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お試し怪談③「祇園精舎に鐘はない」


ご挨拶

弊サークル「青碧せいへきつどい」は、2023年11月11日の「文学フリマ東京37」に初参加します。

記念すべき第一号は、「怪談」がテーマです。
しかも、創作怪談集ではなく"実録"怪談集となっております。
つまり、我々サークルメンバーが直接体験した、あるいは知人友人が体験したものを聞いて集めた「怖い話」「不思議な話」を掲載します。

※上記のwebカタログから、「☆気になる!」をチェックしていただけると嬉しいです。

初参戦ですから、広く皆さんに知っていただきたく思います。

どうぞSNSにてご共有していただいたり、ご友人にご紹介いただきたく思いますので、何卒よろしくお願いいたします。

理念について

「それぞれ各々の奇妙な体験」の一次性を保つため、書き手として脚色を極力くわえないでありますから、構成が巧いとは言えないお話もございますが、その荒削りな印象も、リアリティとしてお楽しみいただければ幸いです。
勿論「語り」として洗練されたものも中には含まれています。それは語り手や書き手の技量のみならず、そのお話が何度も人と人との間でやり取りされるうちに研磨されてきた、下流の丸石のようなものです。角の取れ方は、そのままそのお話の履歴書とお考え下さい。

一次性という観点から、基本的に本文中で書き手が聞き書きに対して考察をくわえることはありませんが、書き手がすなわち体験者の場合、その限りではございません。体験者の考えるところは、そのお話の重要な構成要素と言えるからです。


本題

さて、前置きが長くなりましたが、本題となります。今回の(一連の)記事では、『青碧集 第一号 怪談』掲載話の中から、皆様に本書の雰囲気を想像していただくため、三つほど「お試し怪談」をご紹介させていただきます。

第二話は、「新しい靴」です。

お試し怪談③「祇園精舎に鐘はない」(SH-0042)

 筆者の母の大学生の時、インカレで出会った友人G(男)から聞いた話。
 Gは高校時代、試験勉強の一環で、平家物語の冒頭を覚えるため、ぶつぶつ声に出しながら自分の部屋を歩き回っていた。すると、ベベン、と弦を弾くような音が、どこか近くから不規則に連続して聴こえてくる。ご近所に三味線の師匠をやっている人がいるので、その人だろうかと思い、暗唱を続けているうちに、その音は消えてしまう。と、今度は、Gが「祇園精舎の鐘……」まで言うたびに、ゴーンと寺の鐘の音が聴こえる。そこでようやくGは、ベベンという音が、琵琶の音だったのではないかと思い至った。だが、祇園精舎に実は鐘がないことを物の本で読んだ記憶があったGは、鐘の音がするのはおかしいと思う。そこで、「祇園精舎に鐘はない」とはっきり口に出した途端、ぴたりと鐘の音がやんだ。Gは「教養のない狸に化かされかけたんだ」と母に言った。

(伊丹)

第二話に引き続き、サークルメンバーの伊丹くんのお母様のお話です。類は友を呼ぶとは言いますが、如何せん呼び過ぎのきらいがあろうと、傍から見ていて思います。

今回のお話に関わっていた文学作品は『平家物語』ですが、『第一号』には他にも『枕草子』に関わるお話が掲載されています。是非お手にとってご確認いただければ幸いです。

このような形式で、前の二話もご紹介しておりますので、是非ご覧下さい。

さて、文学フリマ東京37にお越しの方は、是非弊サークルへお越しください! 実際の本を手に取って見てみてください。ご覧いただくだけでも構いません。フリーペーパーもご用意しています。


青碧の集い 代表 戯鳥


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