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介護の学び#2【決めつけない】

介護業界での20年近くの経験をもとに、学んだことについて投稿していきたいと思います。

今回のテーマは【決めつけない】です。

人と関わる際に決めつけや一方的な見方や思考によって失敗した経験はありませんか?

人は誰でも勝手な見方や一方的に決めつけて見られたり、判断されると嫌な気持ちになるものですよね。

介護の仕事をしていると、多くの方と接する機会がありますが、その中で改めて感じたのが【人のことを勝手に決めつけない】ことの大切さです。

10人いれば10通り、100人いれば100通りの人生がそこにはあり、経験してきたことや価値観などの大切にしていることは人それぞれです。

「そんなこと当たり前だろう」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、このような当たり前のことなのに、私たちは自分の経験や知識を優先させて勝手に目の前の方を決めつけてしまうことがあります。

普段から立ち上がりが頻回な認知症の診断を受けている利用者様がおられました。

会話は部分的に可能ではありますが、大半の理解は難しく、自分が感じていることや考えていることを表現することに難しさのある方です。

特に昼食後には不安げな様子で立ち上がり「いかがなさいましたか」と声をかけると「えっと…」と言いながら、トイレに向かわれるのでした。

トイレを済ませると落ち着いた様子で、座席に戻られ、テレビを見たり他の利用者様と談笑されるなどをして過ごされます。

別の日のことです。

いつもと同じく昼食後に立ち上がられたため「トイレに違いない」と私は思い「ご案内します」と声をかけ、トイレに案内しました。

すると、いつもであればトイレを見つけた際に「ありがとう」と笑顔でトイレに向かわれるのですが、その日は違いました。

「えっと…」と言われながら、トイレではない様子で別の場所に歩き始めました。

なかなかコミュニケーションが難しい方ではありますが「何かをお探しなんですね、一緒に探しましょう」と声をかけてついていくと、ステーションの前の時計の前で時計を眺めながら立ち止まられました。

「時間が気になりますか?」と声をかけると「ん…今日…」と言われました。

時計には今日の日付が書いてあり、その方が気になるのは今日の日付のことでした。

今日の日付についてお伝えすると、その方は笑顔で「誕生日」と言われました。

誰の誕生日なのかを調べていき、わかったのは、その日は旦那様の誕生日でした。

旦那様は既に数年前に他界されていましたが、その方は旦那様の誕生日を覚えておられたのです。

その後、お話を聴きながら外に散歩に行って、旦那様へのプレゼントとして花を摘みました。

利用者様のお部屋に飾られた旦那様との写真の横に花瓶で花を飾りました。

いつもの不安げな表情ではなく、笑顔で「ありがとう」と言ってくださいました。

人には無限の可能性があり、人にはそれぞれの尊い人生があって”今”という瞬間があるにも関わらず、私は人の思いや、人の力、人のことを部分的に見て、知らず知らずのうちに勝手に決めつけていたということに気付きました。

人のことを一方的に決めつけない…当たり前のことではありますが、普段忘れてしまいがちな大切なことを、介護の仕事を通じて改めて学ばせていただきました。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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