大杉 雅栄

大学生時代から社会運動に興味を持って、活動したりしなかったり。現在は、アラサーの福祉系…

大杉 雅栄

大学生時代から社会運動に興味を持って、活動したりしなかったり。現在は、アラサーの福祉系労働者(ソーシャルワーカー)。アナーキストワナビー。最近は、安倍晋三にヤジを飛ばして警察に強制排除されたことで知られている(?)

マガジン

  • アナーキストになれなかった人たちのために

    本当はもっとハードコアに生きたい気もする、福祉労働者が僕です。

  • アベをヤジって、それから

    2019年7月、札幌市内で演説していたアベをヤジった人々は、警備の警察によって、ものすごい勢いで強制排除されてしまった。ヤジは別に違法行為でもなんでもないのに、なぜ? このマガジンは、その出来事と、その後に起きたことをまとめたもの。大杉雅栄とヤジポイが中心。

最近の記事

  • 固定された記事

本当のことなんか言えない(言えば排除される)

 なんか知らないけど、僕たちのやった行動が一部でバズっているようなので、それについて書いてみようと思う。アベの演説場面(公道)でヤジを飛ばしたら、ものすごい速さで警察に取り囲まれ、強制排除された話である。  つい昨日、7/15に「わがPM」こと安倍晋三が、僕の住む札幌の街に来るという話を友人Mから聞いたので、友達数人と一緒に駆けつけることにした。参議院選挙に関する応援演説らしい。僕は、日々の生活を送りながら、本当に毎日毎日「0.1秒でも早く、アベに消えてほしい」と思ってるよ

    • 男と女も元号もいらない

      先日、北海道の七飯町(函館市の隣)というところでヤジ排除問題の講演をする機会があったので、ホテルの予約などを進めていた。予約のために調べていてわかったのだが、現在は新型コロナの検査を事前に受けて陰性証明を発行してもらうと、国の補助によって宿泊費用などが抑えられる「全国旅行支援」という仕組みがあるそうである。要するにちょっと前の「Go To トラベル」みたいなバカげた企画の最新版である。 バカみたいな企画ではあるが、費用が抑えられるのは望むところなので、せっかくなので制度を利

      • 適当に文章を書くこと

        何でもいいから適当に文章を書くところから始めないといけないなと思った。 「ライティングの哲学」を読んで 最近、哲学者の千葉雅也の本をよく読んでいる。初めて読んだのは『現代思想入門』で、それがえらく読みやすく、わかりやすい本だったことに感銘を受けて、他の本も読み進めている。今のところ『動きすぎてはいけない』『デッドライン』『勉強の哲学』を読み終わり、いまは『ライティングの哲学』を読んでいる。 「ライティングの哲学」は、書くことを仕事の一部としながらも、それが苦痛である人々

        • 神のような暴力のありか ベンヤミン『暴力批判論』レビュー

           毎日毎日、本当にうんざりするほど愚弄されているのに疲れてきて、なんでこんな思いをしなければならないのかと頭を抱えてしまう。なんの話かと言えば、もちろん大文字の政治の話である。僕ら人間の知性とか、尊厳とか、思惟とか、そのようなものが日々愚弄されて、蹂躙されていることについて。  ブルジョワ民主主義(すなわち選挙を軸とした代議制民主主義)がフィクションであるとして、そのフィクションを守る設定(正統性)すらもぶっ壊れている中で、頭をよぎるのは「抵抗権」(a.k.a. 革命権)の

        • 固定された記事

        本当のことなんか言えない(言えば排除される)

        マガジン

        • アナーキストになれなかった人たちのために
          20本
        • アベをヤジって、それから
          54本

        記事

          同性婚訴訟、札幌地裁判決に寄せて

           2021年3月17日、札幌地裁で画期的な判決が下された。同性婚を禁止している国の判断を「法の下の平等に反する」として違憲と認めた、日本で初めての判決である。  僕自身は何ということはない異性愛者ではある。だから、この判決が自分の人生の決断に直接に影響するとは言えないのかもしれないけれど、それでも今回の札幌地裁の判決は心の底から嬉しかった。社会構造と偏見とによって差別され、排除されているマイノリティ当事者の置かれている境遇について、「不当に差別されている」と裁判所が認めたこ

