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2023年NISA人気銘柄分析 第2回:三菱UFJフィナンシャル・グループ[8306]

三菱UFJフィナンシャル・グループ


概要

第2回はNISA口座で買われた銘柄ランキング2位の三菱UFJフィナンシャル・グループだ。

日本を代表するメガバンクであり、三菱グループの金融持株会社となる。
三菱UFJ銀行、三菱商事、三菱重工業の3社で三菱グループ御三家と呼ばれ財閥解体後も比較的結束が硬い。
また、数多の企業の筆頭株主となっている日本マスタートラスト信託銀行の
4割強を三菱UFJが握っている。
単独では

連続増配銘柄として有名な三菱HCキャピタル(14%)
クレジットカードの三菱UFJニコス(85%)

など三菱グループを中心に

アメリカの投資会社モルガン・スタンレー(21%)
消費者金融のアコム(37%)
フィリピンの準大手銀行セキュリティバンク(20%)
年々シェアを伸ばし口座数500万に到達したauじぶん銀行(25%)

等々の企業に出資している。


会社業績


出店:IR BANK

業績はリーマンショックの2009年、直近の2023年を除き安定している。
純利益1兆円が定着しつつあるのは好印象。
ROAの低さが目を引くがこれは銀行というビジネスモデルに起因するものであり問題にはならない。
銀行は企業や個人から莫大なお金を預け入れられている。
我々の視点では預け入れでも、銀行からすれば借入金となる。
分母となる莫大な総資産(借入金)が足を引っ張りROAが低くなり、自己資本比率も低いためROEも振るわない。

そのためEPSに注目するべきだろう。
EPSは一株当たりの純利益を示す。
リーマンショックから素早く回復し、近年の業績が著しく伸長していることが判る。
特に2023年の伸びは凄まじい。

10/10点

財務状況


出典:IR BANK

総資産387兆円は日本企業で第1位。
堂々たる数字ばかりで問題は見られない。
企業や一個人からの貸出金で商いを行う以上、自己資本比率が低く出るのは致し方ない。
一株当たりの純資産を示すBPSも順調に推移しており、まずますの印象。
他のメガバンク(三井住友、みずほ)と比べても遜色ない決算が続いている。
リーマンショックの2009年、コロナの2020年を含めても総資産が増え続けていることが判る。
逆風に強い企業体質が伺える。

9/10点

キャッシュフロー


出典:IR BANK

絶好調だ。
2021年の営業CFが目立つがこれはコロナ禍で預入金が増えたためであり、気にしなくていい。
このようにノイズも混じるため銀行業のC/S(キャッシュフロー計算書)は当てにならないという人もいるので注意したい。
2023年は本業(営業CF)で13兆円、有価証券の取得(投資CF)で10兆円といい仕事をしている。



出典:MUFG Report 2023(統合報告書)

JCIB(コーポレートバンキング)とGCIB(グローバルCIB)の伸びが大きいことが判る。
これは債権、証券への投資で稼ぐ営業利益が伸長していることを示している。

逆に、受財と市場が減少している。
受財とは日本マスタートラスト信託銀行やeMAXISシリーズに代表される資産運用での収益を指す。
eMAXISは低コストのインデックス投資を趣旨としているので仕方がないが、日本マスタートラスト信託銀行は資産管理残高で日本トップを誇るわりに振るっていない。
売却益をメインとしておらず配当金による安定的な収益を目指しているためだろう。

9/10点

配当

出典:IR BANK

配当金は順調に推移している。
2023年度までに配当性向40%を目指すとされていたがこちらは達成されている。
しかしPBRはいまだ1を大きく下回っているため自社株買いを実施している。
総還元性向57.6%は満足できる数字と言っていい。
少し前まで株価は500円台、配当金5%の高配当銘柄だった三菱UFJはもういない。
2023年9月2日現在では株価1,183円、配当金2.7%と優良銘柄になってしまった。
それでもなお、PBRは0.79。
東証が目指すPBR1になるまで来年以降も自社株買いが続くだろう。
これまで評価されていなかったことが判る。

10/10点

将来性

出典:MUFG

三菱UFJフィナンシャル・グループの海外収益は45%(2021年度)に達する。
日本市場は縮小傾向にあるため海外比率の高さは強みと言える。
アメリカでも持分法適用会社となったモルガン・スタンレーがコンスタントに収益を回収している。
会社のDNAとして海外に子会社を作る傾向が根付いており持続的に発展していける下地は整っていると言って良い。

10/10点

終わりに

これまで銀行株は金利が下がる度に売られてきた過去がある。
他業種は低金利の恩恵を背景に設備投資を行い、グロース株投資が流行しスタートアップが持て囃され……銀行だけが逆風の中にいた。
日銀総裁が交代し、7月末にYCC1%を事実上許容しておおよそ1ヶ月。
三菱UFJの株価は実に1割ほど上昇した。
銀行業にとって長らく待ち望んだ追い風と言っていいだろう。
PBR1倍を目指して自社株買いが続く見込みが強くこれからが楽しみな銘柄の1つだ。

会社業績:10点
財務状況:9点
キャッシュフロー:9点
配当:10点
将来性:10点
合計:48点

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