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父親がサイコパスかもしれない話

私の「お父さん」は、なんかちょっとおかしい。

子供の頃から父親への違和感を覚えていた。

今まで笑っていたかと思うと突然怒鳴り出したり、なんの脈絡もなく理不尽に怒られたり。瞬間湯沸し器のようで、次の瞬間の父の様子が全く読めず、父がいると心が休まらなかった。

今までずーっと、父はなんらかの精神疾患を抱えているのだと思っていた。


サイコパスなのかも?と思い始めたのは、今から5年くらい前だったと思う。

図書館でたまたま手に取った本がサイコパスの解説の本で、タイトルはもう忘れてしまったけれどどこを読んでも「父だ…」と思ったのがきっかけである。

父はサイコパスの中でも「ナルシシスト型」に当てはまるのだと思った。

ナルシシスト型は簡単に言うと、『世界の中心は俺、周りの奴らは全員主役であるこの俺を引き立たせるための脇役』という思想の持ち主のことらしい。


サイコパスというと残忍非道な連続殺人鬼とかを想像するかもしれないけど、実は多くのサイコパスは普通に仕事をして社会に溶け込んでいる。

ちなみにサイコパスに多い職業トップ10は

CEO(社長)、弁護士、テレビやラジオのジャーナリスト、小売業者、外科医、新聞記者、警察官、聖職者、コック、軍人 (Wikipediaより)

父は小さな会社の社長をしていた。父親の祖父が立ち上げた会社で、長男で、生まれた時から跡を継ぐことが決まっていたような人生で、親から怒られたことはなく、会社の人たちからもかわいがられ、まさに『世界の中心』として育ったのだろう。


サイコパスの特徴はWikipediaによると

・良心が異常に欠如している

・他者に冷淡で共感しない

・慢性的に平然と嘘をつく

・行動に対する責任が全く取れない

・罪悪感が皆無

・自尊心が過大で自己中心的

・口が達者で表面は魅力的


どれも父に当てはまる。

かといって専門の医師の診断を受けたわけではないから本当のところは分からない。

あくまで、「私から見ると」なのだ。


私は父から肉体的には暴力を振るわれたことはなく、色々とひどい言葉を投げ掛けられるだけだったが、やはり父といると体が身構えるというか、なかなか安心して素のままの自分でいることはできない。

「ふいに自分を言葉によって傷つけてくるかもしれない人」という認識がある。


それは今も同じなのだが、この父が、年をとる毎に丸くなっていってるようなのだ。

通常、認知機能の衰えにより、暴言や暴力を振るうようになることは珍しくなく、私も「父が認知症になったらどれほどひどいことになるんだろう…」と思っていた。

ところが父の場合、年を取れば取るほど、昔のことなんてなかったかのように、丸く優しくなっていってるのだ。

猫に対しても、私が恐れていたような虐待行為などは今はなく、優しく接しているように見える。

猫が増えるたびに、父の邪気が薄まっていっているような気すらする。

サイコパスは年を取ると変わるのだろうか?しかし生まれ持った脳の特性が老化くらいで変わるとは思えない。


いつ頃から変わったのだろうと記憶を辿っていくと、心当たりがふたつみっつ。

引っ越しをしたこと、猫と暮らし始めたこと、私が浄化の瞑想を始めたこと…。

関連があるのかないのか。

ざっと調べてみたが、サイコパスの老後まではどこにも載っていなかった。論文など、もしあったらご存知の方は教えてください。


さて問題はこの私である。

私はそんな父から離れることもせず、ずっと一緒に暮らしてきた。短大も専門学校も県外に出たのに、のこのこ実家に戻ってきてしまった。それ以降、犬がいるから、猫がいるから、ペット可の物件が少ないから、収入が少ないから、と色々理由を付けながらも家を出ることはなかった。

その点が、私自身が最も恐怖を覚えているところである。

サイコパスと一緒にいると、似てくることがあるらしい。サイコパスは元々の生まれ持った先天的な特質。一方、後天的にサイコパスのようになった場合を、ソシオパスというらしい。

父はサイコパスだけど、もしかして私はソシオパスなんじゃないか。いや、遺伝的なことを考えると、もしかして私も元々サイコパスだったのではないか。

だから私だけ父と一緒に暮らせているのではないか。。


小さい頃、夜中に目を覚まして眠れなくなると、私は母ではなく父のベッドに潜り込んでいた。母は忙しくて大変だから迷惑はかけられない、と思っていたような記憶がある。

そんな時父はいつも何も言わずに布団をめくって寝ぼけ眼で私を招き入れてくれた。

そんな優しい記憶もあるにはあるのだ。

そんなちっぽけな記憶だけが私をここに繋ぎ止めているのか、はたまた、私も父と同じような性格だから実は一緒にいて楽なのではないか、、


自分でもよく分からないまま、父と猫との暮らしは続く。。


過去のことは過去のこととして、とりあえず今を楽しく過ごしていきたいと思うようになってきた。


(『父親がサイコパス?!』より減筆修正させていただきました。ご了承ください。)



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