見出し画像

解剖学だけじゃない。解剖生理学を学ぶ: 『 免疫 』

基本を知るということは
自分の身体の特徴を知ること
自分の強みを知ることができるということです。

そして、体の基本を知るのに
必要な知識は解剖生理学です。
解剖学だけでは足りません。

解剖とは形を知ることこと。
そして生理とは動き・働きを知ること

このnoteでは、免疫を学びます。


私たちが普段大きな病気に
ならないように体の中では常に病原菌と戦っています。

これは免疫機能の働きです。
健康でいるためには免疫を
高めておく必要があると言えます。

このnoteでは、免疫の仕組みを学んでいきます。

■自己と非自己

免疫とは外敵の侵入から身を守ることです。
そのためには二つのステップが必要です。

最初のステップは自己と非自己を区別すること。
そして非自己と認識したものを排除することです。

では、非自己にはどんなものがあるでしょう?
細菌やウィルスだけでなく、毒物などの物質、
がん細胞、老廃組織、他人の組織など
自分の正常細胞以外のもの全てが非自己なのです。

■体を守る白血球

非自己の排除のために働いている代表が、
白血球で、リンパ球、マクロファージ、
好中球・好酸球・好塩基球、ナチュラルキラー細胞などがあります。

リンパ球は大きくTリンパ球と
Bリンパ球に分けられます。

Tリンパ球は免疫反応の調節として働き、
Bリンパ球はTリンパ球の命令に従って、抗体をつくります。

■白血球の戦い方はいろいろ

異物が体内に侵入してきた時に
真っ先に出動するのが好中球です。

好中球は貪食と言って敵を食べて片付けます。
またマクロファージも貪食します。

異物を食べた好中球ごと食べます。
好酸球は寄生虫やアレルギーで増え、
好塩基球は炎症と深い関係があるとされます。

ナチュラルキラー細胞は
毎日、体の中をパトロールしており、
生まれたてのがん細胞を発見すると細胞を丸ごと始末します。

■アレルギー

本来ならば起こっては
いけない過剰な免疫反応がアレルギーです。

例えば、スギ花粉や
ダニ対しての過剰すぎる反応や、
自己である組織を非自己と認識してしまい、
これを攻撃してしまうことです。

例えば、気管支喘息や花粉症、
アトピー性皮膚炎、関節リウマチです。

膠原病と言われているのも自己免疫性疾患です。
好中球やマクロファージ、
ナチュラルキラー細胞は相手を選ばず、
体にとって良くない異物は全て退治するように戦います。

しかし、戦う相手を
見極めて退治した方が
もっと効率が良いはずですよね?
そうした戦い方を免疫と言います

■免疫

免疫のトップに立つのが、
ヘルパーT細胞です。

T細胞になる細胞は胸腺にいき、
そこで免疫の仕事を学びます。

マクロファージは異物を
貪食するとその情報をヘルパーT細胞に送ります。

敵の侵入を知ったT細胞は
マクロァージを励ましたり、
キラーT細胞に命令して細胞を破滅させます。

またB細胞にも連絡し、
抗体を作らせます。

抗体は敵に取り付くと力を奪います。
免疫系は発動に時間がかかりますますが、
記憶することができ二度目に
同じ敵がきた場合はすぐに出撃ができます。

その仕組みを使用したのが予防接種です。
弱めた病原体(ワクチン)を
あらかじめ体内に入れておき記憶させ、
本物の敵が来た時に即座に対応できるようにしているのです。

