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私の徒然随想

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矛盾の行方

矛盾の行方

 横井庄一(1915年3月31日-1997年9月22日)と丸山眞男(1914年3月22日-1996年8月15日)。2人が同時代を生きたことは知らなかった。2人には従軍経験があり、横井庄一はサイパンで四半世紀以上結果的に1人残されて帝国陸軍軍人として生きた。帰国にあたってはその間の行為に恩赦が出される経過を経て日本に帰国できたようである。恩赦を与えたのはマルコス大統領だったようだ。

 堀川惠子の著

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 Ambivalent(両価的)な日本の私 (アホの覚書)

 Ambivalent(両価的)な日本の私 (アホの覚書)


 図書館で「大江健三郎 柄谷行人 全対話 世界と日本と日本人」(講談社)と表題の付いた一冊を不意に手に取った。作家と文芸評論家の対談がまとめられた図書で読み始めると、それは1994年6月、1995年3月、1996年5月と約2年にわたり3回に分けて行われた対談であった。一冊の書籍に纏められる前にも、断片的に読んでいた気もしたが、筆者に理解できないことも多く語られていた。対談から四半世紀が経ってか

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埼玉県ふじみ野市立てこもり医師殺害事件に思う

埼玉県ふじみ野市立てこもり医師殺害事件に思う

 筆者が最初にこの事件に触れたのはパソコンのネット上でだったと思う。昨年末の、大阪市で起きた心療内科の火災の事件も、やはりパソコンのネット上で知った。だから、当初詳細はわからなかったが、クリニックで火災があったようだ、立てこもりで何かがあったらしい…と、実に生かじりの知り方しかできない状態のまま、徐々に報道して伝えられることが増えだし、テレビのニュースや新聞などでも、多少その後のことを知ることにな

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十代目柳家小三治

十代目柳家小三治

 10月2日まで高座に出ていたそうだ。筆者が落語を生で聞いて初めて興味を持った噺家だった。1969年9月に先に入門した兄弟子らを飛び越え、真打ちに昇進したそうだから、才能を見込まれていたのだろう。筆者が生まれたときは既に噺家で、亡くなるまでひとりの落語家だった。

 地方都市の長崎市近郊に長く暮らす筆者には、寄席に足を運ぶ機会はそうあるものではない。地方都市では、地方に巡業に来た落語会や大学の落研

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第49回衆議院議員総選挙を控えて

第49回衆議院議員総選挙を控えて

 立憲民主党及び共産党などによる野党共闘はなかなかむずかしい状況にあるようだ。野党による統一候補を立てる方針は共有しているそうだが、足並みが揃っている訳でもないようだ。しかし、それも仕方ないことかもしれない。

 細川護煕を中心にした日本新党を中核に、第40回衆院選を経て自民党が野党になる政権交代が起きた。細川内閣、羽田内閣と短命に終わり、再び自民党が与党に組する状況が生まれ、村山内閣が成立した様

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サンフランシスコ平和条約調印70年

サンフランシスコ平和条約調印70年

 昨年末、2019年11月から2020年3月にかけて、当時の首相が国会で118回嘘の答弁をしていたことが衆院調査局により明らかにされた。第一次安倍内閣が2006年9月26日に発足し、同年12月15日には教育基本法の改正が国会で可決・成立し、12月22日には交付・施行されたが、それらの期間はいずれも3〜4ヶ月の期間だったことになる。

 サンフランシスコで講和会議が開かれると決まったのは1951年7

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舌足らずながら日米安保体制転換節

舌足らずながら日米安保体制転換節

 ジョー・バイデンJoseph Robinette Biden Jr.第46代合衆国大統領が2021年1月20日に誕生した。78歳での就任という。ジョン・F・ケネディ第35代大統領以来、2人目のカトリックの大統領誕生となったそうだ。JFKは選挙で選ばれた最年少(就任時43歳)だったそうだから、かなり高齢での就任になる。

