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薬で痩せることの身体への影響

ウゴービをはじめとする グルカゴン様ペプチド1(GLP-1) 受容体作動薬の話題で今年は持ちきりだったように思う。確かにオゼンピック(一般名:セマグルチド)やウゴービの威力は大きくて、平均して16%の体重減になるという結果が出ている。

イーロン・マスクやホリエモン、オペラ・ウィンフリーが使って痩せたことも話題になった一方で、その副作用の吐き気などのため、継続できなかったという人も多い。

もともと2型糖尿病の治療薬として開発されたこれらの薬は、食欲と血糖値を調整することで効果を発揮する。日本では一般名:セマグルチドとして販売されている。

食欲を制御することで体重が減るなんて、魔法の薬のようだけれど、人によっては吐き気、嘔吐、便秘、下痢などの副作用がある他、もっと深刻な問題がある。

米国の医学博士であるロバート・ラスティグ医師によると、これらの痩せ薬で落ちる体重は、半分が脂肪、そして後の半分は筋肉であることが報告されているという。そして筋肉が落ちることにより、疲労感が高まり、気分が落ち込む原因にもなる。

SGLT-2阻害薬は尿に糖分を排泄する働きをする薬で、その効果がうたわれているけれど、長期的な身体への影響、特に腎臓への影響についてはさまざまな見解があるようだ。

一方同じ糖尿病薬であってもメトフォルミンは、糖新生を制御し、AMPKを活性化させることでmTORを制御する。細胞は常に「成長」か「燃焼」のどちらかを起こし、二つ同時に起こることはないけれど、このmTORを抑えるという働きは細胞の成長を抑え、老化を遅らせると言われている。


メトフォルミンは痩せるための薬ではないけれど、上記のGLP-1 受容体作動薬よりは副作用が少ない。しかもメトフォルミンを服用している2型糖尿病患者は糖尿病のない人たちよりも平均して長生きするという報告さえある。

そしてもうひとつ。GLP-1 受容体作動薬は薬をやめたときの問題がある。
落ちた体重は短期間で約1/3戻るという報告があるけれど、脂肪は戻っても筋肉は戻らないと、ある友人は言っていた。しかも服用をやめた理由は、9ヶ月目くらいから薬が効かなくなってきたからだとか。

さらにオゼンピックのようなセマグルチドを主成分とする減量薬を突然中止すると、血糖値の急上昇を引き起こす可能性があることも報告されている。

もちろんこれは n=1 のケースに過ぎないのだけれど、服用者の3分の1が副作用その他の理由で継続するのをやめたという報告は見逃せない。



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