■リンパとの関係

白血球は骨髄で作られますが、
リンパ節のなかで増殖します。

リンパ節はリンパ管の関所見たいなもので、
入り口は多いですが出口を少なくすることで
渋滞を起こすようにしています。

この渋滞のおかげで異物や敵が
体の中にいてもリンパ節の中の
白血球が退治してくれるのです。

調子が悪い時に
リンパ節が晴れているのは、
白血球がしっかり動いていてくれる証拠です。

なのでリンパ節が痛い時や
硬いときは触らず、強い運動で流したりしないほうが無難です。

■色々な生体防御システム

T細胞を作る胸腺以外にも
白血球が常在する場所があります。

それが、脾臓、扁桃、小腸です。
脾臓は胃の左後ろにある器官で抗体が盛んに作られます。

また脾臓は赤血球の墓場でもあります。
喉の粘膜にある扁桃は特に大きなリンパ組織の集合体で、
のどを輪のように囲んで中を通る病原体と戦います。

体の内側を覆う粘膜にも
多くの防御反応があります。

涙や鼻水で洗い流したり、
下痢だったり、場所が喉だったら
痰として粘液を出したりします。

また大腸や膣の壁は
中に住み着いている乳酸菌によって悪い菌から守ります。

■自律神経との関係

自律神経の乱れは、
「交感神経、副交感神経のどちらかに偏った状況が長く続くと、
白血球の中のリンパ球と顆粒球のバランスが崩れ、
免疫力が低下し病気を引き起こす」と
『安保徹のやさしい解体新書』の著者安保徹先生が話されています。

無理し過ぎる生き方で
交感神経に傾くと、アドレナリン受容体を
持つ顆粒球がふえて死んでいくときの
活性酸素によって炎症や潰瘍を起こし、
組織破壊の病気を引き起こします。

リラックス過剰の楽し過ぎる生き方で
副交感神経に傾くと、アセチルコリン受容体を
持つリンパ球がふえて小さな物にまで反応し、
アレルギー疾患を引き起こすとのこと説もあります。

ちなみにアドレナリンと
アセチルコリン両方の受容体を
持っているのがマクロファージです。

交感神経が優位になると
活発に体内をパトロールして異物を警戒し、
副交感神経優位になると異物を貪食し、消化排泄を行います。

体内の状況に応じて数が変化します。
マクロファージがふえているときは、
ウイルスや異物、異常細胞や戦闘後の
免疫細胞の死骸などの処理を行っているときです。

体の中を掃除して治癒へ向かっていきます。
血液を採取して白血球分画検査を行えば、
簡単に白血球のバランス、
つまり免疫力の状態を把握することができます。

自律神経のバランスがよく働いて
健康な状態のときには血液1立方ミリメートルあたりに
4000~6000個の白血球が含まれます。

白血球の中のリンパ球と
顆粒球のバランスは、
約54%~60%の顆粒球、
約35%~41%のリンパ球、
約5%のマクロファージという割合が理想的です。

本日のnoteは免疫でした。

まとめ

これで解剖生理学講座が全て終了です。
各noteにて器官系を説明していきましたが、
章同時の繋がりは見えてきたでしょうか?

呼吸器系、循環器系、消化器系、
筋骨格器系、外皮系、中枢神経系、
自律神経系、内分泌系、免疫系、
泌尿器系、生殖器系など
それぞれが独立しており、
そしてそれぞれが繋がっています。

セラピスト、ピラティスインストラクターや
トレーナーが目が行きがちな筋骨格器系においても
ただ筋肉を動かして強くすることのみではなく、
呼吸や循環を促したり、内臓に作用したり、
脳を使ったり、感覚を研ぎ染ませたりと
色々な効果が波及することが学べたと思います。

全ては一つです。
この講座で学べたことが
皆さんの更なる向上に繋がることを望みます。

解剖生理学をまとめた電子書籍はこちら↓
coming soon

0ホメオスタシス
1呼吸
2循環
3消化
4筋肉・骨
5皮膚
6感覚・神経
7脳・脊髄
8ホルモン(内分泌)
9自律神経
10小便・大便(泌尿器)
11生殖
12免疫

今日はここまで

もう逃げない。ここで学ぶ!

「スキ」をポチッとして次の記事へ。
小さな行動を起こすことが大きな目的につながります。
【次の記事】

【以前までの記事】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?