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読書感想文 『星を継ぐもの』

【星を継ぐもの】



・第12回星雲賞海外長編部門受賞




SF×宇宙

星をつぐものを読むまで、この組み合わせは「未来」を想起させる概念しか、私は持ち合わせていなかった。しかし、これを読んだことで、SF×宇宙に「過去」という面白さを概念に加えることができた。そして、SF×ミステリに「つまらない」は存在しないのではないかと思った。



帯に書いてある通り《月面で発見された5万年前の死体はどこからやってきたのか?》これが本作のメインテーマ。


単純に考えたらそんな昔に人間が月に行っている訳がないので、なんで?という疑問を持ちながら物語に踏み込んでいく。この時点で、読者はSFと同時にミステリとしてもこの作品を読み進めることになる。



学者たちがこの謎について仮説を立てながら真相に迫っていくことになるのだが、仮説にはどこか矛盾があり、その矛盾を解消することで新たに別の矛盾が生じてしまい、なかなか真実と思われる理想的な仮説には辿り着かない。しかし、それらの仮説から原子物理学者のハントと生物学者のダンチェッカーは、誰が想像もしなかったある仮説を導き出す。
この仮説が最高に読んでいるものをワクワクさせるのである。これがある意味でミステリの種明かしであると同時に、真実(続編)へ続く手がかりとなる。そして、仕上げにエピローグで、読者は本作にとどまらず、「星を継ぐものシリーズ」として魅力的に感じることだろう。


5万年前、月と件の死体に何があったのか。宇宙の過去を探るSFミステリの序章ここにあり。




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