さぼってん@かくたす編集部

出版社で雑誌と書籍の編集を約15年経験。1億総発信時代の今、オンラインで編集を頼める「…

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出版社で雑誌と書籍の編集を約15年経験。1億総発信時代の今、オンラインで編集を頼める「オンライン編集者」として個人のコンテンツ制作のサポートをしている。詳しくはWebサイト「かくたす編集部」https://cactus-editor.com/ まで。

最近の記事

書籍企画書ってどう書くの?

書店には、さまざまなジャンルの本がたくさん売られていますよね。 その一冊一冊が書籍の出版企画書が発端となり、制作がスタートしています。 その企画書の大半は、出版社の編集者さんが立案し、社内の編集会議に提出したものです。 「書籍企画書ってどんなもの? プレゼン資料みたいな立派なものなの?」 と思う方もいるかもしれませんが、意外とシンプルです。 Wordで、いくつかの項目について文字で端的にまとめた企画書が一般的ではないでしょうか(もちろん細かくフォーマット化している

    • 推敲の本当の価値とは

      文章を書き上げたあとに、さらに文章を磨いて仕上げていく作業を「推敲」と呼びます。 推敲とは、いわば文章を自分というフィルターで「ろ過」する作業です。 推敲をまったくしていない書きっぱなしの文章には、不純物が混じっています。 そのため、書いてあることがまっすぐ伝わらず、わかるような、わからないような中途半端な伝わり方をしてしまう。 推敲しきれていないということは、書き手自身が書きたいことを本当の意味で認識できていないということなので、それ相応の伝わり方をするといったほう

      • 編集者は「上手な文章」を求めているのか

        そう思って、私のnoteを読んでくださっている方もいるかもしれません。 では、「上手な文章」とはいったいどういうものなのでしょうか? 「上手な文章」のイメージはありますか? 流れるように読むことができて、論理構成もバッチリで、人の心を動かす魅力にあふれた文章。 手を入れる箇所が見当たらないような一文字一文字にまで配慮が行き届いている文章。 そんなイメージでしょうか? 「上手な文章」より求められるもの編集者の立場から言うと、ライター、ブックライター、文筆家など、「書

        • いつか本を出したいあなたへ

          「いつか本を出したい」 そう思っている方は潜在的に多くいるような気がしています。 では、どんな人が本を出せるのでしょうか。 まずは、当たり前ですが が前提となります。 インターネット、SNSが発達した今は、自分のコンテンツをアウトプットしておけるプラットフォームがたくさんあります。 そのどこかに、ある程度の量のコンテンツをためておくこと。 そして、コンスタントにコンテンツをアップし続けていることが大切です。 アウトプットの形態は、文章でなくても構いません。

        書籍企画書ってどう書くの?

          自分のために書けばいい

          編集や文章に関するメルマガを始めたとき、自分が思っているよりも多くの方が反応してくださり、実際に登録してくださいました。 私自身、想像していなかったことで、とてもびっくりしました。 同時に、 という問いが、私の中に生まれました。 あくまで想像なのですが、メルマガに登録してくださった方たちは、文章のスキルやテクニックはもとより、 という思いを持っている方が多いのではないかと思いました。 そんなもどかしさを感じているのかもしれない。 「あなたの言葉」はどこへ行った?

          自分のために書けばいい

          場に適した文章の「振る舞い」とは

          私は編集者なので、「文章を書くプロ」ではありません。あえていうなら、「文章を整えるのが得意な人」でしょうか。 では、そんな「文章整え師」である私が文章を編集するとき、最初に考えることは何か?  今回は、そんなお話です。 文章を編集するときに最初に考えることもし、何の前情報もなく、 と、原稿がポーンと送られてきたら。 私はざっと目を通したうえで、こんな質問を返信すると思います。 文章整え師、なぜこんな質問をするのでしょうか。 ・・・・・・・・・(考える時間) そ

          場に適した文章の「振る舞い」とは

          内なる編集者を育てよう

          私は長年、編集者として雑誌や書籍などの制作にたずさわってきました。 専門職扱いされることも多いのですが、私は特別な技能が必要な職種ではないと思っています。 なぜなら、文章を書く人はすでに誰もが「編集者」だからです。 メールを送信するとき、SNSに投稿するとき、事前に文章を読み返してチェックしますよね。 意識しているかどうかはさておき、そのときあなたの「内なる編集者」が仕事をしているのです。 しかし、「内なる編集者」に的確な仕事をしてもらうのは、簡単ではありません。

          内なる編集者を育てよう

          「学びはハードルが高い」と感じているあなたにおすすめの一冊

          あなたは学ぶのが好きですか?  「学ぶの大好きです!」という人も(ネットの世界を知り、そういう人がたくさんいることを知りました)、「学ぶのが好きすぎて、いろいろ手を出すものの全部中途半端」という人もいれば、「子どもの頃から学びを強要されて、もうコリゴリ!」という人もいるかもしれません。 私自身は、もともと という人です。受験勉強がトラウマになっているのかもしれません。 そんな私が「学び」がテーマのこちらの本(↓)の編集を担当させていただくことになり(いいのでしょうか)

