【エッセイ】少しだけ、行動してみた
私はいま、性転換手術なしに戸籍上女性になれちゃうかもしれない法改悪を憂いている。
同じ考えのお母さんたちは、地方議員に陳情にいったりしているが、私はおしゃべりが得意ではない。
周知運動が何より大切と分かっているけれど、そもそも友達がいない。
大学時代なら友達が多かったし、社会人時代なら同僚に話せた。
でも専業主婦になった今、話し相手はもっぱら夫と子ども。
周知運動に最も不向きな人間なのだ。
しかしそんな私にも一人だけ、毎週土曜日にお喋りする相手がいる。
いきつけのカフェの女性オーナーさんだ。
娘を塾におくった帰り道、ここでくつろぐのが私のルーティン。
朝の涼しい時間帯、お客は私しかおらず、徐々に喋る間柄になった。
よし、周知運動をしよう。
先々週だったか、そんなことを思い立ち、チラシをもってカフェにいった。
戦闘、開始。(太宰治、斜陽より)
お姉さんに「性転換手術なしに女性になれちゃうかもしれないって知ってました?」と軽く話題をふってみると、知らないとのこと。
よし、プレゼンタイム。
さらっと世間話のように、しかし熱をこめて危険性について話した。
だけど……。
「大丈夫ですよ」とお姉さん。そしてそこから『ゲイがいかにいい人たちか』を逆に力説された。あれ? お姉さんアライ? 友達にゲイがいるらしく、絶対に悪さをしないらしい。トランスジェンダーを装う変質者の話を繰り返したんだけど、お姉さんいわく「絶対大丈夫」らしい。
……うん、無理だ。
周知運動している人たち、すごい。
相手がいると、こうもうまくいかないのか、と若干凹んだ。
「とりあえずチラシもあるんで、読んでください。もしよかったら」と渡して、すごすご背を向けて珈琲タイム。
失敗した、そう思ってた。
数分後、
「このQRコードでいいんですよね?」とお姉さん。
振り向くと、めっちゃ怒りのオーラを漂わせて、チラシ観ながらスマホ操作してた。
「はい。ありがとうございます……?」
意味がわからない。さっきまでと明らかに表情が違う。
とりあえず無言で見守っていると、
「私、許せないんですよ。性暴力とかするやつ! ……これ『性暴力被害者の会』も入ってるんですね。それを言ってください! 許せない、これだけは絶対許せない」と一気に言いながら、スマホすごい勢いでタップしてた。
その後、お姉さんのお友達の痛ましい話を聞いて帰ってきた(お姉さんのお友達、警察に言わなかったらしい)。
「署名もらえて嬉しい!」となるかと思いきや、ちょっと暗澹たる気持ちになった。
ススキノ首切断事件、高石市の事件は氷山の一角。世の中には埋もれている性犯罪がきっとたくさんあるんだろうな。
私は、このチラシの『有志の団体』に、性暴力被害者の会が入っていたのを最初から知っていたけれども、さほど気にも留めていなかった。性暴力被害者の会がついていることの意味を深く考えたことがなかった。
よく考えたらこれ、すごく重大なことだよね。
最高裁審議で『ちんこつき法的女性OK』となっちゃったら「防犯面で危険です」って、性暴力被害者たちが明確に反対しているんだもの。
このことの深刻さ、恐ろしさに気づいたとき、本当に泣きそうになっちゃった。
性暴力被害者たちが声をあげている。やめてほしいと言っている。それなのにそれさえも無視するのなら、裁判官は悪魔だと思う。女性の生存権をなんだと思っているのだろう。
声が届いたらいい、心からそう思う。
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【署名のお願い】
2023年9月27日、性同一性障害特例法の手術要件が憲法違反かどうかの審議が行われます。
手術要件は必要なものです。
もし手術要件を撤廃してしまうと『男性器ある法的女性』が出現してしまいます。著しく防犯のハードルが下がることが予想されます。
同じように『危険だ』と思って下さる方がおられましたら、下記サイトよりご署名お願いします↓
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