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さとのば大学1年生、はじめてのマイプロ奮闘記【合宿プロジェクト 中編】

■このコーナーについて
このコーナーは、さとのば大学の在校生が、学生の目線からさとのば大学の今をお伝えするシリーズエッセイです。

現在、4年制のさとのば大学には1年生6人、2年生1人が在籍中。7人のメンバーそれぞれが留学地域に暮らしながら、オンライン講義で日々顔を合わせています。
そんな彼らが夏休み期間に合わせて立案・企画・実施したのが「さとのば生合宿」。今回はそんな「合宿プロジェクト」について、1年生のももちゃんが振り返ります。
(さとのば大学note編集部)

▼語り手

▼過去のエピソードはこちら


暗い過去を塗りかえるため、選んだ合宿の舞台

今回のさとのば生合宿の舞台は、静岡県にあるカタショーこと旧片浜小学校。

実は、カタショーを宿泊場所に決めた時にも、ちょっとしたドラマがありました。
それは、この合宿の最たる目的【青春】に関わるみんなの抱えた思いに始まります。

さて、というわけでレンタカーで富士山と駿河湾を臨みながら2時間ほどかけてドライブしている気持ちで読み進めてほしい。

私たちの世代は、’01~’04のあたり。
ちょうど高校生活をモロにコロナ禍で過ごした世代です。
つまりどういうことかというと、先達たちが過ごしてきた当たり前の青春だとか、少女漫画よろしく容易に想像できる高校生活を過ごせていない人たちであるということ。

もちろん全員が全日制の高校出身という訳ではなく、通信制高校出身の人もいるため一概にどうこう言える話ではありません。

けれど、”思った通りに過ごせなかった”というのは割と共通しています。

同級生はみんなマスクをしているから、顔も見えない。
机をくっつけてお昼を一緒に食べることも許されない。
行事は全て中止になった。修学旅行だって行けていないし、文化祭だって、体育祭だってない。あっても縮小されていたり条件付きだ。
そのくせ勉強だけは変わらずやらされる。
放課後遊びに行こうなんてできなかった。

ずっと灰色の毎日。誰だよ「高校生活は薔薇色だ」とか言ったやつ、と私は思っていました。

「青春ってなんだろうね」

当たり前のように過ごすことができるはずだった青春を、知らないままでいることに、なんだかもやもやしていました。

「知らない」を、知りたかったんです。

そしてもう一つ。
私たちは少なからず『学校』というものに対して、あまりいい思い出を持ち合わせていません。学校に行けなかったり、クラスメイトと折り合いがつかなかったり、苦い過去を持ち合わせている人も、一部ですが、います。

乗り越えたつもりでも、吹っ切ったつもりでも、やはり学校という存在が重く暗いものであることに変わりはありませんでした。だからこそ、そんな暗いイメージを、ポジティブなものにしたかったんです。

さとのば大学に来てから、随分変わったのだ。学び合う仲間がこんなにもいる。もう、弱いままの自分ではないのだから。

場所を決める際、たまたま廃校を活用したこのカタショーを見つけました。せっかくの合宿で、しかも記念すべき第一回目の合宿。そんな合宿の裏テーマにふさわしい場所なのではないかと、カタショーを推す声が高まりました。

そこまでいうならもう、ここしかないよ。
他にふさわしい舞台なんてない。

かくして、宿泊場所はカタショーに決まりました。

「知らない」を知りたい。
実際に会いたい。
過去を清算したい。

この三つの実現したい裏テーマを持って。

はい、そんな思いを語っているうちに、カタショーに到着しました。

懐かしさ漂うカタショーで

まずは荷物をおろし、学校のなかを案内してもらいます。
懐かしい実験器具の並ぶ理科室や、例によって作曲家の顔写真の並ぶ音楽室、高さの低い机の並ぶ教室、普段は上がることのできなかった屋上からみる夜空。

