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癌の遺伝子はどちらにでも転ぶ


昨今大きな話題になっているエピジェネティクスは非常に興味深い世界だ。これまで医療業界や大手製薬会社が『癌の遺伝子』というコンセプトを大々的に使ってきたけれど、その裏に潜む真実が徐々に明らかになってきている。

生物細胞学博士であり癌とメタボリズムの専門家でもあるトーマス・セイヤード博士によると癌が遺伝子のせいだなんて『真っ赤な嘘』であるということだ。

遺伝子は二時的要因であって、癌の主となる要因ではないということが数々のデータから明らかになっている。その最も大きな鍵を担うのは、細胞の中のミトコンドリアだ。赤血球を除くすべての細胞の中にはいくつものミトコンドリアが存在しておて、細胞のエネルギー発電所としての大きな役割ようになっている。

細胞の中には他にもニュークリアスと呼ばれる真核生物の細胞を構成する細胞小器官のひとつがある。ニュークリアスは自分で自分をなおしていくような働きを強いく持っているのに対して、ミトコンドリアはダメージを受けると、それに対して抵抗性を発揮することが比較的少ないということがわかってきた。

それはどんなダメージなのか。最も大きなのは人間の体の中でエネルギーを取り入れる経路によって起きるもの。人間が消化した食物はインスリンによってグルコースに変えられ、あらゆる筋肉や肝臓に貯蔵される。

しかし入ってくる食物が一定の容量を上回った場合、インスリンはどんどんどんどんポンプのように流れ出す。繰り返すと膵臓のベータ細胞は疲弊してインスリンもうまく働いてくれなくなる。

これが非常に問題となっているインシュリン対抗性と呼ばれる現象で、「あまり食べてないのに太る」「お腹周りが大きくなってきた」ことに直結している他、糖尿病や心臓病、疲労してそれでもグルコースは血中に溜まっていく。

これがいわゆる血糖と言われるものである。そして肝臓は脂肪でパンパンになり、これは脂肪肝と言われていて、痩せている人であっても、昨今では3人に一人が持っている大きな問題となっている。

そしてこの脂肪肝があるサイマーや心臓病、糖尿病、鬱、不妊、ED等の様々な現象を呼び起こす源となっていることも近年明らかになってきたそしてこの溢れ出る脂肪、グルコース血中に溜まったものはミトコンドリアの働きを脆弱にする。

通常であれば健康なミトコンドリアは常に活性していて、元気な数が増えていく。ところがダメージを受けたミトコンドリアはなかなかうまく再生する能力がなく、そのミトコンドリアの弱化が数々の病気の元になっていることがわかってきている。

癌ももその一例である。癌とミトコンドリアの関係については近年様々な学説が出てきたけれども、どれもが非常に高い可能性として認知している事には、ミトコンドリアが弱った場合、持っていた遺伝子がそのスイッチがオンになったりオフになったりするということである。

つまり、どんなに危険な遺伝子を持っていても、体の代謝経路がうまく循環していれば、それはスイッチオンになりにくいということがわかってきた。

例えば、スウェーデンで大々的に行われた一卵性ソーセージの研究でも、全く同じ遺伝子を持ちながら、片方は重い病気になり、片方はそうではないと言う事例がたくさん出ている。つまり同じような遺伝子を持っていても、生活態度によってその現れ方は全く違ってくるのだ。

つまり、癌と言う現象は、遺伝子のせいで起こるような上流的な原因ではなく、どちらかと言えば下流の流れの一つに過ぎない。ここにエピジェニックと言う考え方が大きく出てくるのだけれども、同じ遺伝子を持っていても流れが変わると、それは危険な病気としてのシナリオにならないということだ。

例えばBRCA1とBRCA2は、乳がんや卵巣がんの遺伝的な原因として有名だけれども、これらの遺伝子を持っている人のうち50%は乳がんになり50%は乳がんにならないと言われている。

それではどうすればスイッチオンになるのを防げるのかということだけれど、これは驚くほどシンプルで(シンプルだけど毎日の生活に落とし込むにはきちんとした知識が必要)、それについてはこれから回を追って書いていこうと思う。

遺伝子がどれぐらいのパーセンテージを持つのかというようなことが時々論争されるけれども、実際にはもっともっとシンプルな話で、後天的なアプローチによって持って生まれたものはスイッチオンとなったりスイッチオフのままでいたり、どうにでもどうなるということを知識として識ることは大切だ。

今後もこの研究はさらに進んでいくだろうけれども、私たちは私たちの生き方で、そしてその生活のあり方で揺るぎない健康を手に入れることができると結論付けられると思う。




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