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断り方の流儀をゴッドファーザーに学ぶ


「人生のすべてのことは、映画『ゴッドファーザー』から学べる」というセリフが他の映画の中で見られるほど『ゴッドファーザー』の影響力は大きい。確かに人間のもつ野望と失望、裏切りと自己制御など、本質的なことが散りばめられていて、歴史的にも名画のトップランクに選ばれている。

その『ゴッドファーザー』の中で、麻薬密売人 ソロッツォ(アル・レッティエリ)とヴィト(マーロン・ブランド)の交渉シーンが出てくれが、これがまた素晴らしい。 マフィアのトップであるヴィトの中にはきちんとした軸があり、信念があり、尺度がある。それが貫禄溢れる所作に表れている。

ちらっと相手をたてる

『ゴッドファーザー2』で描かれるヴィトの生い立ちを知れば、幼い子供の時に母を射殺され、たった一人でシシリー島を抜け出しアメリカに渡り、そこから何者にも屈せず自らの力だけで、大きなエンパイアを築いてきたことがわかる。

ヴィトのその自信と揺るがない内面は、この交渉場面でも余裕として表れ出ている。麻薬密売人 ソロッツォがもってきた非常に危ない儲け話を聞くや否や、「えらく寛大な話しじゃないか。なぜ私のような者のところへ?」(Why did you come to me? What do I deserve to this geberousity) と余裕の笑顔でたずねてみせる。そこには警戒心を見せない友好的な笑顔がある。
もちろんそれは計算された笑顔である

ポイントを突く

相手の話を黙って最後まで聞き、顔色一つ変えずに立ち上がると、今度は ソロッツォの隣の席へと座り直す。物理的な距離を縮めることで、心理的な距離をも縮め、膝と膝を付き合わせて語るシーンへともっていくためだ。

ストレートに結論を出す

そして相手に酒を注ぎながら「この面会に応じたのは君が真面目な男だと噂に聞いたからだ」と相手をまず持ち上げる。そして次には「けれどもこの申し出は断る」と結論から先に告げる。その後で「なぜなら。。。」と続ける

この展開が見事で、俳優のマーロン・ブランドはこのストレートで冷酷なマフィアのドンを演じ切っている。

ちなみにマーロン・ブランドは、この演技でアカデミー賞にノミネートされたが、ハリウッドの映画界で当時はびこっていた人種差別やネイティブ・インディアン差別に反対する姿勢を見せるために賞を辞退したという。

あっぱれだ。




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