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特例給付や優良認定制を創設――改正障害者雇用法成立|迷想日誌

今通常国会に提出されていた障害者雇用促進法改正案が先ごろ成立しました。
労働関係は、女性活躍推進法等改正案と障害者雇用促進法改正案の2本のみでした。ともに無事成立したことになります。
障害者雇用促進法改正案の審議では、参議院厚生労働委員会において、一時強行採決の可能性もありましたが、最終段階で合意が成立したようです。

報道では、国や地方公共団体の「障害者雇用水増し問題」を受けて、再発防止策を盛り込んだ改正としていますが、民間企業に関係する改正部分もありますので、確認したいと思います。

まず、短時間であれば就労可能な障害者の雇用機会を確保するため、短時間労働者のうち週所定労働時間が一定の範囲内にある者(特定短時間労働者)を雇用する事業主に対して、障害者雇用納付金制度の財源に基づく特例給付金を支給する仕組みを創設しました。

特例給付金は、週所定労働時間10時間以上20時間未満の雇用障害者数に応じて支給することになっています。
具体的な給付要件や金額は今後省令で定めますが、金額的には調整金や奨励金の単価の4分の1程度と見込んでいるようです。

ただし、雇用率カウントの対象に含めませんので注意が必要です。
厚生労働省では、職業的自立につながる雇用を促進する観点から、週所定労働時間20時間未満の労働者については、雇用率カウントには含めないとしています。

一方、障害者雇用で優良とされる事業主(常用労働者300人以下)に対する認定制度を創設しました。
認定に当たっては、障害者雇用の推進体制の整備、募集・採用の取組み状況、職場環境の整備などを評価項目にするようです。
幅広い評価を行って、一定の点数以上となる事業主を優良認定する仕組みです。認定基準に適合しなくなると取消しとなります。

今回、民間企業には厳しい障害者雇用義務を課しながら、国や地方公共団体にはそのような義務を課していなかったことを反省したのでしょう。
新たに厚生労働大臣が、国や地方公共団体に対して、勧告をすることができるようになりました。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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