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拡充される「就職氷河期世代」支援|迷想日誌

厚生労働省が、「就職氷河期世代」に対する就職支援に乗り出すとの報道が注目されましたが、実はもうすでに数年前から「就職氷河期世代等正社員実現プラン」を実施していて、同プランがスタートした当時に「労働新聞」紙上でご紹介しました。

この世代の就職促進が日本経済・社会にとって重要とする認識はいま始まったことではないのです。
就職氷河期世代とは概ね平成5年~16年に正社員就職に至らず、35歳を超えてフリーターのように働く層をいいます。
離転職を繰り返す「長期不安定雇用者」となっているケースがめだちます。
従いまして、同プランにより、正社員化を集中的に支援しているわけです。

今回、事業内容をさらに充実したものにし、来年度に再スタートさせるようです。
中でも業界団体との連携により短期で資格取得できる訓練コースを設けて、人手不足の業界に安定就職させようという新たな事業が予定されています。
夜間・土日の空いた時間や、eラーニングにより就職一体型訓練を提供するものです。

平成29年のフリーター数は、152万人(前年比2万人減)で、徐々に減少しています。このうちの3分の1程度、50万人強が就職氷河期世代のフリーターとされています。
あと20年もすれば、引退時期に入っていき、社会全体で支えていくことになります。今のうちに少しでも多く正社員化を促進していく必要があります。

要するに、バブル崩壊からリーマン・ショックに至る期間に新卒期を迎えた世代です。
日本ではこの時期10年以上にわたって、経済の空白期間を作ってしまい、その影響が色濃く残ってしまいました。
経済は常に拡大、発展していないと、社会全体がうまく回らなくなることを痛感させられる一つの現象です。

現在の雇用情勢は良好ですが、世界の経済・社会情勢次第では今後どうなるか分かりません。
これからは、日本が再び自滅の道に迷い込まないよう、政府には正しい経済政策の実施を強く求めます。

労働新聞編集長 箱田 尊文


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