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真夜中のラブレター

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真夜中に書いたまま、推敲せずに出してしまったラブレター。
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記事一覧

何者でもない私と『ギフト』をもらった彼女のこと

何者でもない私と『ギフト』をもらった彼女のこと

大学時代の先輩の名前を、ふいに本屋やネットで見る事が増えた。

彼女は学生時代から飛び抜けた実力を持っていて、さまざまな賞を軒並み受賞していた。才能がある、ということなのだろう。

私は、学生時代に彼女のことを認識しておきながら、彼女と親交を結ぼうとはしなかった。彼女を近くで見つめることなど、辛くてできるはずがなかった。
多分、彼女のようになりたくてなれなかった学生は、たくさんいただろう。素直に賞

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いつか私は今日の事を思い出して泣くのだろう

いつか私は今日の事を思い出して泣くのだろう

帰省というものは、得てして帰る側にとっては義務みたいなもので、わたしはいつも間際になって億劫になってしまう。
今回は結局雑務が終わらなくて、帰る日を一日伸ばして帰省した。

実家には私の好きなありとあらゆるものが用意してあり、私は存分に食べて飲んで、少し目方が増えたように思う。
とにかく実家に帰ると私は何もしない。
家の事はもちろん、自分の事も。
「いいでしょう、たまには」という雰囲気に甘えてしま

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クラウドソーシング開始3ヶ月で月収20万円達成して、その後

クラウドソーシング開始3ヶ月で月収20万円達成して、その後

もうずうっと長いこと「書くことでメシを食っていきたい」と思い続けてきた。

今、それがなんとなく達成されて、どうにか独立し、なんとか走り出している。

「ライターです」
と名乗ると当然ながら
「どんなジャンルの記事を書いてるの?」
と尋ねられる。

その度に、私はちょっと困っていた。
クラウドソーシングで受ける案件は、特定のジャンルのものではないし、とにかく、食べていくために仕事は選べないと思って

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フリーランス歴1週間

フリーランス歴1週間

 会社を退職して、フリーランスになって、1週間が過ぎた。
 少しずつではあるけれど、なんとか仕事をいただくことができて、毎日何かしら「仕事」をしている。

 今のこの生活は、会社員だった時よりも格段にストレスが少ない。
 鉛のように重い身体を引きずって、薬を何種類も飲みながら、目眩や腹痛、頭痛に耐えながら仕事をする必要がないだけで、天国のようなものだと思う。
 好きな時間に好きな場所で、自分で選ん

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誰かの頑張りが力にならない時

誰かの頑張りが力にならない時

 どんどん日が短くなって、日に日に寒さが増してくる。東北の冬は、いつも思ったより足が速い。いつのまにか襟元に忍び寄り、徐々に身体を冷やしている。そして、そういえば去年もそんな風に思ったのだった、と毎年のように考える。

 日照時間が少ない季節が、私はあまり得意ではない。自分の意思とは関係なく、気持ちが落ち込みがちになる。
 そういう時には決まって、誰かの頑張りに打ちのめされてしまう日が、週に1度く

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「好き」を集めて世界を作る

「好き」を集めて世界を作る

先日、なんの気なしにしたツイートが、思いの外バズって(当社比)しまった。

他の人からしたら大した事はないのかも知れないけれど、私にとっては、というか『瀬奈サヲリ』はじまって以来のバズりだったわけで、少し動揺した。
そもそも、ウケを狙ってしたツイートではなかった。そして私の本心に限りなく近いツイートだった。

これが、私の好きなものに対するツイートだったら、ここまで動揺したりしなかったろう。バズっ

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性別という役割から解放されたい

性別という役割から解放されたい

近頃、日本の性差別の実態が浮き彫りになるような報道が続いていてうんざりする。
まだそんな意識でやってたのか、と思う反面、どこかでその事実を知っていたような気がしている自分もいる。それほどまでに日本の性差別は社会に浸透しているのだと思い知らされる。無知でいた自分も、きっと同罪だ。

女性は家庭に入り、男性は外に出て働く、という固定概念は、女性を抑圧していると言われがちだけど、一方で男性のことも

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私の青春とauデザインプロジェクト

私の青春とauデザインプロジェクト

auデザインプロジェクトのをことを、覚えている人はどのくらいいるのだろうか。
2002年から行われたそのプロジェクトの全盛期は、ちょうど私の中・高生時代であった。斬新なデザインの携帯電話が次々と発表され、無骨なデザインの多かった他の携帯電話とは一線を画していたのを覚えている。機械のスペックそのものよりも、「かわいい」ことに価値を見出す女子高生だったわたしには、特に憧れの対象だった。

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足掻きながら前に進む

足掻きながら前に進む

どうにもこうにも、上手くいかない。
と、思うのは、もっと上手くできると思っていたからこそで。
自分は自分を買いかぶっていたのだなあという事に気がつかされて、少しきまりの悪い気分になる。

そもそも、変化しようと思っているのだから、上手くいかないのは当たり前なのだ。と、頭ではわかっている。
わたしが今得ようとしている変化は、蛹が一度身体をどろどろに溶かして、芋虫から蝶々になろうとしているくらいの変化

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蝉時雨の縁側

蝉時雨の縁側

母方の祖母の家に来ている。
祖母の家は房総にあり、10年ほど前に祖父が他界してからは、祖母がひとりで暮らしている。
昔はこの家に祖父母と母のきょうだい3人、そして私の曽祖母にあたる人が住んでいた。母屋と離れのある大きな家だ。
私が物心つく頃には、母を含めたきょうだいは皆家を出ており、だからこの家には時の止まった部屋が多くあった。
母やそのきょうだいが使っていた部屋は、一通りの片付けがされているもの

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ありがとうの価値

ありがとうの価値

昔付き合っていた男性(仮にMとする)は、全くといっていいほどお礼を言わない人だった。
誰に対してもというわけではなく、むしろ他の人には積極的にお礼を言っていたような気がする。わたしだけが滅多に彼の「ありがとう」を聞いたことがなかった。

余談だが、わたしの家族はお互いに軽率にお礼を言う。リモコンを取ってもらっても「ありがとう」。ケーキを一口もらっても「ありがとう」。盛大に誕生日を祝ってもらっても「

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