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大学院のオンライン授業のあれこれについて書いてみる

大学院、明日から新学期がスタートするんだって。

やばい。

また、あの日々が始まる・・・。


4月に入学したはいいものの緊急事態宣言に突入し、そのまま1ヶ月は休講。5月からオンラインで授業がスタートして、そのまま約3ヶ月間家から授業を受け、春学期(前期)を終え、最近は夏休みを過ごしておりました。

春学期の最中はなかなか大変な思いをしながら授業を受け、「うげ、大学院ってこんなに大変なものなのか」「それともこれはオンラインだからなのか」とか思いながら毎日精一杯で過ごしていたけれど、夏休みが始まるとそれもこれも弾けてしまうようで、しばらく大学院のことは考えない日々。

それでも、明日から授業だ、と思うと、春学期のことがありありと思い出されて、「あぁ、また始まるのか、あれが」と良くも悪くも考えを巡らせてしまうのです。

ということで、明日からの新学期に向けて、脳内整理のためにも「一度もキャンパスに行かなかった2020年春学期」について書いておこうかな、と思います。

大学やら大学院の授業については、頻繁にニュースなどで取り沙汰されているのをみますね。オンラインだけで対面授業がないなんて通信教育と一緒だ、とか、授業料が安くならないことについての抗議が増えているとか、大学生の精神疾患が増えている、とか。

どれもこれも、一概に「こうした方がいい」とか言える単純な問題ではないことはなんとなくわかっているので、簡単に言及はできないけれど、でもどれも「まぁそう思うよなぁ」と、めちゃくちゃ気持ちがわかる案件ではあります。そりゃあ授業料安くして欲しいって思うよな、と思うし、ずっと家から授業を受けるのはなかなかしんどくて、うつ状態になるっていうのもすごいわかる。

私もこの環境にある当事者ではあるから、思うところはたっぷりあるけれど、ほんのちょっとだけ俯瞰的に捉えられている気がするのは、多分「社会人であり、一度キャンパスライフをちゃんと送ったことがあるから」というのと、多様な友人を作りたい、とか色々あれど主な目的は「勉強したい」だったから、というのが大きいと思います。

春学期は、なかなか大変でした。

何が大変って、ひとつは、多分これは1年生に特化した話かと思いますが、友達がいないこと、ですね。

「友達がいない」って、字面だけみるとなんだかすごく大したことないように見えてしまう気がするんですけど、これは結構しんどいと思いました。31歳の大人である私でさえこう思うのだから、まだ10代の大学1年生なんて特に寂しかっただろうなぁ、と。

友達って、何も「めっちゃ気が合うひと」とか「いつも一緒にご飯食べる人」とかじゃないんですよね。一緒の空間で授業を受けて、隣とか前とか後ろとかに座っているだけでいいんですよ。

オンラインで授業を受けていて一番心理的にしんどいな、と思ったのは、「私以外の人が(細やかな意味で)何を考えているかがわからない」ということ。

授業内の議論はもちろん発言するし、人の発言も聞くし、言いたいことはわかる。でも、些細なことがわからないんですよね。なんとなーく、今先生が言ってることが難しいなって思ってるのかどうか、とか、スピード早くてわかんないよって思ってるのかどうか、とか、そういう些細なことが。で、そういう些細なことが1時間半の授業の間に積もり積もっていくから、結構疲れる。

多分、普段の生活でも人の気配とか雰囲気・表情とかをふんだんに察知してコミュニケーションをとっている人は、より一層この疲れを強く感じるじゃないかなぁと思います。

オンラインでも雑談をすればいいじゃないか、とか、遠慮せず発言すればいいじゃないか、とか色々意見はある気はするし、それもわかるんですけど、どこまでいっても「これまで慣れ親しんだコミュニケーション」とか「これまでそうしてきたこと」と今とを比べてしまうのはある程度しょうがないし、そこにストレスが発生するのは仕方がない気がして。

授業前に「今日の課題、難しくなかった?」って話せる人がいたり、隣の人があくびしてるのをみて「あ、この授業しっくりきてないの私だけじゃないんだ」と思えたり、授業後に「文献集め、順調ですか?」って相談できたり、隣の人をチラ見して「あ、そういうノートの取り方あるのね」って学んだり。そういうことの積み重ねって、かなりでかいんだなって思ったんです。「普通」の大学生を経験して、「今」大学院生をやっている身としては。

今年の1年生は、そういう「他者」との触れ合い(触れ合いって言っても、コンパすることでもなく、カフェテリアでご飯することだけでもないです。隣で授業受けてる、とかそういうことだけでいい。もちろんご飯できたらもっと良い効果があるだろうけど)が全くなかったはずで、それは私もそうでした。連絡先を知っている同級生も、対面で会ったことのある同級生も、一人もいません。

その状況で勉強を進める、というのは、なかなか孤独感がありました。


そして、これも大変だなぁ、と思ったのは、課題の多さ

これは正直、私が1年生だから前年との比較ができないのでなんとも言えないのですが、ちょくちょくみる限り「オンラインになって課題が増えた」っていう意見が多いので、そういう面もあるのかな?と思ったり。

おそらく、教授としては目の前に学生がいないわけで、学生がどれだけ勉強をしているのか、を肌で感じる方法が「課題を出させる」しかなかったっていうのが大きいのかな、と思います。どうなんだろう?

