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第19回:2018夏を面白くした『極端』に『言い切る』系の読書3選

2018年の6月から9月上旬くらいにかけて、読んだ本のなかで面白かったものをいくつか紹介します。共通して『極端』『言い切る』という特徴があった3つに絞ってみました。

読書という荒野(著:見城徹)

読書の意味を宣言し切ってくれてるのが気持ち良いです。

読書で学べることに比べたら、一人の人間が一生で経験することなど高が知れている。(P4)

もちろん実生活から多くを学んだ人もいるが、そういう人は、圧倒的な理不尽を味わい、とんでもない極限状態にいたからこそ深い洞察力を得たのだ、と著者は言います。
現代を生きる普通の人生は、そこまで極端なものにはなかなかならないから、だからこそ読書が必要だ、というわけです。

僕も比較的読書が好きなほうですが(見城さんには遠く及びませんが)、読書好きだったり勉強好きだったりすると「頭でっかちになるな」「考えるより行動しろ」という批判を受け取ることも少なくありません。当然、それが当たっているときもあって、「腰が重くなっていたな」「考えすぎてスピードが落ちてたな」と反省することもしばしばあるのすが、ですが、その批判はまったく検討違いな場合もあるのです。

例えば「なんだかわからないけど何か引っかかる。違和感がある」ような場合、深く読書したり考え抜いたりすることでその中身に近づけることがあります。
例えば「今すぐ動くこともできるけど、今動けばあの人を傷つけてしまうみたいだ」という場合もです。行動することで誰かを傷つけることが予期できているのなら、無理に動かずに他の道を探すのが筋だと思います。

それにしても、現代を生きる普通の人生は、そこまで極端なものにはなかなかならないから、だからこそ読書が必要だ、というメッセージは本当に痛烈ですね。極端に生きるor読書しまくる、しかないという考えでいけば、著者は極端に生きるand読書しまくる人生を送っているわけで、あらためて凄まじい方だなと感じます。


人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている(著:ふろむだ)

僕のまわりで(SNS界隈で)大きく話題になった一冊。

表紙がね、釣り感がすごすぎて、ひねくれてる僕はパッと見でなかなか買う気になれなかったのですが、みんながあまりにおすすめするので仕方なくAmazonでポチりました。

結果、買うべきですこれ。

なんとなぁ〜く感じてた「錯覚資産」というものを、人気ブロガーのわかりやすい絵と文で説明してくれています。

美男美女とか学歴とか肩書きとか、そういうのに捉われてるのってなんか偏見みたいに言われるけど実際に世の中、それらに価値があるんですよ。という現実を突きつけてくれます。

いわゆる「ゲタを履く」ことで、実力全体を底上げしてしまうことができるわけです。これうまく使ってる人、よく考えたら結構いますよね。見る人が見ればわかることが多いんですが、そういう実力の厚底ブーツを履いてる人はいろんなチャンスをもらいやすいので、結果的に本質的な実力も培われていくわけです。最初で「できるひと」だと思われることって案外大事だということですね。著者はその良いほうに勘違いされていることを「錯覚資産」と呼んでいます。

真面目な人ほど「私は実力で勝負したい」と息巻きそうですが、事実、世の中は実力以上に「運ゲー」ですよ、と著者は言い切ります。この点、僕も本当に同意です。世の中は基本的に「運ゲー」です。原理原則は人生ゲームと大差ありません。すごろくです。

ただ一点人生ゲームと違うのは、望めば何度でもサイコロを振れること。だから、何度も何度もサイコロを振っている人が自然とうまくいくようになっている。

よく挑戦者を鼓舞する意味合いで「打席にたくさん立つべし」みたいなことが言われますがまさにそれですね。

もちろん、実力の影響もたしかに存在します。でもその影響は、ふつうに思われてるよりももっと小さい。運や錯覚資産のほうが圧倒的に影響が大きい。

だから、錯覚資産を駆使してサイコロを振るチャンスをたくさんもらい、何度もサイコロを振ることで運的にうまくいく確率を上げ、チャンスを活かすうちに自然と実力もついてくるよね、という話になります。

僕もなんとなくわかっていた話ですが、ここまでハッキリわかりやすく言葉にしてくれた本って今までなかったので良書すぎました。具体的な変化としては、錯覚資産を使うときに感じていた妙な後ろめたさを感じずにすむようになりました。誰かを不幸にしてるわけでもあるまいし、うまく利用すればいいのです。

ボリューム的にもサクッと読めるので一読を勧めます。


いい人がお金に困らない仮想通貨 - 新時代のルール - (著:松田元)

ブロックチェーンの今後を予見するうえで、この人のフォローは外せないと思っている著者の新作です。「共感」や「感動」、「リスペクト」をもとにした善意の市場をつくる可能性をブロックチェーンは秘めていて、さらにそれをこんなふうに実現しようとしてますよ、という話をしてくれます。

ブロックチェーンが中心となる新資本主義社会では、ついに『論語と算盤』が綺麗事ではなく、現実のものとなります。社会に貢献し、立派に生きてさえいれば、衣食住が足りる世の中です。(P104)

簡単にいえば、「いいことをしていること」を可視化して、それに価値をつけることができる、というのです。感謝や感動をトークンというかたちで伝え、交換できる社会がくれば、いまの資本主義のかたちがガラッと変わるはずです。

いまブロックチェーンはさながら、1990年代初頭のインターネットのような黎明期です。まだHTMLやXTMLを書けないとWebサイト1ページも開けないような時代から、ブログが生まれて誰でもページ作成できる(情報発信できる)ようになり、SNSが生まれて情報がインタラクティブになり...と、テクノロジーは、一部の技術者しかわからない状態から、誰でもそれを使える状態にまで昇華されたときに、本当の意味で社会実装が開始するのだと思います。

この分野はいま一番あつい。今後の動向にとても注目です。

以上、『極端』に『言い切る』ことでこの夏を面白くしてくれた読書3選でした。

Photo by Thought Catalog on Unsplash

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