突然だが、「IRS」というものをご存じだろうか。

知ってる？知らない？

知らないのも無理はない。なぜなら今作った言葉だから。逆に知ってたらビビる。

I：instant
R：ramen
S：shoyu

そう、これは、「インスタントラーメンしょうゆ味」のことである。

庶民の味方、インスタントラーメン。手軽に作れてしっかり満足できるこの背徳的な食品は、今や日本の誇りと言っても過言ではない。

しかし、こう考えたことはないだろうか。

「どれが一番おいしいの？」

昔よく食べたあのラーメン、CMでよく見るあのラーメン、一体全体どれが一番おいしいのか。それを決めてしまおうではないか。
というのが、本大会の理念であり使命である。

すべてを網羅することは不可能なので、条件をしぼって開催することにした。

それでは、IRS北海道大会の開催をここに宣言する！
この家は、バトル・シティと化す！

エントリーNo.1【ZUBAAAN！（マルちゃん）】

まずは、「ZUBAAAN！」（ズバーン）。うちの母が「バズーン」と言い間違えたやつだ。

写真を見る限り、相当味が濃ゆいだろうと予想される。脂っこいのは33歳にはきついぞ・・・

まぁ、とりあえず食べてみようか。

ふむ、スープは確かにしっかりとした味だが、思ったより濃ゆくない。むしろあっさりに感じるので、飲みやすい。

ただ、麺が少々へたっている印象を受けた。もっとスープに絡んでくれると、個人的には嬉しい。

エントリーNo.2【これ絶対うまいやつ♪（日清）】

続いては、本大会唯一の日清食品グループからの刺客、「これ絶対うまいやつ♪」の登場だ。チョコレートプラネットの二人が軽快に歌うCMは、耳に残りやすく、幾度となく脳内BGMとして再生されてきた。

こちらも「背脂醤油」を謳っているだけあって、濃ゆいスープが期待される。

どれどれ・・・

ほう、これはなかなかパンチのあるスープだ。ガツンとくるこの濃厚さが、食欲を掻き立てる。かといって、嫌な脂っこさは感じない。

麺もしっかりスープに馴染んでおり、両者の相性は抜群。これはなかなかの健闘ぶりである。

エントリーNo.3【マルちゃん正麺（マルちゃん）】

3番手は、「マルちゃん正麺」。本大会では中堅といったところか。
アレンジを効かせたレシピが売りだが、今回は素の味で勝負。

前2品よりも、オーソドックスなイメージであったが、はてさて。

では、実食。

非常にバランスが取れており、イメージどおりの安定した味だ。スープの濃ゆさも丁度良く、生麺との相性も悪くない。

強いて言えば、特筆すべき点に欠けるような気もする。まぁ、万人受けするとはそういうことなのだろう。

エントリーNo.4【屋台十八番（マルちゃん）】

大会も佳境となった4品目。アルロン史上最も食されたインスタントラーメン、「屋台十八番」（やたいじゅうはちばん）だ！本大会の優勝候補である。

味は言わずもがなだが、ややしばらく食べていなかったので、ワクワクしながら麺をすする。

そうそう、これこれ。この麺のインパクトが良いんだよ。「ジ・インスタントラーメンしょうゆ味」と言えるようなアグレッシブな味わい。

スープの主張は激しくないが、存在感は健在。普段は優しいけど締めるところは締めるお父さんのようだ。

アルロンの舌を長年支えただけあって、その実力は折り紙付きである。

エントリーNo.5【しょうゆ味ラーメン（マルちゃん）】

いよいよ真打登場。マルちゃん「しょうゆ味ラーメン」が最後を飾る。

奇をてらった名前や味付けはなし。とことんシンプルに戦う歴戦の猛者だ。

尋常に勝負。

優しい・・・このラーメンには優しさがある。
確かにパンチやインパクトには欠けるかもしれない。でも、この素朴さが、この慎ましさが、歴戦の猛者たる所以なのだろう。こういうので良いんだよ、こういうので。

寒い日に食べるとホッとする、その包み込むような温かさは、おふくろの味さながらである。

結果発表

さぁ、すべての審査が終わった。

果たして、IRS北海道大会を制するのは、どの商品なのか！

ダララララーーーーー（ドラムロール）

ダンッ！

エントリーNo.5！「しょうゆ味ラーメン」！

おめでとうーーーーー！！！！！

総評

―それでは、審査委員長のアルロンさん、総評をお願いします。

アルロン「いやー、どれも美味しいIRSでしたねー。それぞれに個性があって、悩みながらも楽しく審査させていただきましたよ。ハッハッハ」

―優勝の決め手は、何だったのでしょうか。

アルロン「まぁ、単純な好みだけでは身も蓋もないので、自分の中で審査基準を決めました。それは”IRSを食べるのはどんなときか”ということです。
たとえば、ラーメン屋さんに行くのって、時間やお金に余裕があって元気なときですよね。僕は、IRSはむしろその逆と考えていて、時間もない、お金もない、なんだか元気もない、そんなときにIRSがピッタリだと思うんです。二日酔いなんかにも良いですね。そう考えると、もちろんパンチの強いものもおいしいんですが、それ以上に優しく染み渡るようなIRSの方が満足感が高いと感じました」

―最後に、この記事を読んでいる方々に一言お願いします。

アルロン「好みは人それぞれですから、この結果に不満がある人も多いでしょう。それで良いんです。僕には僕の、あなたにはあなたのIRSがあるんですから。あなたもぜひ、MFIRS（マイ・フェイバリット・インスタントラーメンしょうゆ味）を見つけてみてください」

―以上を持ちまして、IRS北海道大会を閉会いたします。ありがとうございました！