わくわくのテンションは既に最高潮で、みんなで口々に「なつかしいね〜」「あぁこれあった〜」なんて言い合いながら。
表情はどれも輝いて見えました。

校内ツアーを終えたわたしたちは、1日目の目玉であるBBQに取り掛かりました。

予想外に買い込んできた肉、肉、野菜、シーフード、白飯、お酒(ご安心を、成人メンバーだけです)。

とにかく焼いて、とにかく食べて、とにかく飲んで、とにかくはしゃいで。
空気感でお腹がいっぱいになってしまうくらいの時間を過ごしました。

こうして夜は更けていき、疲れ果てて就寝…かと思いきや、そんなことはななく。
BBQ後、部屋の方に戻った私たちは、ここからが本番!という勢いで遊び始めました。
全力卓球でヘロヘロになったり、色々なカードゲーム(はぁっていうゲームなどを想像いただけると)で深夜2時まで盛り上がりました。

誰一人として疲れた様子を見せることはなく、「元気すぎかよ」と思わず突っ込んでしまいたくなるくらい。

さすがに深夜3時が目前に迫ってきたのでお開きになり、1日目は終わりを告げました。

青春を取り戻すためのプログラムを詰め込んだ2日目

2日目の早朝、海が近いということもあって、朝日を見にいった体力おばけがいたらしい。朝5時くらいに起きて。

昨日寝たのは深夜3時ですよね?と何度か聞いてしまったほどの衝撃でした。
しかも、意外なメンバーが朝日ツアーに参加していたことにも驚いたり、まさに意外な一面が垣間見えた瞬間でした。そんなに動けるとは思わなかった、と。

そんな出来事によって2日目が幕を開けました。

朝の時間は、普段の講義にもギリギリで参加するメンバーもいるくらいだからと、あらかじめフリータイムにしてました。
だから、思い思いにのんびりとした時間を過ごしていました。

たっぷり睡眠をとったり、部屋に備え付けられていたスクリーンに動画を流してラジオ体操をしてみたり、秘密の作戦会議をしてみたり。LAは隣で仕事をしていたり。周辺をうろつきに散歩をして、見つけては行けないものを見つけてきたり…そしてこれがのちに思わぬ事態を招くことになるのでした。

LAって?
ラーニングアシスタントの略。さとのば大学では講師の他に、講義にLAが入って在校生の学びをサポートしています。

そんなこんなで、静岡のハンバーグチェーン「さわやか」を昼食で訪れることにしました。せっかくならご当地ならではのものを味わっておくべきだよね、なんてことで。

リサーチ不足でよくわかっていませんでしたが、かなり人気のお店らしく、開店して間もないにもかかわらず、店内は満席で順番待ちもそこそこにあふれていました。そんな中10人とかで押しかけてしまったのはだいぶ気まずい思いをしましたが、ハンバーグのためには仕方のないこと。

幸い、それほど待たずに入ることができ、それぞれ頼んだハンバーグやバーガーが運ばれてきました。熱々の肉汁を湛えてやってきたそれを、店員さんが仕上げてくれるスタイルで、エンタメ性に富んでいて食べる前からわくわくが止まりませんでした。

もちろん、口に運ぶとじゅわじゅわと口の中で広がる肉汁に舌鼓を打ちながら、さわやかハンバーグを堪能しました。

その後は待ちに待った、海で全力で遊ぶ時間である。

水着を持ってきていたガチ勢組は濡れることも気にしないままに波の中へ泳ぎに行き、持ってきていない組というか、お金がなくて買えなかった組は、せめて足だけでも…と精一杯ズボンをたくしあげて波打ち際で遊んでいました。結局、意外と波が高くて全身びしゃびしゃになってしまったのだけど。

他にも、ビーチバレーで遊んだり、青春ぽい写真を撮ったりと、全力で遊び倒しました。

心地よい風が吹いた時、「ああ、あの時こういう普通がほしかったなぁ」なんて感傷に浸ってしまったけれど、最も青春らしいプログラムだったと思います。

その後、海に揉まれた体を洗い流すべく、地元の温泉施設でのんびりと温まりました。じんわりとした温泉がほっと一息つかせてくれます。

その後も、途中参加のLA かわむーが凸ってきたり、同じく1年生のくろを見失ったりと事件は相変わらず起きつつも、カタショーに舞い戻ったわたしたちは、スケジュール押し気味で夕食の調理に取り掛かりました。みんなでご飯を作ろうというものです。大体、こういう合宿だと、飯盒炊飯的なことをやるよね?という、割と安直な考えから生まれたプログラム。

ちなみにメニューは、甘口野菜カレー、辛口シーフードカレー、りっちゃんの元気サラダ、喫茶店風ぷりんという豪華なラインナップ!

