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舞台「父と暮せば」~死んだ者の願い、生き残った者の悔い~

┈┈┈「うちはしあわせになってはいけんのじゃ」

「おまいはわしによって生かされとる。あよなむごい別れがまこと何万もあったちゅうことを覚えてもろうために生かされてるんじゃ」 

広島の原爆で亡くなった父親が、生き残った娘のところへ幽霊となって出てきて…┈┈┈┈┈┈┈

ずっと観たかった父と暮せばを観に行った。1年半ぶりの観劇。


正直舞台で泣いたことはあまりなかったんだけど、
地球終わるんか?ってくらい号泣して、目真っ赤で帰りました。
顔をくしゃくしゃにして泣いた作品は他にタイタニックと愛の不時着と永遠のゼロ(初回のみ…)くらい。

モバイルチケット初だったもので、席が指定なのを知らなくて本来より13列も後ろの席でみてしまい、それがものすごく後悔にはなっていますが…。以下感想

🤍🕊

「うちは幸せなっちゃいけんのじゃ」「生きとるのが申し訳のうてならん」

「あの日、あの朝、広島の上空580mのところで原子爆弾ちゅうもんが爆発しよったのは知っちょろうが。爆発から一秒後の火の玉の温度は摂氏1万2000度じゃ。あの太陽の表面温度が6000度じゃけえ、あのとき、ヒロシマの上空580mのところに太陽がペカー、ペカーッ、2つ浮いとったわけじゃ。」


「しかもそこへ爆風が来よった。秒速350m、音よりも速い爆風」

原爆で生き残った者の苦しみ、痛み、後悔
そして死んだ者の願い

「あんときの広島では死ぬるんが自然で、生き残るんが不自然なことやったんじゃ」
「うちが生き残ったんが不自然なんじゃ」
「うちはおとったんを地獄より酷い火の海に置き去りにして逃げた娘じゃ」
「おまいはわしによって生かされとる。あよなむごい別れがまこと何万もあったちゅうことを覚えてもろうために生かされてるんじゃ」

いま家だったら良かったのに、と思うくらい涙が次々と溢れてマスクの中が大惨事になったほどだった

想いの詰まった手紙、本当は投函したいけれどできない手紙。その手紙を無理やり投函させようとし、握らせるおとったんの言葉に声を上げて泣く美津江。

二人芝居で観客を泣かせ、笑わせ、戦争の惨さ、生き残った者と死んだ者の願いを描く
演出はじめとする、音、明かり、美術の裏方と、技術の高い役者陣が集っているからこそ織り成せる舞台だと思った

みんなにもみてほしいとおもったし、このコロナの時期に若い子から中年層、お年寄りまで幅広い客層が観に来ていて、皆終演後にすごく大きな拍手をしてたのに胸が熱くなった

2人芝居で観客たちをここまで泣かせて笑わせて、って人って繋がり合えるんだなあと思ったよ。

「おとったん、ありがとありました」


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