昭和生まれのひとりごと

人生五十年と言われた頃ならもう彼の岸に行っていてもおかしくない歳。仕事を辞めてから頭の…

昭和生まれのひとりごと

人生五十年と言われた頃ならもう彼の岸に行っていてもおかしくない歳。仕事を辞めてから頭の衰えが加速してきたようだ。枯れてゆく自分への抗いとして、思いつくまま書くことにした。プロ野球・大相撲・歌舞伎・近代文学・マンガ・1970~1980年代の音楽・その他、人生上の愚痴等々。

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この指が折れればよかったのに

ゴールデンウィーク、ここは私にとって鬼門である。 仕事をしていたときから、ようやく連休でゆっくりできると思った矢先に、いろいろなことが起こった。 あるときは、マ…

大相撲九月場所が始まった。どうか力士各位には怪我だけはしないで15日(あるいは7日)つとめてほしい。勢い余って土俵下に落下していくとハラハラする。観客をよけようとして足を痛める場面などを見ると胸が痛む。溜席が魅力的なのはわかるが、もう少し後ろに下げて緩衝地帯を造れないものか。

何かしている合間にふと父と母のことを思い出し申し訳なくてたまらなくなる
父と母が死ぬ何年か前の時点からもう一度やり直せたらとあれこれ夢想する
でもどうしようもないのだとため息が出る
そして現実に戻る
親不孝者のくせに いや
親不孝者だったからこそ親離れは永久にできそうにない

いつも思う。その時にはそんな考えが浮かばないのに、後になって「ああすればよかったんだ」「なんでこうしなかったんだろう」と思い付く。瞬時に働く判断力がないなら、いっそ過ぎたことは思い出さない鈍感力がほしい。修復できないことにとらわれるのはしんどいだけだ。

カラオケいまむかし

私が初めてカラオケを楽しんだのは今から三十五年ほど前、一九八〇年代の終わりごろのことである。カラオケ自体は一九七〇年代初頭からあったようで、すでにスナックや宴会…

回収のターン(裏)

父が死に、義父母が死に、母が死んでから、私はかつて自分が住んでいた土地や祖父母が住んでいた土地などをめぐる旅をした。懐かしい街並みもあったが、もう記憶とはまった…

回収のターン(表)

近ごろ「学び直し」ブームというのが来ているようだ。 学び直したい動機やジャンルは人それぞれだろうが、勉強、スポーツ、芸術などいろんなことを、昔よりはるかに楽しん…

七月二十四日は河童忌

今年は芥川龍之介没後九十六年。 三十年以上前、大学の卒業論文のテーマに芥川の『地獄變』を選んでから、作品を研究する前にまず芥川龍之介という人間を研究した。 雑誌の…

「人生、楽しんだ者勝ち」         一日の始まりに今更ながらこの言葉を唱えることにした

今年の三月末で仕事を辞めてから、思っていたほど暇になってはいないものの、自由に使える時間は劇的に増えた。 在職中には、退職したらこんなことをしよう、あんなことも…

この指が折れればよかったのに

ゴールデンウィーク、ここは私にとって鬼門である。
仕事をしていたときから、ようやく連休でゆっくりできると思った矢先に、いろいろなことが起こった。

あるときは、マンションの部屋のガス漏れ警報器が鳴りだし一晩中止まらず眠れない夜を過ごす羽目になった。この部屋はふだん居住しているのとは別に、私の父が死んで一人暮らしになった母を呼ぶために同じマンション内で購入した別の部屋で、その母も死んでしまってからは

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大相撲九月場所が始まった。どうか力士各位には怪我だけはしないで15日(あるいは7日)つとめてほしい。勢い余って土俵下に落下していくとハラハラする。観客をよけようとして足を痛める場面などを見ると胸が痛む。溜席が魅力的なのはわかるが、もう少し後ろに下げて緩衝地帯を造れないものか。

何かしている合間にふと父と母のことを思い出し申し訳なくてたまらなくなる
父と母が死ぬ何年か前の時点からもう一度やり直せたらとあれこれ夢想する
でもどうしようもないのだとため息が出る
そして現実に戻る
親不孝者のくせに いや
親不孝者だったからこそ親離れは永久にできそうにない

いつも思う。その時にはそんな考えが浮かばないのに、後になって「ああすればよかったんだ」「なんでこうしなかったんだろう」と思い付く。瞬時に働く判断力がないなら、いっそ過ぎたことは思い出さない鈍感力がほしい。修復できないことにとらわれるのはしんどいだけだ。

カラオケいまむかし

私が初めてカラオケを楽しんだのは今から三十五年ほど前、一九八〇年代の終わりごろのことである。カラオケ自体は一九七〇年代初頭からあったようで、すでにスナックや宴会場などでは盛んに楽しまれていたのだろう。しかしここではそういう不特定多数が聴いている場で歌うのではなく、あくまで自分と、数人の同行者だけで楽しむ少人数のカラオケについて書くつもりである。

尤も、カラオケいまむかし、と題したものの、「いま」

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回収のターン(裏)

父が死に、義父母が死に、母が死んでから、私はかつて自分が住んでいた土地や祖父母が住んでいた土地などをめぐる旅をした。懐かしい街並みもあったが、もう記憶とはまったく違ってしまっている場所も多い。
三歳から十七歳まで住み、性格形成がなされたと思われる土地では、楽しいことばかりあったわけではない。それどころか、小学校高学年、中学三年の時期には、学校に行くのがつらくて、毎日「明日の朝目が覚めませんように」

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回収のターン(表)

近ごろ「学び直し」ブームというのが来ているようだ。
学び直したい動機やジャンルは人それぞれだろうが、勉強、スポーツ、芸術などいろんなことを、昔よりはるかに楽しんでやっている。
私も昔は苦痛だったピアノのレッスンに嬉々として通っている。もちろん子どもの頃の方が格段に指は速く動いたし、今は中近両用のメガネがなければ楽譜も読めないが、機嫌よく続けてもう四年以上になる。
それから、突如思い立って中学生用の

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七月二十四日は河童忌

今年は芥川龍之介没後九十六年。
三十年以上前、大学の卒業論文のテーマに芥川の『地獄變』を選んでから、作品を研究する前にまず芥川龍之介という人間を研究した。
雑誌の追悼号、友人・知人が著した回想録、評伝の類を読みあさった。
図書館での閲覧や借りて読むことだけでは満足できず、古書店に足繁く通っては、なけなしのバイト代や小遣いをはたいて本を買いあさった。

卒論のテーマに選ぶ作家は芥川の他に太宰治、坂口

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「人生、楽しんだ者勝ち」         一日の始まりに今更ながらこの言葉を唱えることにした

今年の三月末で仕事を辞めてから、思っていたほど暇になってはいないものの、自由に使える時間は劇的に増えた。

在職中には、退職したらこんなことをしよう、あんなこともしたいといろいろ考えていた。
それが、いざ自由の身になってみると、あれほど夢想した「ただ懐かしい音楽を何時間も聴きまくる」とか「録りためた映画を何本も見まくる」というパラダイスにいるような楽しい時間を過ごすことができない。
退職して四ヶ月

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