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以前出版した本を読んで下さった方に「カミングアウト・レターズ」作ったの俺デスと言ったら…

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以前出版した本を読んで下さった方に「カミングアウト・レターズ」作ったの俺デスと言ったら「あなたは(編者として)何をしたんですか?」と澄んだ瞳で聞かれ撃沈。ですよね。ほんと、何やったんですかねえ。2023年にはベトナム語版が出ました。2027年頃には文庫になりますように。

マガジン

  • 看護学生との対話 Archives

    2008年~現在、看護学生からの「講義を受けての感想」にフィードバックした内容。その保管庫です。性的少数者という背景をもつ患者に医療者はどのように向かい合えるのか、セッションの記録になります。

最近の記事

「だれかの映画史」タコシェ@中野

 何年ぶりだろう。中野ブロードウェイのデイリーチコ、値上がりしたなあ。ソフトクリームの甘味が少なく水のように飲めるから好きなんだけど。ミドルサイズのソフトクリームで暑さを紛らわせ、同人誌の「タコシェ」に行った。タコシェ?「タコの家」じゃないよなと思ったら、本当に「タコ焼き屋の跡地だったから」らしい。知らなかった。  タコシェには「だれかの映画史」という実兄弟による本を買いに行った。兄が文章を書き、弟が絵を描く。その「牛島兄弟」(ユニットにどう敬称をつけたらいいのか分からない

    • 愚生の気は遠くなる

       母が死んだあと、死期を悟って多くを捨てたらしい家でブラフマンのCDを見つけた。「時の鐘」。――もちろん20年以上前に、おれが送ったものだけど。母が死んだ後に車の中で聴いていたのはこの「今夜」。きっと母は気に入っただろう。そう思う。  母が通院時に大切に持ち歩いていた文庫本は徐京植の「子どもの涙」とレベッカ・ブラウンの「体の贈り物」。本当に趣味が似ていた、服の趣味まで。だから母からはよく服を褒められた。革靴いいわねと言われて、実は安物だったしボロボロだったから「ボロボロだけ

      • 「スキ」はあちらに

         昨日からポレポレ東中野で公開されているようです。(公式サイト)  それでこんな(↓)「映画感想文」があって、よかったです。「これだけしっかり観てもらえたら作り手は幸せだよね」と思いました。「スキ」やコメントはぜひリンク先(綾乃つづみさん)に。   谷川俊太郎や田村隆一って好きな詩人だったから、そういう人たちが認めていたという長谷忠さんの詩集を読んでみたい。「母系家族」「私生子」という二冊がヒットするのだけど、買えない……読みてええええ。つい「いま印税が入ったら嬉しいんじゃ

        • Eテレ「理想的本箱」再放送があります

          4月27日(土)21時から是非ご覧いただきたい番組があります。  「カミングアウト・レターズ」に収められた親子の往復書簡からとりわけ映像と親和性が高そうな第一書簡「母さん、あのとき泣いてたか」が映像化され、27歳のゲイである息子役を平埜生成氏が、カミングアウトを受けた55歳の母親役を原日出子氏が演じられてます。それだけでも贅沢なのですが。  この映像が(おそらく本を読んで下さった方は深く頷いてくれると思うのですが)非常に丁寧に作られているんですね。手紙の親子に愛情と敬意を

        「だれかの映画史」タコシェ@中野

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        • 看護学生との対話 Archives
          30本

        記事

          ゆうべ、どちらも白杖を突いている中年男女(雰囲気的に恋愛中)が道を渡ろうとしていたから「信号ないけど大丈夫スか」って声かけたらきっぱり「大丈夫です!」って返って来て頼もしかった。おっけー、デート楽しんで。

          ゆうべ、どちらも白杖を突いている中年男女(雰囲気的に恋愛中)が道を渡ろうとしていたから「信号ないけど大丈夫スか」って声かけたらきっぱり「大丈夫です!」って返って来て頼もしかった。おっけー、デート楽しんで。

          「アイヌもやもや」は最高の教科書だ

            最近、差別についてフリートークする機会があった。性的少数者についての会ではなく別の社会的少数者がテーマだったので、私も多数派/マジョリティという立場性から話した。持ち時間は5分。思いの丈を充分に伝えるには私の技術が足りなくてガッカリした。100人の前で180分語り続けることならできるのに、自分への失望がひどかった……しかし何より残念だったのは「アイヌもやもや」という優れた本を紹介できなかったことだ。書名だけでも覚えて帰って下さいね、と言う暇もなかったのが心残りで。  こ

          「アイヌもやもや」は最高の教科書だ

          ベルテッドコートがニガテ

           タイトル以上の話はなくて、私はベルトがある「ベルテッドコート」が苦手だ。今年の冬は20年以上前にサカゼンで買ったローレンのバルカラーコートばかり着ていたのだが、腰のベルトは外していた。ベルトループも取ろうかと思ったくらい。腰のベルトはポケットに押し込んでいてもいつの間にか床を舐めている。腰の後ろで結んでいる人は多いけれど、どうしても、あれはしたくない。かなり徹底したアンドロフィリア(男性愛者)である私は男性の見てくれに種々厄介な好みを抱えているが、そうした細かくて理屈に合わ

