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不完全な「私たち」がつながっていく、その先

 この本を紹介したいと思います。
 韓国の方、キム・チョヨブさんと、キム・ウォニョンさんの共著「サイボーグになる」です。

 この本は、SNSで知りました。まず教えてくれた方にお礼を言いたいです。SNSは捨てたもんじゃないと思いました。

 この本の著者、お二人は韓国の方であります。SF作家であるキム・チョヨブさんと、俳優であり弁護士、作家であるキム・ウォニョンさん。お二人は障害当事者でもあります。

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 著者二人の往復書簡形式で、SF小説だったり、様々な当事者の方々を例に出しながら、どんどんと話が進んでいきます。

 この本は、テクノロジー、教育、環境デザイン、これからの社会実現など、さまざまな分野に大きく拡がるものです。私には壮大すぎる話で、範疇を超えます。それでも、ちっぽけな存在の私でも、じっくりと考えたいと思う内容でした。

 私は、この分野にガッチリと関わってきたわけではありません。自分のことで精一杯の毎日。もし、もっとしっかり向き合いなさいと言われたら、逃げてしまうような人です。また、私は、読書家でもないので、的はずれな事を書くでしょう。
 ですので、この本について、私が何かいうのは、始めはためらいました。ましてやこの本から、何かしら考察するなど、私には到底難しいことです。

 でも、日本でも、より多くの人に読んでほしい。その思いで、この本を紹介したいと思います。

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不完全な私たちが子育てをしている
 
この本を紹介するために、我が子の事を少し話したいと思います。(本当は公にしたくはないのですが…。何故なら、「  」の母親と冠を付けられる事が、好きではありません…)

 我が子は発達凸凹特性があります。問題もありますが、とても魅力的な子です。そんな我が子のこと、子が育っていく、その先の社会ついて考えながら、この本を読み進めました。
 どんな子でも多少の凸凹があり、個性があります。また、子育てをする大人だって、大なり小なり凸凹はあるでしょう。
 そんな、凸凹を平にする意味について、親が凸を伸ばしすぎてしまう事について、私は時々考えているのです。(私も、子をなんとか伸ばそうと、躍起になるところがあります)
 この本を、難しい話として捉えず、自分の身近なこととして、読みました。そして、我が子が自身の特性を持ちながら、どう社会と折り合いをつけて生きていくのかを、改めて考えました。


不完全な「私たち」が放つ光
その光を受け止める社会

 著者二人の話の交換が進むうちに、だんだんとこの先を描きだしていく。それが、まるで遠くの光に向かって走っていく、2人のランナーを見ているようで、爽快な読感でした。

手探りで、この先の光を見つけ出す

 私は、この本に線を引きながら、時にうなずきながら読みました。そして、この本で描こうとする将来のすがた(著者たちもそんな話になるとは思ってなかったようですが)、それは何かわからないけれど、ほんの一瞬、私の前で浮かび上がったような気がした時、思わず涙が込み上げてきました。

 私がほんの少し体感し、考えていることと、似通った考え方の人がいるということ。そういう人が、世界の何処かにはいるんだ、と実感できたこと。そんな素敵な体験が、この本でできたこと。それが、本当にうれしい。

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さまざまな声が集まり、かたちとなるよう

 この本を読みながら…、
 韓国の著者2人の話から、私たち読者が、人と人との差異から何かが生まれる可能性について考え、また別の様々な媒体から、全く違うアプローチが、でも新しい、明るい小さな声たちが、次々とバトンタッチされ、実際に形にしてくれる人達につながっていくよう。
 
この本の表紙のように、手と手が繋がっていくよう。そんなことを、願いながら…。

 この本について何か書くことで、私もほんの数ミリ、手を伸ばしてみたかったのです。そして、ほんの少し、誰かにバトンを渡してみたいのです。

かすかに見える誰かに。