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読書感想文 『煙鳥怪奇録 忌集落』

【煙鳥怪奇録 忌集落】


実話怪談にはフィクションの怪談とは違う怖さがある。


本作では会津地方の取材で語られる「土地遣い」が興味深い。


帯にある通り、忌み地を操るという怪談であるが、そもそもが忌み地を操ろうとすること自体が相当なタブーを犯している感があり怖い。そんなことしたら確実に自分自身が呪われそうである。いや、もしかしたら、操ろうとすること自体が既に、もう呪われている結果なのかもしれない。


取材形式の怪談の怖さのひとつとして、語り手(取材対象)がどの程度情報を開示しているのか聞き手には知り得ないところに怖さを感じる。もし、語っていることが全体の数パーセントであれば真実は残りの数十パーセントに隠されている可能性が高くなる。でもそれは語り手にしか分からないし、もしかしたら語り手ですら100パーセント全てを知らないのかもしれないのだ。



本作で語られている土地遣いは解釈として煙鳥さんの見方があるのは事実だが、それは土地遣いの真実の僅かな一面に過ぎないのかもしれない。そう考えると、読み手はこれをどこまで怖がるべきなのだろうか。会津地方の取材で、とされているが、気づかないだけで同じ現象は読み手のすぐ近くに存在することだってあり得る。

それを気付かされた意味で、本作には実話怪談の怖さを教えてもらった。




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