指輪

婚約指輪って、結婚したあとってどうするんだろう。
そういえば知らなかったので検索窓に打ち込むと『結婚指輪 婚約指輪 重ね付け』とサジェストが出てきた。

どうやら、結婚指輪の上から婚約指輪を重ね付けする、という使い方があるらしい。
なんでも、「ふたりの結婚」を表す結婚指輪の上から、「愛の誓い(約束)」を意味する婚約指輪を重ねる……これにより『永遠の愛にロックをかける』という意味に繋がる、とかいうことだそうだ。
重ね付けしやすいようにデザインされている、セットリングというものもあるんだとか。

幼い頃から、結婚には興味がなかった。
今でこそ改善しているし、嫁姑関係にも起因していたのだろうが、私が中学生くらいまでの両親はものすごい不仲で、まったくどうして結婚したのかというほどにとにかく仲が悪かった。
それでも私が小学生の高学年に差し掛かるかどうかというくらいまではそれぞれ結婚指輪をはめていたが、そういえば気が付いたらはめなくなっていた。
結婚式の写真など見たこともないし、結婚記念日は聞いても教えてくれなかった(何故か妹は聞いたら教えてもらえたらしい。どういうことだろう)。
そもそも、興味を持つだけの土壌がなかったとも言えるかもしれない。

それが今になって、どうしたことか、結婚指輪と婚約指輪の重ね付けなんて調べている。
というのは、ずっと隣にいたい、と思えるひとに出会ったからだ。

ただ、私と彼女とは、現在の法律では結ばれることができない。
女性同士だから。

同性婚を法制化してほしいと声高に叫ぶわけでもないけれど、男女カップルと違ってそれ以上の先がないというのは、なんとなく不安感を覚えるものらしい。
例えば「このひととなら幸せな家庭を築けそう」とか「このひとと同じ名字になりたい」とか、たぶん世の中の彼氏のいる女の子たちが思うことを、同じように思ったところで実現しようがない。
交際を始めてやっと五ヵ月が見えてきたところで、こんなことを考えているなんて重いな、と我ながら思うところだが。

離れているから余計にそう思うのかもしれない。
なにか確かなものがほしい。
繋がっている、結ばれているという、確かなものが。

いや、ペアリングあるじゃん。
それはそう。

それはそう、なんだけど、ね。

誰から見ても、彼女は私のものなんだって、分かるようにしたい。
反対に、私も彼女のものなんだ、って。

そんなことを考えながら、左手の薬指を眺める、夜。

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