遺香庵(京都高山寺)


「遺香庵(いこうあん)」

国宝・鳥獣人物戯画の所蔵で知られる京都の高山寺にある茶室。

また、高山寺は日本最古の茶園を有し、お茶の発祥地とされています。宋からお茶の実を持ち帰った栄西禅師(1141~1215年)から当寺を開山した明恵上人(1173~1232年)に茶の実を贈ったことから、はじめて茶が作られたそうです。

昭和6(1931)年、明恵上人七百年の遠忌を記念し、上人の茶恩に報いその遺香を後世に伝えることを目的に、大正期の茶人・高橋箒庵(そうあん)ら103名により寄進されたのがこの茶室だそうです。

建築は三代目・木村清兵衛、露地は七代目・小川治兵衛の作で、四畳台目の茶席と広間八畳、水屋三畳からなります。

茶席の内部は平三畳台目の下座側と、床前に一畳を付けた構成で、床前の一畳には板畳を添えて給仕口の踏込としています。

台目の大きさの床の間はこの板畳側に寄せて設けられていることから、壁の中央に位置するため、両脇の柱が床柱となる二本柱の構えとなります。どちらもあて丸太の荒々しい材で、落掛には和釘が残されたしゃれ木を転用しています。

給仕口の開口部全体には曲がり木を使用して縁取りしております。

点前座の中柱には、曲がりのあるコブシ丸太を立て、勝手付には軸をずらして二種の窓を上下に重ねた色紙窓、風炉先にも下地窓(風炉先窓)があきます。

客座側には二枚障子の貴人口と、躙口とその上の連子窓、隣には茶室では珍しく火燈窓ががあきます。

露地の一画の最上部に建つ腰掛式鐘楼には「茶恩鐘」と名付けられた梵鐘(ぼんしょう)が釣られており、寄進者103名の名が刻まれているそうです。

平成7(1995)年には京都市指定名勝に指定されており、この茶室は通常非公開ですが今も現存します。時々、特別公開もしているようです。

(京都にある茶室をまとめています↓)

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