見出し画像

YOUは何しに文フリへ? 有名企業が文学フリマにグッズだけ売りに来るのってどうなんだろう(眠りながら考えた(13))

文学フリマ東京37には、私のようにアリ並みにちっぽけな一般人の目には超・有名・巨大企業と見える方々も参加されていた。
株式会社新潮社様、丸善ジュンク堂書店様、ポプラ社様などだ。

(何だそれは、うちは有名じゃないっていうのか失礼な!と、例えば本屋lighthouse様や七月堂様、ナナロク社様はお怒りになるかもしれない。書肆侃侃房様や百万年書房様も、他にもたくさん。
その場合はぜひ、この記事を最後まで読んでからお叱りください。)

新潮社様のページはみごとだ。
めちゃくちゃ素敵なグッズが綺羅、星のごとく並ぶ。
「太宰治『人間失格』や夏目漱石『吾輩は猫である』など、文豪の作品から生まれたTシャツマグカップマスキングテープなどを中心にイベント価格にて販売予定です。また、店頭展示品をお得に販売する『サンプルセール』を開催予定となっております。」

新潮社様のご出品
ずるい

丸善ジュンク堂様のエントリーページに画像はなかったが、
「全国に約100店舗を展開する書店チェーンです。読書関連の文房具や『檸檬』など丸善とのかかわりが深いアイテムを販売します。一定金額をご購入の方には先着でちょっとしたプレゼントもご用意しています。」
とあるので、たぶんこれらのことだろう。
ほらほら「カワイイ!」が目白押し。

丸善ジュンク堂様のご出品
やはりずるい

ポプラ社様は、このnoteに「お品書き」を投稿なさっていた。

チラ見えている「お楽しみ文庫ガチャ」というのは、
「文庫だけでなく、ポストカードバッヂマステももらえちゃうという、スーパー豪華なガチャです。」
とのこと。

ポプラ社様のご出品
本は何でもいいんだ

私はもの書きなのに、日本語力が絶無であるらしい。
文学フリマは
「作り手が」
「『自らが〈文学〉と信じるもの』を」
「自らの手で販売する」
場なのだと思っていた。

なぜって、文フリの公式サイトのトップページにそう書いてあるからだ。
そう書いてないですか。
何か、他の読みかたが、隠れた意味があるんですか。

丸善ジュンク堂様は、もしかして文房具店だったのかもしれないが、
新潮社様は出版社であらせられると、私はずっと信じてきた。
ポプラ社様も。
その、日本の文学の伝統を双肩に背負ってこられた皆々様が、
「自らが〈文学〉と信じ」たものは、
Tシャツにキーホルダー、ボールペンにマステのことだった。


いったいどういう意味なのか、私の愚鈍な頭脳では理解できない。

おそらく、一般来場者の方々は大喜びだろう。
私の友人も大興奮で、丸善様のグッズを買いに並んでいたようだ。
私は自分のブースでひたすらうつむいて座っていたから、5時間のあいだ2回トイレに行った以外はどこにも行けていない。
他の出店者の皆様方はどうでしたか。じょうずに時間をやりくりして、会場を回った方もおられるとは思うけれど、それもほんの10分か20分ほどではなかったでしょうか。

2023年11月11日に、東京流通センターの第一・第二展示場を埋めていた、
わが同胞、3,000名の出店者の皆さま。
皆さまはどうやって、ご自分の「作品」を準備なさいましたか。
身銭を切って、睡眠時間も食事時間も削って、ご自分の手で作られませんでしたか。夜を日に継いでフルスロットル稼働してくださる同人誌印刷所様方のお力添えを頼りに。

私たちのブースに来てくださるかもしれなかった来場者の何割かが、
巨大企業の、会社のお金で制作された、それはそれはみごとなグッズのブースに取られてしまって、
哀しくはありませんでしたか。

せっかく、ジャイアンのいない秘密の広場を見つけたのに、
けっきょくジャイアンが来て、おもちゃもお菓子もしずかちゃんもごっそり引っさらっていった。
そんなのび太くんの気もちが、痛いほど身にしみませんでしたか。

それも、出版社の編集者様が、個人で、ご自分の手塩にかけた、
「これだけはどうしても売りたい! でもなかなか書店に置いてもらえないから、もうこうなったら文フリしかない!」
という「本」
、に負けるなら、いさぎよくあきらめもつこうというもの。
グッズって。
マステって。ガチャって。

ジャイアン企業の皆さまに、声をふりしぼってお訊きしたいです。
「YOUは何しに文フリへ?」


この記事が参加している募集

文学フリマ

お金について考える

私の記事はすべて無料です。サポートも嬉しいですが、励ましのコメントはもっと嬉しいです。他の方にオススメしてくださるともっともっと嬉しいです。また読みにいらしてください。