たしかに、個人的な感覚になりますが、課題は多かったです。めちゃくちゃ。課題が多ければその分勉強にはなるので別に良いのですが、ただ、予想よりずーっと勉強してたなっていう印象はあります。ちょっと無理してない?勉強以外の時間、足りてなくない?と思うほど・・・。

大学院生なのでコマ数はそれほど多くないのですが(1日1〜2コマとか)全ての授業でもれなく数時間はかかる課題が出されるので、結局毎日必ず課題やってる、っていう感じでした。余白がない、というか。土日もなんだかんだずっと課題やっていた気がします。

これが理想の学生像だ!と言われればそうかも、と思わなくもないですが、結構しんどい人はいそう。なぜなら、繰り返しになりますが、めちゃくちゃ孤独だから。

これ、孤独だから課題が多いように"感じる"っていうのもちょっぴりある気がして。相談する人がいない、愚痴り合う人がいない、励まし合う人がいない。完全に課題にひとりっきりで向き合うしかなくて。「これ難しくない?」「これ多すぎない?おわんねー」っていうしょーもない一言がどれだけ言いたかったか。それで「まじそれ」「本当辛い」って、どれだけ共感されたかったか。

そもそも、その課題量を「多い」って思ってるのが自分だけなのかどうか、すらもわからないんですよね。ひとりっきりで向き合いすぎて、しかも当たり前だけど難しい課題ばかりだから、ストレス溜まってくると頭を抱えながら「こんなに苦戦してるのって自分だけなのかな」って思っちゃうんです。孤独って、そういう感じなんですよね。。。。

課題が出ると、デスクに置いてあるメモ帳に課題と締め切りを書いていっていたんですけど、私の場合、だんだん「仕事」に思えてきたんですよね。まるで"TO DO"のような。全然チームでやらせてもらえないのにハードル高い業務ばっか降ってくる会社員、みたいな感じ。「これ、仕事か?仕事やってんのか?」と何度も思いました。勉強だから、当たり前だけど「評価する」とかそういう概念もないし・・・終わりがない仕事、っていう感覚でしょうか。


それから、個人的にはオンライン授業を経て、「オンライン」にものすごい疲れを感じていきました。オンライン授業が始まってから、友達との飲み会とかイベントとかあらゆるもので「オンライン」が流行って、みんなZoomをやっていたと思うのですが、授業で何時間もオンラインやってると、もうお腹一杯になってしまうというか。できるだけパソコンの前から離れたくなるし、Zoomにうつっている人の顔をみるのが疲れてしまったりするんですよね。

なんなら、テレビのバラエティとかでリモート出演とかしてる芸能人の顔みるのも、ちょっと嫌だったくらい。でも、それでオンラインで繋がることを拒むと、それはそれで孤独になる。その塩梅がどうにも難しいなぁ、と思いました。


・・・・・と、ここまで書くと「まじオンライン授業サイテーじゃん」「超しんどそう」と思われそうですが、それは一部分では合ってるのですが(笑)、めちゃくちゃメリットもあるな、って思ったので、それは言っておきます。

まず、オンライン授業になったおかげで、授業を受けられる人が格段に増えたと思います。

例えば、病気がちな人や、何かしら障害を持ってキャンパスに通えない人。もしくは、地方や他国に住んでる人。とにかく、何かしらハードルがあってキャンパスに行けない人にとっては、オンライン授業ってサイコーじゃんって思いました。他の人と完全に同じ画面をみて、同じ話を同じ環境で聞けるわけなので、そこに関しては格差も生まれないし。ある意味、これまで「しょうがないじゃん」ってないものにされてきた人たちにとって、ものすごく良いことなんじゃないかな、と思いました。

私も、前期で一回だけ体調不良で授業を休んだ日があったのですが、その日の授業を教授が録画してくれていて。(その教授は、休む人がいる日は必ず録画して、学生だけがみられる掲示板にアップしてくれていました)

Zoomの画面録画なので、教授が画面表示する資料も全部見えるし、というか、出席した学生たちがみるものと全く同じものが見えるんです。まっったくおんなじものが。先生が話した一度一句、学生が議論した全て、その場の空気も含めてぜーんぶみられるんです。

これってめっちゃ画期的だな、と思いました。休んだけど、ほぼほぼ出席したようなもんだな、って。オンライン授業は、画面の中でしか行われないからこそ、その画面さえ共有しちゃえば他の人もおんなじ体験ができる。対面授業だったら、どれだけ丁寧にフォローしてもらったとしても、少なからず出席した人とそうでない人の差は生まれてしまうと思うので。これ、当たり前だと思うかもしれないんですけど、個人的には衝撃を受けるくらい、オンラインってすごいなって思いました。めちゃくちゃいろんな人を「拾って」くれるじゃん、って。社会人で、仕事の関係でリアルタイムで授業を受けられない人にもかなり助けになると思います。