          「学びはハードルが高い」と感じているあなたにおすすめの一冊

          「子どもの宿題を見るのが苦行!」という方におすすめの一冊

          公認心理師であり、不登校・発達障害の子どもたちの個別指導塾「きらぼし学舎」を運営している公認心理師の植木希恵さん(以降、きえさん)さんの著書が7月27日(木)に発売されます。 この数カ月、編集担当としてきえさんと一緒に走り抜けてきました。 途中「ま……間に合うのか!?」とハラハラする時期もありましたが、きえさんの鬼のような執筆スピード、制作チームの皆さんのご尽力により(本はいろいろな方の力を結集して生み出される)、無事ここまでたどり着きました! 予約が開始されました。

          「子どもの宿題を見るのが苦行!」という方におすすめの一冊

          「40歳の壁」に押しつぶされた私が自分の足で立ち上がるまで

          昨夜、Voicyのトップパーソナリティとして活躍されている尾石晴さん(以降:はるさん)のご著書『「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の出版記念イベントがありました。 私は、底本となったKindle本『サバティカルタイム 「40歳の壁」を越える戦略的休暇のすすめ』の編集を担当したこともあり、今回のイベントのパネリストとして参加させていただきました(身に余る光栄)。 「40歳の壁」とは、40歳前後で感じる「私の人生、このままでいいのか」

          「40歳の壁」に押しつぶされた私が自分の足で立ち上がるまで

          どうやったら編集者になれるのか?

          編集者って得体の知れない職業ですよね。編集者を名乗っている私自身もそう思います。 できあがった文章や本などのコンテンツを見ても、編集者のどんな仕事が反映されたのかはわかりません。完成したコンテンツに変更履歴は残らない。つまり、コンテンツの受け手にとって編集者は限りなく透明に近い存在です。 新米編集者時代、料理研究家であるご本人から「料理研究家って資格があるわけじゃないから、名乗ったその日から誰でも料理研究家になれるんですよ」と聞いて、「へぇ〜、そういうものなのか!」と驚い

          どうやったら編集者になれるのか?

          私はあなたと対話したい

          私にとって学生時代(中・高・大)は、決して楽しいものではありませんでした。心にずっと違和感を抱えていたのです。 何に対しての違和感か。友だちと上っ面の会話をする「自分」に対する違和感です。 好きな俳優やドラマ、おいしいお店や「誰々ちゃんが誰々ちゃんを嫌っている」だとか、そんなことは私にとって正直「どうでもいい情報」でした。 それよりも、私はその人が「本当に考えていること、思っていること」を知りたかった。あなたはどう思うのか、なぜそれが好きなのか、なぜ嫌いなのか、なぜそう

          私はあなたと対話したい

          編集者が越えてはならない線のこと

          私は今、出版社やメディア業界の外に「編集者が自ら育つ環境」を作るチャレンジをしています。 「世に生み出されるコンテンツの量に対して、編集者の数が圧倒的に足りないのでは?」という問題意識があるからです。 出版社に勤務していたときでさえ、隣に座っている編集者がどんなポリシーを持ち、どんな赤字を入れているのかは「ブラックボックス」でした。 その「ブラックボックス」のフタを開ける、つまり「編集の手の内を明かす」ことで、編集者になりたい方が自身が編集する際のヒントにしてもらおう、と

          編集者が越えてはならない線のこと

          編集者の仕事「文脈を作る」について考える

          先日、Voicyのトップパーソナリティであるoishi haruさんの『学びの引き出しはるラジオ』に出演させていただきました(身に余る光栄)。 (怖くて、いまだ放送回を聴けていない……) テーマは、はるさんと一緒に制作したKindle本、通称『サバ本』の裏話。ところが、話しているうちに「編集者の仕事とは?」という話題へと話が転がっていきました。 その中で、はるさんが「編集者は文脈を作る人」とおっしゃったんですよね。だからこそ、はるさんが先日オープンした、ちつケアオイル・

          編集者の仕事「文脈を作る」について考える

          働けない自分を持て余しているあなたへ

          私は、決して順調なキャリアを歩んできたわけではありません。 必死でつないできた会社員としてのキャリアは、夫の海外駐在への帯同であえなく途絶えました。7年前のことです。 会社員時代にやっていた書籍編集の仕事は、パソコンとWi-Fiさえあれば遠隔で行うことはできます。ただ、著者さんと意見が食い違ったとき、顔を合わせて打ち合わせする効果を痛いほど感じていた私は、海外で同じ仕事を続けていくのは厳しいと判断しました(当時はZoomなんていう便利なツールもなかったので)。 仕事自体

          働けない自分を持て余しているあなたへ

          「わたしの夢」という作文が書けなかった理由

          あなたは夢を語れる人ですか? 夢を語れる人とは、理想や妄想をポジティブな状態のまま抱えられる人。そして、その素晴らしさを人にプレゼンし、ワクワクするイメージを共有できる人です。 最近、「夢という曖昧でポジティブな理想を抱え続けられること」もひとつの才能だと思うようになりました。 「ネガティブ・ケイパビリティ」ならぬ「ポジティブ・ケイパビリティ」。 なぜそう思うようになったかというと、わたし自身が夢を持ったり、語ったりできない人だからです。夢を曖昧かつポジティブな状態の

          「わたしの夢」という作文が書けなかった理由