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古本を巡る冒険 塚原健二郎「七階の子供たち」

本棚の中から、装丁が魅力的な書籍を紹介。今回は塚原健二郎「七回の子供たち(復刻版)」です。装幀は深澤省三氏。

「昭和っぽいテイストで」というイメージにぴったりの装幀です。ちなみに、木に登ろうとしている少年は東京の子。それを下で支えている二人は、地元の田舎の子という設定です。服装の違いも面白いですね。

あとがきの中で、作者の塚原健二郎氏は、

私には童話の本が出るたびに、此世の中に寶が一つづづふえて行くやうな、子供つぽい氣持が多分にある。装幀とか、挿繪とか、新しい本特有の手ざはりといつたような感覺からくるもののせいもあろうが、それよりも、やはり、そこに盛られているものの純粋な感じが胸にくるからであるやうに思ふ。(あとがきより一部抜粋)

と書かれています。この言葉通り「純粋な感じが胸にくる」装幀であり、作品であると感じました。子供のころに、この童話集を手にとっていたならば、ずっと記憶に残っていたに違いありません。

ちなみに、装幀を手がけた深澤省三氏(1899年〜1992年)は、岩手県盛岡市の出身。岩手県といえば、岩手県花巻市出身の宮沢賢治(1896年〜1933年)が思い浮かびます。ほぼ同世代の二人には交流があったのでしょうか? 岩手県のどこかで同じ風景を眺めたりしたのでしょうか? そんなことを想像するのも楽しいですね。

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