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中年期からはじまる「筋肉の減少」…老後も自分の脚で歩くために専門家が薦めること

中年期からはじまる筋肉の減少「サルコペニア」。放っておくと老後の歩行困難などの原因にもなります。筋力増強のためにおすすめの運動を、「応用生理学」という立場から研究している名古屋市立大学の高石鉄雄先生が、このたび刊行された『自転車に乗る前に読む本』の中から紹介します。

順天堂大学の安部孝客員教授が調べた「身体各部の筋群に見られる加齢による筋量の減少」グラフです。こちらの記事には、女性のグラフしか表示されていませんでした。男性の方が緩やかに落ちると思われますが、落ちないことはありませんが、参考のためグラフをご覧ください。

ハムストリングス=太ももの後ろ側の筋肉
広背筋=背筋
上腕二頭筋=ポパイの力こぶが有名な筋肉
上腕三頭筋=二の腕が袖になって嫌がるところ
腹直筋=腹筋
大腿四頭筋=太ももの前側の筋肉

この図から見ますと、大腿四頭筋、腹直筋、上腕三頭筋の落ち込み方がとても激しいのが分かります。これらの筋肉維持のためには自転車に乗ることが良いと書かれています。


自転車は路上を走るので危険がいっぱい


高齢者のロードバイク人口が増えているのは確かです。しかし、ロードバイクで路上を走るにはかなり危険が伴います。自転車に乗ることの効果よりも、路上という危険な場所へ出ることを危惧します。

スポーツバイクは原付バイクと同じくらいのスピードが出ます。その認識のないドライバーが多いため、あっという間に接近します。実際に私は何度も急ブレーキをかけたり、車とぶつかりそうになったことから、ロードバイクを手放しました。

様々なエビデンスに基づき、筋肉量の低下などの測定結果を元に裏付けしながら、運動するなら自転車が良いと書いてあります。ランニングと比較して優れている点も書かれています。しかし、自転車だけでは、骨粗しょう症の問題はどうなのか?ということに、私は気になってしまいます。


自転車だけでは骨粗しょう症の予防ができない


ランニングは着地の衝撃が骨を強くし、骨粗しょう症の予防になるエビデンスがあります。ですから自転車で筋肉を鍛えればよいという結論にはいささか無理があると思います。それだけでは骨を守ることができていません。本当は、ランニングと自転車の両方すれば効果は高いはずです。

栄養の摂取と同じだと思いますが、何か一つで良いということはないと私は考えます。確かに専門的な実験や調査をされた上でのデータです。ウソはないでしょう。しかし、それがすべてだと言わんばかりに出されると、知らない人は信じてしまって、間違いを起こしかねません。


なんでもデータの通りとは行きません。


身体と自転車の科学的、生理学的な理論を説かれていますが、著者は自転車に乗らないそうです。ちょっと説得力に欠けますよね。また、自転車の魅力は風を切って颯爽と走ることにあると私は思いますが、そのような気持ち良さを追求する本でもありません。あくまでも学者、研究者の目線でデータありきの本です。読んだ後に、自転車に乗りたくなるような本ではありません。タイトルとのギャップを感じます。

とにかく一番よくないのは、運動しないことです。サルコペニアにならないよう、少しでも早く運動することを心がけてください。そのためには自転車も選択肢の一つとしてお考えください。どんなに良いことを学んでも、やらなければ知らないことと同じです。将来、後悔するのはご自身ですから。

自転車に乗る前に読む本 生理学データで読み解く「身体と自転車の科学」/髙石 鉄雄 (著)


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