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裁量労働制対象業務拡大議論を懸念し反対する意見書を日本労働弁護団が公表

裁量労働制対象業務拡大に反対する意見書

2022年10月19日に「これからの労働時間制度に関する検討会報告書に対する意見書」を日本労働弁護団が公表したが、日本労働弁護団の井上幸夫会長は「裁量労働制をはじめとする労働時間制度の見直しを検討するに当たっては、まず、長時間労働の助長や違法・濫用適用など、制度がもたらしている問題点を是正し、適正に運用するための議論を進めることが求められている」と。

そして「濫用防止策や健康確保措置についても、裁量労働制の適用対象業務を拡大することを正当化するために議論するということがあってはならず、あくまで現行制度を前提として、裁量労働制のもとで働く労働者を守るために議論がなされるべきである」と。

これからの労働時間制度に関する検討会報告書に対する意見書<抜粋>
<略>今後、裁量労働制をはじめとする労働時間制度の見直しを検討するに当たっては、まず、長時間労働の助長や違法・濫用適用など、制度がもたらしている問題点を是正し、適正に運用するための議論を進めることが求められている。

特に、裁量労働制については、濫用の弊害が現行制度のもとですら見過ごすことのできない状況にある上、報告書が強調する柔軟な働き方へのニーズに対しても、フレックスタイム制の活用等、実労働時間規制の枠組で対応することが可能であるから、適用を拡大する方向での議論を進める必要はない。濫用防止策や健康確保措置についても、裁量労働制の適用対象業務を拡大することを正当化するために議論するということがあってはならず、あくまで現行制度を前提として、裁量労働制のもとで働く労働者を守るために議論がなされるべきである。

なお、そもそも、労働時間制度のあり方など労働法制に関する重要なテーマについては、本来、労働者代表がメンバーに加わっている場において議論しなければならないテーマであり、労働者代表が検討会委員に加わっておらず公労使三者構成の取られていない検討会においてこのような議論を進めること自体、適切とはいえない。今後、労働政策審議会等で検討を進めるに当たっては、労働者代表が関与せず作成された今回の報告書の枠組みに縛られることなく、労働者側の意見も踏まえた議論を求める。(日本労働弁護団サイトより)

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