          同性婚訴訟、札幌地裁判決に寄せて

          血塗られた検察の歴史(荻野富士夫『思想検事』レビュー)

           少し前に読んだ新書『思想検事』(荻野富士夫著)が、地味に面白かったのでレビューを書いてみた。自分は官僚制の硬直性と非人間性を憎みながら、同時にそれに萌えている部分があるので(きもい)、興味深く読めた。 特高警察と並ぶ闇の検察 戦前の治安維持法が猛威を奮っていた時代の特高(特別高等)警察についてはよく知られている。政府に批判的な考えを持っている「うたがい」のある人物を捕まえ、取り調べと称して拷問していく軍国主義時代の暗いシンボルである。  しかし、治安維持法が法律として機能

          血塗られた検察の歴史(荻野富士夫『思想検事』レビュー)

          動きつつも、もやもやすること

           いまいち実感がないのだけど、どうやら2019年が終わるということになっているらしい。僕としては「単なる連休」という意識だったけど、どうやらこれは年末の連休だったのだ。実家に帰るとかいうこともなく、忘年会が続いて忙しいということもなく、ただ静かに過ごしている。  今年のことを振り返るに、ここ数年でも本当に特異な年だったなと思う。特に意識したわけでもなく、気づいたらよくわからない激流に飲み込まれて、何度も新聞やテレビで報じられるような出来事になってしまった。もちろん、「ヤジ排

          動きつつも、もやもやすること

          「ヤジ排除」シンポやります(最近の記事なども)

          タイトルの通りです。10/22、札幌市内にて。詳細はこちら↓ ページ冒頭のサムネイル画像は、9/25放送のHBC「今日ドキッ!」より。道警ヤジ排除について特集していたときのもの。 その他、最近の記事など 北海道)首相への抗議で道警から干渉受けた例、計6人か(朝日新聞) https://digital.asahi.com/articles/ASMBB4HGKMBBIIPE00M.html (10/24追記)シンポジウム、実施しました! ニュースなどの報告↓

          「ヤジ排除」シンポやります(最近の記事なども)

          迷惑について(1)

           ハフポストに僕のインタビューというか、コメントが載った。もちろん(?)内容は、例のヤジ排除の話だけど、ここでのテーマは、他のメディアとは違って、日本社会に死ぬほど浸透している「迷惑」の概念が、いかに僕たちの自由な表現を奪っているか、という話。身体感覚レベルでの不自由が当然視されることが、結果として政治的な表現の自由にも悪影響を及ぼす、ということを話したつもりだけど、それがどれだけうまく伝わっているかは、みなさんの判断に任せたい。  本当は、C氏こと桐島さと子も一緒にインタ

          迷惑について(1)

          ゴールデンカムイの「非・政治性」について

          (2018年11月に自分のFacebookに投稿した内容を、ほぼそのままこちらにも転載してみる。時制が古いとしたら、その名残である) ゴールデンカムイを手に取る よく、近所のそば屋で食事をすることがあるのだけど、そこに漫画が沢山置いてあるので、行くたびに手にとって読んだりしている。ここ半年ぐらいは、小学生ぐらいのときによく読んでいた「るろうに剣心」(和月伸宏)を読み返していたのだけど、それを一通り読み終わってしまって、「さて何を読もうかな」と思っていたところで、「ゴールデン

          ゴールデンカムイの「非・政治性」について

          「いること」と生産性(東畑開人『居るのはつらいよ』レビュー)