お気づきかとは思いますが、昨日のBBQで盛大に具材を余らせていたため、カレーにとりあえず入れてみました。それで野菜やらシーフードやら、多様なカレーが無事に仕上がりました。

途中、入れる順番をミスったりだとか、分量を間違ったりだとか、まあ色々あった訳ですが、なんとか完成させました。
いただきます。

だが事件は終わりません。
実はこのあと、花火と肝試しというプログラムが残っているのですが、いかんせんスケジュールが押していました。この時点で9時を回っており、10時までに花火を終え、10時30分までに肝試しを終えなくてはいけないという事態になっていたのです。

一つも諦めたくない意地をみせ、急いでカレーを平らげ、2本持ちがデフォルトの勢いで花火を消費し始めました。みんながそんな状態で花火で遊んでいたため、あたりはとにかく煙たく、それはもうもっくもくでした。

勢いそのままに肝試しを始め、存在しないはずの制限時間に追われ、学校の敷地内を駆け回りました。完全に自分達のせいなのですが。

照明が落とされ、雰囲気たっぷりのBGMが流れるなか、謎解きをしつつ進めていきます。これはただの肝試しではなく、肝試しと謎解きがセットになった遊びなのです。

夜の校舎はそれはそれは恐ろしく、驚かしてくるタイプの肝試しでなかったことだけが救いでした。

3チームに別れたのだが、怖さのあまり、前を歩く人の服にしがみついたり、迷子になったり。
午前中に辺りを散歩したときに”見つけてはいけない”肝試しの仕掛けを見つけてしまって、すでに写真に納めていたために謎解きがあっさり終わってしまったりと、やはりそれなりに事件は起きていました。

笑い話に事欠かない、愉快なさとのば生です。

お互いの、さまざまな一面を受け止め合う

こうして無事にクリアしたわたしたちは、そのままにしていた夜ご飯の片付けに取り掛かりました。

量が多かったのか、食べきれなかった人も多く、少々頭を抱えるレベルの食糧の残り具合になってしまいました。冷蔵庫で保存できるとはいえ、明日中に食べ切れるのか怪しい。そんな空気が漂う中、何を血迷ったのか、私は残っていた甘口カレーを全て腹の中に収めるという暴挙に出ました。

お皿いっぱいに盛られていたカレー1皿だけでもみんなお腹がいっぱいだと限界を迎えていたというのに。だいぶ引いた目で見られながらも、残すよりはと思い、食べきりました。こうして新たな一面を見せることになったのです。
その後は当たり前のように小一時間動けませんでした。食べ過ぎである。

こうして夜は更けていき、就寝…かと思いきや、この日もみんなカードゲームを広げ深夜まで遊び倒しました。一体どこにそんな元気があるというのか。お菓子を広げ、成人メンバーはお酒を、未成年メンバーはジュースを口にし、わいわい話し込んだりとパリピみたいな時間を過ごしました。

このまま、時間が止まってしまえばいいのに。

そんなアニメみたいなことが脳裏をよぎりました。終わってほしくないと思えるくらい、わたしたちは青春の最中にいました。いたと思うのです。

みんながどう感じていたのかはわかりません。けれど、きっと楽しいという気持ちを持っていたことは確かでしょう。みんなの表情は、輝いていました。

そして、この日も深夜3時を目前にお開きになり眠りについたのです。
明日が最終日だなんて思えないくらいの遅い就寝でした。

(続きます)


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