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猪突猛進【宇宙短歌〜統合失調症だなんて呼ばれて〜】

猪突猛進【宇宙短歌〜統合失調症だなんて呼ばれて〜】

 正体は宇宙なんです私って
 明滅してる体内の星
 
 病名は御札の代わり封じるの
 狂った思考を流さないよう

 赤?緑?切るのはどっち?爆破する
 狂ったアンテナに刺すナイフ

 寛解は私が私で無くなる時
 それは悲しくそれは嬉しく

 地球人ポップで鬱な宇宙人
 地球の薬で何とかします

 ほろほろと星降る夜とロラゼパム
 淡い期待に溺れさせてよ

 「実は君、この地球(ほし)の子じゃないの

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【詩】月光

【詩】月光

 果て無く続く荒野でただ一輪
 淡く差し込む星の光に
 硝子の花が煌めいていた

 光の反射に色彩は揺れ
 それはまるで地球の涙が零れる瞬間のようで
 私は息を呑んだ

 人の手が触れるのは残酷なことのような気がして
 伸ばしかけた指先は震わせながら荒野に向けて垂らした
 しかし目を逸らすにはあまりに美しく
 私は惨たらしくも人の目を
 その花に向け続けた

 刹那
 凍てつくような風が吹き
 月

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【詩】月人の踊り

【詩】月人の踊り

 真夜中の月に手を伸ばし気づいた
 背丈が伸びた分だけ私は幼少の私よりも月に近づいたことに

 私の精神はみるみるうちに高揚した!
 自己への誇りと未来への希望に溢れ胸を痛めた!
 何にでもなれる気さえ起こした!
 未知への期待…否、完璧な自信の創造!

 けれども、けれども月は未だ遠い
 私の精神は風船のようにしぼんでいく……

 あぁ、月よ。
 お前のその眼(め)は何を視ているのだ
 白々しい

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猪突猛進【サナギ歌集】

猪突猛進【サナギ歌集】

先月から書き溜めていた短歌が幾つかあるので載せます。

1首目はケサランパサラン視点の歌です。

2種目からは抽象画のような歌になっています。

3首目は統合失調症について。

4首目は大正ロマンや昭和レトロにばかり目が向く私への風刺です。

5首目は現代の人間界で人間のふりをしている妖怪がモデルです。

6首目は私もちょっとよくわかってないです。
短歌も詩と同じで頭に浮かんだままに(少し文字数に

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【詩】屠殺所

 所在地も知らない屠殺所を思う
 そこには今日も死ぬ為だけに家畜が居るのだろう
 「有難う」だとか「いただきます」だとか
 惰性で吐いた感謝

 家畜、今なに思う

 所在地は実家
 捻くれた思考だけが肥えて今日も汚く鳴き喚く
 「世論」「持論」「世論」「持論」

 私、今なに思う

 錆びついた心が枯れ葉を眺める
 落ちていく、落ちていく、
 見せかけだけの罪悪感
 怠惰が首を締め付ける
 喉の

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【詩】世界から零れ落ちる命が僕であれば

【詩】世界から零れ落ちる命が僕であれば

 今日が終わるのをただ見ていた

 夕陽が沈んでも月は出ず
 そのせいか代わりか星が綺麗な夜だった

 道端に落ちていたキーホルダー
 主人の迎えを待っているんだろうな

 僕にとっては薄汚れたガラクタのこいつは
 無機質なのに何故か泣いていた

 愛されて生きてきた
 それが息苦しくて耐えられなかった

 「世界から零れ落ちる命が僕であれば」と
 思うだけ思うだけ

 臆病な僕をどうか見捨てては

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詩【1編の詩】

詩【1編の詩】

 色鉛筆で絵を描いた
 ちぎり絵を作った
 編み物をした
 ぬいぐるみを縫った

 けれども一切の制作に私の心は動かなかった
 
 ぬいぐるみを縫った
 編み物をした
 ちぎり絵を作った
 色鉛筆で絵を描いた
 
 私には詩よりほか何も無かった
 障がい者アートの製作会社へ入りたかった
 しかし詩はお呼びではない雰囲気を感じた

 (尤もふつうに働けるのであれば
 障がい者アートの会社になんて入ら

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朽ちる葉も 夢見るサナギも 同じ色
死ぬも産まれるも 同じ悲しみ

詩【星ひとつ】

詩【星ひとつ】

 あなたは太陽、私は星
 あなたは私を一等星だと言うけれど
 それはあなたが他の星を知らないから

 私はきっと……
 燻って殆ど見えないただの星
 あなたの光に私は見えなくなる

 私も夜になれば少しは輝くけど
 それも結局は刹那の煌めき

 あなたは真っ直ぐな太陽
 それでもあなたは自分はもぐらだと言う
 眩しい世界に耐えられないんだと

 あなたをもぐらとは思わないけど
 あなたが本当の姿に

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