の客の楽しみだった。 ある時彼女は街を出る決意をする。 王都で歌手として名を上げ、王の祭で歌うためだ。 客たちは悲しんだ。 「この街でいいじゃないか」 「都なんて危ないよ」 「俺たちを捨てないでくれ」 思った通り口々に反対の声が上がる。 だが、彼女は気が付く。 誰一人、彼女の歌が都で通用しないとは言っていないことを。 客の一人が言った。 王の祭だろ、俺たち総出で見に行く

          とある歌姫の門出