          ベルテッドコートがニガテ

          「うちの息子はたぶんゲイ」おくら著

          完結した……だと……? 「きのう何たべた?」だの「弟の夫」だの「うちの息子はたぶんゲイ」だの、パートナーがおれに読ませるんですよね。何の教育だ全く。憤然としとるわけですよ。だからこっちからは「作りたい女と食べたい女」をオススメしてやったわけですよ。ドラマまで観ているらしい。ふふ。どうやら気に入ったらしいので満足してマス。  しかし本日パートナー氏から渡されたのは「うちの息子はたぶんゲイ」の最終巻(全5巻完結)。いや待て、まだ終わらせんぞ……え、マジ終わんの?  「ゲイであ

          「うちの息子はたぶんゲイ」おくら著

          電車の中に防犯カメラがある安心

           朝の満員電車でデジカメを取り出して撮影を始めるわたし。近くのお兄さんに怪訝な目で見られた。驚かせてごめんね、ほら記事にしたよ。車内の蛍光灯に電源が取れる、車内用の監視カメラ。これはモヤイ製。鉄道会社によってはソフトバンクだったりするようだけど、実際に普及してきたんだなと実感する瞬間がある。まだ全然、少ないけど。  電車で灯油に火を点けたり、刃物で乗客に切りつけたりといういくつかの事件を経て、安全対策はどんどん進むようになるんだろう。スリや痴漢、暴行という昔からあった犯罪も

          電車の中に防犯カメラがある安心

          ティガを観ずに大人になんかなれない

           ウルトラマンの話です。いっぺんやってみたかったんだよねぇ。「ウルトラマンティガ」は1996年9月放送開始なのですが、時代設定は2007~2010年という手が届きそうな「未来」だったそうです。ちなみに1973年生の私は当時23歳。既に結構な大人でしたね。ウルトラマンと言えば、子ども時代の私にとってのヒーローは何よりウルトラセブン(周囲はタロウ派が多数)。再放送で「セブン」を観ていました。その「セブン」には、「人間だろうと〇〇だろうと、あなたはあなた」という受容があった。  

          ティガを観ずに大人になんかなれない

          Eテレ「こころの時代」にゲイの牧師

           5時間後に放送です。  5時間後に放送です。4月7日(日)05:00~06:00です。  Amazon の取扱い書籍、金額が税込だったり別だったり。なぜだ。  平良愛香さんにお目にかかったことはない。しかし長年に渡ってゲイシーンでお名前を聞く方だった。ゲイ社会は外側にある社会と比較しても格別にはリベラルでもなければ開放的でもないから(これは決して公平な言い方ではないけれど、かと言ってさほど暴言でもないはずだ)、きっと異端者の気分を味わうこともあったんじゃないかと想像し

          Eテレ「こころの時代」にゲイの牧師

          「バスを待つふたり」

           色々な事情で家族と感情を共有できない人たちがいる。  この映像作品ではいつも泣くんだけど、悲しいだけかというとそうじゃない。この二人の対話には、「親子であれば」なかなか伝えきれない真情の吐露もあるからだ。例えば右の男性は、自分の娘にであれば、「君のことを家族は助けたいと思っている」と言えただろうか。左の女性もそうだ。自分の父親にであれば、病気の家族を支えながらの出産育児についての不安を素直に言えただろうか。娘の真情があり、父の真情がある。悲しみに覆われながらも、実はエゴか

          「バスを待つふたり」

          Eテレ「理想的本箱」3rd Season開始

           嬉しい「理想的本箱」がまた始まる!  明日からです。  本当にこの番組はディスク出して欲しい。  Blu-ray の BOX を販売して欲しい……  明日は「勇気が欲しい時に読む本」です。  

          Eテレ「理想的本箱」3rd Season開始

          「110番して下さい」じゃねえよ

           先週の金曜日の話だ。  仕事からの帰り道、80歳くらいのおばあさんとすれ違った。身長150cmくらい、コートにニットキャップ、薄いサングラス。その直後、車と何かが擦れ合うような音が背中でして、おばあさんの「ああああ」という声が聞こえた。振り向くと路地から軽の白いバンが車道に合流しようとしていて、歩道に出ていた。おばあさんがいたはずの歩道に。運転席には短髪で65歳~70歳くらいの恰幅のいい男。グリーン系の長袖ポロシャツを着ていた。夜目に顔色は分からないが、酔ったとき特有の挑

          「110番して下さい」じゃねえよ

          「ご感想への返信2023」No.26

           この学生からの意見には、何も応答すべきことがないように思える。典型的なヘイト構文を構成ひとつ変えることなくなぞった文章であり、講義内容は反映されず、借り物の言葉とエクスキューズが並んでいる。この学生からの拒絶に対してどこまで講師としての義務を感得すべきか悩んだ日々だった。おそらくこの学生が想定するところの「自分の利益のために」言っている「声の大きい少数派」である私が言葉を尽くしても耳をふさぐことだろうし、構文の検証もヘイト言説をブラッシュアップし精度を高めてしまう結果につな

          「ご感想への返信2023」No.26

          「ご感想への返信2023」No.25

           ご質問ありがとうございます。「人生を通じてセクシュアリティが変化するか」という質問内容として、私なりに回答を試みます。ちなみに質問文中後半で「性自認」とあったのですが、全体から性的指向についての質問であるようなので、性的指向について書きます。 抑圧は最初、少数者の問題として発見されるもの  被抑圧はマイノリティの話として発見され、またそのように語られるものですが、例えば「シスジェンダーとして自認が揺るがないこと」や「性的対象が常に異性でなければならないこと」「結婚するこ

          「ご感想への返信2023」No.25