ばあちゃんが家族に殺された話

おれのばあちゃんはおばさんに殺されている。よくある嫁姑問題が発展して起きたことだと思っていたけど、そうでもないことに最近気がついた。根っこに宗教がからんでいる可能性があるのだ。

ばあちゃんが死んだのは40年近く前。自分が3歳ごろのことだ。なのでこの一件についてこれから書くことはほぼ母から聞いた内容だ。向こうの家族とはこのとき以来一度も会っていないので、今おばさんがどうしているかは知らない。知っていることと言えば、ばあちゃんが死んでから30年ほど経ったときに親戚の兄妹のうちどちらかが大手電機メーカーに就職しその後身体を壊したことを母から聞いただけだ(母がどういう経緯で知ったかはわからない)。おじさんは事件のあと真相を知ってすぐに蒸発しているのでまったくなにもわからない。

――その日、まだ外が暗いうちに寝ているところを母から「おばあちゃんが亡くなったから、今から親戚の家に行くわよ」と起こされた。よく聞くセリフを初めて聞いたのは物語ではなく現実の生活だった。事件が起きた日のことで覚えていることはこのセリフだけで、あと覚えていることは葬式のときのお経、親せきの家の急な階段と台所の景色だ。なので、これからは母から聞いた話を時系列で書いていく。ただ、その母も事態を把握する際に相当のバイアスが掛かる人なのでおかしな解釈をしているかもしれない。どのくらいバイアスが掛かる人かというと、私は母に追い込まれ自殺未遂し精神障害になったのだがそのことを伝えても仕事のストレスが障害の原因だと思うぐらい思い込みの強烈な人だ。心が拒否反応を起こして事態を認められないのだ。

事件当日、ばあちゃんが風呂場で倒れた。そのとき家に大人はおばさんひとりでおじさんは出張のためいなかった。おじさんが出張の多い仕事だったこととばあちゃんが身体が弱かったためか、おばさんと仲が悪いのによく家に泊まっていた(ここらへんの事情はよく知らないです)。おばさんがばあちゃんの異変に気付いた理由は、倒れたときに音がして気づいたのか、あまりにも長い間風呂から出てこないのでおかしいと思い様子を見にいって気づいたのか。どうやって異変に気付いたのかわからないが、家に大人がひとりという状況ではおばさんの状況説明を信じるしかない。ばあちゃんが風呂場で倒れおばさんが救急車を呼んだということになっているのだが、異変に気づいたおばさんは救急車をすぐに呼ばなかったらしい。直接の死因はわからないが、すぐに救急車を呼んでもらえなかったせいでばあちゃんは死んだことになっている。この話が本当なら、おばさんはばあちゃんを見殺しにしたことになる。私はまだ小さかったためことの詳細は知らないが、警察などは見た記憶はないがもしかしたらいのだろうか。

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