           僕は、一応ソーシャルワーカーのはしくれなので、そのような仕事の関連本として東畑開人『居るのはつらいよ』(2019、医学書院)を読んだ。ここ一ヶ月ほど、ずっとヤジ排除のことで取材対応したり、デモの準備などをしてきたが、それらとは無関係なこの本を読んで気分転換できたことは、心の救いであった。  しかし、なぜかそれまで考えていたことと似たような話(つまり、日本社会における不自由の話)に合流したのではないか、という気持ちもある。この記事を最後まで読んでもらえたら、なんとなく意味がわ

          「いること」と生産性(東畑開人『居るのはつらいよ』レビュー)

          プラカードを持参しただけで警察に包囲されたおばあさんの話

           2019年7月15日、札幌三越前で「安倍首相に年金問題の不安を訴えようとして阻止されたおばあさん」に、最近お話を伺った(「おばあさん」と呼ぶのはちょっと変な感じもするが、「どんなふうに紹介したらいいですか?」とご本人に尋ねたところ、「いちおばあさん(笑)」と返ってきたのでそうする)  おばあさんは「私なんか軟弱者で…抵抗もしなかったし、ヤジったわけでもないし…」と謙遜しながらも、次のように語ってくれた。 (以下、聞き取り内容の書き起こし) ー ー ー ー ー ー ー ー

          プラカードを持参しただけで警察に包囲されたおばあさんの話

          ヤジ排除についてのもう一つの証言

           デモも近づく8月7日。8月10日の実施に向けて、絶賛準備中。  参加者も募集している状況。詳細はこちらをどうぞ↓  さて、これまで僕の文章も含めて、ヤジ排除について3つの証言を載せてきたが、ここでもう一つ追加で、文章を紹介したい。  以前、「ヤバいおじさん」の話でも出てきたC氏こと、桐島さと子の文章である。おそらく、これまで紹介してきたものの中で、もっとも「ゴリッ」としている内容と思われるが、ヤジの件について好意的(つまり「ヤジ飛ばしたのは良いことだ」)、ないしは排除に

          ヤジ排除についてのもう一つの証言

          ヤジも言えないこんな世の中じゃ…デモ!やります

           まだまだヤジの話の続報。  選挙が終わって数日が経ったが、僕たちが強制排除された件について、北海道警は「トラブル防止のため」「調査中」以上のことを発表していない。つい最近、国家公安委員長が見解を発表したが、内容は「トラブル防止のため」。要するに道警のコピペで、中身がなさすぎる。公安委員会は、警察の業務についても監視・監督してるんじゃなかったのか。  警察のような古いタイプの組織は、「謝ったら死ぬ病」にかかっているのかもしれないが、いくら待っても「調査中」では、こちらとし

          ヤジも言えないこんな世の中じゃ…デモ!やります

          安倍晋三にヤジを飛ばさなかった友人の話

           僕が安倍晋三へヤジを飛ばした日、現場に一緒に行った仲間の中で、もっとも直接行動から縁遠い友人の文章を公開します。彼とはもう十年近い関わりがあるけど、スタンスの違いはありつつも交流を続けている、という感じ。  記述の中には、ちょっと補足したいような気持ちに駆られる部分もあるのだけど笑、「政治には強い関心があるけど、直接行動には抵抗もある」という非常にリアルな内容の文章に共感する人はきっと多いと思う。また、このような社会運動や政治をめぐる葛藤の吐露は貴重なものだと思うので、ぜ

          安倍晋三にヤジを飛ばさなかった友人の話

          「増税反対!」と叫んだあとに

           アベによる演説の現場でヤジを飛ばし、警察によって排除・拘束された別の友人(女性)は、僕よりも長い時間、警察に身体的自由を奪われていた様子であった(両腕を女性警官に押さえられたまま移動したり足止めを食らっていたらしい)。彼女がその時の出来事を文章にしてまとめたので、ぜひ読んでみてほしい。  文章のスタイル含めて、僕とはだいぶ異なるが、これを読むことで、当日の出来事がより立体的に見えるのではないかと思われる(ちなみに「サツエキ」とは札幌駅の略称) 立命館大学の富永さんの、こ

          「増税反対!」と叫んだあとに