 9.11以来、米国のアフガニスタンへの軍事的な侵攻が始まり、その撤退を米国

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アフガニスタンと憲法9条

アフガニスタンと憲法9条

 米軍がアフガニスタンから撤退する。それに伴い、アフガニスタン政府首脳が逃亡し、政府が崩壊した。アフガニスタンの駐日大使経験者が取材を受けて、これほどのスピードで政府がタリバンに制圧されることは考えられなかった旨日本語で答えていた。

 故加藤典洋(文芸評論家)は晩年にかけて「戦後入門」「9条入門」と、護憲派と改憲派にステレオタイプに分けられる敗戦後の日本の国内論争の起源に遡り、上手く表現する力量

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二.二六事件から85年

二.二六事件から85年

 先日2月26日を迎えた。知らなかったが、この日は歌手の桑田佳祐やサッカー選手の三浦和良の誕生日らしい。そのことがTVニュースで紹介されていた。案の定であったが「昭和維新」と呼ばれもする陸軍将校等の軍事蜂起から85年になることは日常的に紹介されなかった。

 筆者も詳しくはないが、Wikipediaを調べつつ記すと、1935(昭和10)年頃、陸軍内では皇道派と呼ばれる一派と、東條英機も所属していた

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2度目(2021.1.8〜2.7)の緊急事態宣言に当たって

2度目(2021.1.8〜2.7)の緊急事態宣言に当たって

 NHKの特設サイト新型コロナウィルスによると、緊急事態宣言1回目の状況には以下の経過があったようだ。すっかり忘れていたので記しておきたい。2020年3月13日に新型コロナウィルスの特別措置法が成立し、それに基づき4月7日に東京、神奈川、千葉、埼玉、兵庫、大阪、福岡の7都道府県に緊急事態宣言がまず出された。4月16日にそれが全国に拡大され、北海道、茨城、石川、岐阜、愛知、京都の6道府県を、4月7日

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何かと似ている…

何かと似ている…

 2020年大晦日に都内の感染者は初めて一日あたり1000人を超えた。2021年7月中旬には、一年延期された東京五輪大会が開催されると伝えられる。四年に一度の東京都議選も控えているらしい。1940年に予定された東京五輪大会は1938年に当時の文部大臣木戸幸一が開催権の返上を決めたが、当時はその前年に、近衛内閣の下で盧溝橋事件が起き日中戦争が始まっていた。

 コロナウイルス感染が収束する目処のない

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2020年12月24日安倍晋三会見に触れて

2020年12月24日安倍晋三会見に触れて

 議員辞職勧告決議が国会でなされることが適当ではないかと思った。個人の見解だから、きっと偏った意見に違いない。しかし、数ヶ月前まで現職内閣総理大臣であった人物が、この日に自らの政治活動に関する虚偽発言を繰り返してきた謝罪がなされるのは、偶然ではないのだろうと思った。

 極東国際軍事裁判の判決に基づき、東條英機、広田弘毅らが処刑されたのは1948年12月23日のことだから、それから72年が経過した

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地域医療構想?何それ!

地域医療構想?何それ!

 ひょんなことから、兵庫県のある自治体で公的医療機関、つまり「市民病院」と呼ばれたりする施設の維持、存続について、行政長、つまり市長から自治会長、市議や民間医療機関の理事長と言った、勿論有権者、市民も含めた様々な立場の人々を巻き込んで、上を下への騒ぎ大騒ぎとなっているらしいことを知った。

 最近、「病院の世紀の理論」猪飼周平著を借りたものの、碌に読めず返却したことがあるが、そんな学術的な文脈とは

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デジタル庁の創設に触れて。

デジタル庁の創設に触れて。

 菅内閣が2020年9月16日に発足した。硬いことを多少記すので無理にお付き合い頂かなくとも結構だが、2006年9月26日の第一次安倍内閣の発足から約14年後になる。その当時、国会で教育基本法の改正と、防衛庁の防衛省への再編に向けた法案が3ヶ月ほどで成立した。2006年の年の瀬、安倍晋三は宰相として「民主主義の成熟」を口にしたのだった。

 小渕内閣の下で自公連立政権は発足し、民主党の3年3ヶ月の

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