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そんなバナナ

人類はありとあらゆるものを食べてきたが、バナナほど食べやすいものは他にないのではないかと思う。

素手で皮を剥いてそのまま生で食べられる。そして美味しい。人間が手で持って食べるのにちょうどいい大きさ。バナナ1本、量もちょうどいい。炭水化物、タンパク質、脂質、食物繊維、ビタミン、ミネラル…主食にもなり得る栄養バランスの良さ。日本ではあまりやらないかもしれないが火を通しても旨い。腹持ちもいい。どういうことなんだ。

ウニと比べてみるとよく分かる。確かにウニは美味しい。並寿司と上寿司の差はウニの有無だと言ってもいい。しかしあんなに全身全霊全力で食べないでくれと訴えかけている食べ物なんて他にあるだろうか?ある。栗だ。でもまあ栗はウニの一種みたいなものなので一括りにしてしまうことにしよう。わざわざあんなトゲだらけの硬い殻を剥いてちょびっとだけしか入ってない身を取り出して食べなきゃいけない食材。道に落ちているのを見ても、あ!美味しそう!ってならへんやろ。美味しそうな匂いもしない。食べづらさが極まっている。それに引き換えバナナである。あまりにも食べるのに適してい過ぎる。マジでどういうことなんだ。

僕は神を信じていない。地球はビッグバンのあとになんやかんやあって生まれたのだ(諸説あり)と思っているし、生命は煮えたぎった硫化水素の中でなんやかんやあって生まれたのだ(諸説あり)と思っている。そこに神の入る余地はない。しかしバナナだけは、バナナだけは人類を慮った神の手が介入して生まれたとしか考えられない。そうじゃなければどうしてあんなにも人間が食べるのに適したデザインになり得るのだ?神が外注したデザイン事務所の仕事の出来るやつが考えて、その年のグッドデザイン賞食べ物部門でグランプリを受賞して金一封と盾を渡されている作品に違いない(『天地創造デザイン部』って漫画面白いですよ)。そうとしか考えられない食べやすさである。僕は神を信じていないが、バナナの食べやすさは神の御業によるものだとしか思えない。ということは世界も神がお創りになったのかもしれない。そう思えるほどバナナは食べるのに適していると思うのだ。

あなたはバナナは好きですか?あなたは神を信じますか?バナナについて思いを馳せているうちに神の存在証明にまで辿り着いてしまった日曜の朝でありました。かしこ。

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