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劇的じゃないリフォームの匠

田舎の古民家をリフォームして、パン屋、ゲストハウスを開業するケースが増えていて、私が住む山梨にもその例は多い。

天然酵母から作るパンにとって、古民家は都合がよいこともあるだろう。あちこちに菌が住み着いているので、『もやしもん』みたいに菌の声を聞いてやればいいのだ。

発酵関係の人は、概ね、「菌の声が聞こえたから、」その道に進むことが多く、それは「発酵」に関係する者の掟なのだろう。

私が書生している「発酵デザイナー」も、「味噌蔵で菌の声が聞こえた。」というし、その師の小泉武夫大先生も「菌の声が、」タルマーリーの格さんも「菌の声が、」。

あれか、選別会みたいのがあって、「はい、じゃーここには、どんな菌がいるか、聞こえたら手を挙げてください。」なんていう予選会を通過した人だけが、「発酵」に熱を注げるやも知れない。

野球で言うところの県予選大会ならぬ、菌予選大会である。わけないか。

話を戻すが、スローライフと言うか、心の余白みたいなものを大事にしながら、田舎、古民家での自営は、素敵な暮らしであるように思う。

「発酵デザイナー書生」をしている私は、もちろんの様に古民家DIYをしまくっている。

発酵デザイナーがパソコンでかたかた原稿書いたりしているとき、発酵デザイナー書生は、畑をしこたま掘ったり、壁に棚をつくったり。

それだけならまだ良くて、「断熱されてないから天井を作り直す。」なんていうから、断熱材を張って、蓋する為にベニヤ90×90を48枚貼ったこともあって、「さて、一体何をしているのか。」と天井に釘を打ちつけたものだ。とんだベニヤ48であった。

思い返してみたら、「今日からよろしくね、早速なんだけど、家の外壁を赤く塗って欲しい。」ってのが最初の仕事だったなぁ。

と言う具合に、多少の差はあれど、ローカルの生活は、アップデートし続けられるのだ。

ローカルに土着して生きる私は、勝手に土着系男子をゆるく名乗っているが、DIYとリフォームの間くらいの難易度の「よりよい暮らし」の為の手立てを皆が田舎ではしているように思う。

偏見なのかもしれないのだけど、都会の生活は、借り物生活なのだと思っている。

いいマンションの壁に穴あけて棚作ったらそこそこ怒られると思うし、まして勝手に断熱材貼ったら「出て行け。」かも知んない。そもそも、断熱されているのか。

手探りで生活を押し上げていく。出来上がったモノは、素人臭くて、ところどころあまかったり、最初と最後で、DIYの質がまるで別人の様にあがってたりすると、「やってやったぜ。」とモノに愛着が湧く。

モノよりコトなんて言われる様になって久しいのだけど、モノとコトは思ったより癒着していると、DIYしながら思う。

それなりにデカイモノ、大袈裟なモノ、イケてる建具なんかを設えると、やっぱ、アガる。

コトだ、コトだ、とヤッケになってぶらぶらするのも楽しいのだけど、どうにもならなそうなモノを直してやると、これもまた、存外楽しい。

網戸張り替えたり、よれた障子貼り直したり、それに必要なのりとかテープとか、網戸切る用カッターがあったり、網戸を貼るのに使うパッキンとそれ用のローラーがあったりなんていう、健気な発見もある。

頭を使って、身体を動かして、少しの発見と達成感が、DIYには、断続的なアップデートに基づくローカルの生活には、本当にたくさん転がっている。

劇的な変化は、普段の生活にいらない。けれども、ちゃんと、美味い飯を食えて、納得感を抱いて寝れる日々は、人生に直結すると思うのだ。

やれる範囲で、劇的でなくてよいから、生活のリフォームの匠になれたらステキなことであると思う。

モノを大事にする精神も、思い出せる気がする。



「わりと、よかったな。」なんて思っていただけたら、銭を投げていただいて、100均以外で茶碗を買いたいなと思います。

有料部分には、DIY疲れした後の自分の癒し方を載せてます。

GWで働きづめの同世代が読んでも良いかもです。

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