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読書|結婚させる家

舞台は、40代以上限定の結婚相談所。人生のパートナーが欲しいとやってくる人々と、カップリング率No. 1のカリスマ相談員の物語。

友人の結婚ラッシュが止まらない影響か、自然と「結婚」の本を手に取ってしまいました。

結婚相談所のお話なのに、タイトルに「家」がついているのはどうしてだろう?と読み進めましたが、どうやら、ある屋敷で交際検討中の男女がプレ夫婦生活を体験できるとのことです。

カリスマ相談員の恭子さんは、屋敷へくる人々にぐいぐい攻めます。相手の興味を引くために事実と多少異なっても適切なアピールを伝えたり、結婚なんて…と弱気になっている方には話術で前を向かせたりしました。

「結婚”させる”家」とあるように、まさに会員の意思を超えて、いい感じに男女を結びつけているようにも見えます。

本書では、5組のカップルが登場しました。様々な組み合わせに面白さを感じましたが、一番強烈だったのは最終章。自分の美貌を武器にこれまで大金持ちと2度結婚してきた女性と、顔色を窺わない知的な男性のペアです。

女性側は男性の年収や自分への尽くし方にこだわっており、結婚相談所でも相手に求める条件は厳しいものでした。相手の男性と交際に発展したのは、年収が見合っていたことと、女性の見た目が美しかったから。

しかし、男性側は女性をお姫様のように気遣うことも、何度も繰り返す失敗を見逃すこともしません。彼女は徐々に、甘やかされない状況に怒りが大爆発します。

この時点で、あらあら、という感じですよね。しかもこの女性、ちょっとおバカさんなんです。50代にもなって、プライドが高すぎるというか、お高くとまっているというか…。

ただ、彼女がそのような性格になるのにも理由がありました。幼い頃から母親に「あなたは美しさで勝負しなさい」と言われ、交際相手ができると「そんな人より、もっと家がお金持ちだったり独立して稼ぐ人がお似合いよ」と年収で判断されます。

母親の価値観がいつしか彼女自身の価値観へと移っていき、私の美しさなら大切にされて当然よ!と思うことが普通となったのです。

屋敷での生活を経て、結局破局となってしまった二人でしたが、以前の相談員・恭子さんなら無理にくっつけていたかもしれません。

しかし、パートナーを求める方々の過去や、なぜ結婚相談所を利用しようと思い立ったのかの理由に耳を傾け始めたことで、カップリングをすることが全ての人の幸せではないと気づきます。

大事な自分の人生なんだから、もっと迷っていいんですよね。
時間をかけて選び取っていけば、それで。
その人の幸せの形は色々なんですものね。
パートナー探しはしないと決めることだって、その人の幸せの形なんですから。

P200-201

数ある幸せの選択肢の中でも、私はこの人と人生を歩みたいと思えるパートナーに出会えたので結婚を選びましたが、他の人にその幸せが当てはまるとは限りません。

今回は、人の幸せは一種類ではないと、思い出せてくれるお話でした。




前回の読書記録はこちらです。


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