あとは、オンラインでも「双方向性」のある授業ってかなりできるんだな、というのも思いました。

オンライン授業でめちゃくちゃ明確に見えたのは、教授の力量というか、努力というか、工夫。私が前期に受けた授業の中でも、「オンラインだからって、全部を諦めてるなー」と思う教授もいれば、「オンラインでもできるだけ対面と同じようにやってやるぞ」っていう気合を感じる教授もいて、正直言って一目瞭然でした。この辺りは、今後かなりシビアに教授の評価がわかれていきそう

中には資料だけアップロードして「読んでおいて」で済ませる教授もいたし、逆に、授業のためにホワイトボードを買って、まるでそこに黒板があるかのように解説してくれた教授もいて(しかも回を重ねるごとに、カメラを新調したりマイクを新調したりして、どんどんわかりやすい授業になっていきました)。

そうやってかなり工夫してくれた教授の授業は本当に有意義だったし、途中からは「あ、これ本当に対面と変わらないかも」って思うこともできました。教授も学生に「オンラインだけど最大限工夫しよう」っていうことを求めてくるから、学生も百均でホワイトボードを買ってきて、っていう指示を出してきたりとか。(ホワイトボード以外の方法もたくさんあるだろうけど、お金がなくても対応できて、慣れてなくても使えるっていう意味では、ホワイトボードってその時の最適解だったかも)

そうやって、工夫しようとすれば結構いくらでもやれることあるなって思ったし、こういう教授がいたから乗り越えられたところもあるなぁ、と思います。その教授、授業は難しいし、めっちゃ詰めてくるから怖かったけど(笑)それでも工夫してくれる熱量が嬉しくて、大好きでした。やっぱり、相手の工夫を感じると、こちらも前のめりになれる。


そんなこんなで(なんか書き出したら止まらなくなってしまったな・・・)オンライン、めっちゃ孤独で、めっちゃ大変で、めっちゃ良いところもある、というお話でした。

孤独、というところに関しては、正直「こうしたら良い」というのがなかなか思い浮かばなくて。感染が比較的落ち着いている状況であれば、段階的に少人数で集まってもOKにしたり、少人数の授業は対面でOKにしたり、っていうくらいの方法しか考えられないんですよね。

私も前期でどうにかして友達を作りたい、と思って、ある講義の掲示板(教授も学生も全員見られるやつ)で一緒に課題に取り組むことになった学生に「もし良ければ連絡先教えてくれませんか?」って声をかけてLINEを交換したりしたのですが(この行動も個人的には結構思い切ったなって思ったのですが、これがヤバいと思われることなのかどうかも、距離感がよく掴み切れないんですよね...)。

やっぱり会ったこともないし、どんな人なのかもよくわからないし、仲良くなったとしてもご飯とか行けないし、というので、LINEしていてもそこまで「孤独感」が薄れた感じがしなくて・・・。SNSとかで繋がるにしても警戒心はそれなりにあるし、工夫が必要だなぁ、と。キャンパスで会うっていうのが、なんだかんだで一番自然なんですよね。

ベースがオンライン授業のままでも、孤独感を感じずに人との繋がりを作る方法、まじでどなたか考えて欲しいです。めっちゃ需要ありますよ。今なら。

で、それなりに負担があるのはわかっているのですが、感染が落ち着いても、オンライン授業はできる限り続けば良いなって本気で思います。キャンパスにも行けて、オンラインでも受けられるのが、一番良いです。それが一番、いろんな環境に置かれている人に等しく教育の機会を与えられる方法だと思うから。欲張りかもしれないけど、欲張っていきたいです。


後期は、ベースはやっぱりオンラインなのですが、すこーしずつキャンパスに行く機会も出てきそう(ゼミとかは対面で行われるそう)なので、孤独感は少しは軽減できそうです。

とはいえ、逆にオンラインと対面が混じるからこそ面倒なことも生まれそうでして・・・。例えば1コマ目が対面で2限目がオンラインの場合、1コマ目に間に合うようにキャンパスにいって授業を受けて、終わったらキャンパスにある"オンライン授業を受ける用の開放教室"に行ってネットに繋いてZoom開いて2コマ目の授業を受けるっていう作業が生まれるんです。キャンパスもそう狭くないですし、トイレとかもいきたいし、とか色々考えると、結構バタバタしそうだなって思ったりしてます。"オンライン授業を受ける用の開放教室"には、他のオンライン授業を受けてる人もたくさんいるので、そこで躊躇なく声だして発言できるかな、とか。

どんな感じになるか、こればっかりはやってみないとわからないですね。



相変わらず、未知な体験ばかりになりそうな、下半期。

結構大変だったなぁ、というのと、すこーしずつ息抜きする方法も前期で学んだので、後期はもう少し気楽に取り組めたら良いな、と思います。

また、気づきがあったら書きますね!
そして、オンラインでの良いリフレッシュ方法やコミュニケーション方法あったら、ぜひ教えてください〜!

Sae


「誰しもが生きやすい社会」をテーマに、論文を書きたいと思っています。いただいたサポートは、論文を書くための書籍購入費及び学費に使います:)必ず社会に還元します。