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破滅の淵 《詩》

「破滅の淵」

僕等は先を急いではいない 

時間がかかるなら 

それでも構わない

空をゆっくりと流れる雲は

広い空の中に
自分の居場所を定めている


何処か遠くで

誰かが誰かを呼んでいる


僕等は世界でただひとつの

完結した場所に辿り着く

何処までも孤立し誰も入れない空間

其処には差し出すものも
求めるものも無い

沈黙のうちに過ぎる時 

だけど孤独に染まる事は無い

彼女は僕の名前を呼んだ 

確かに聞こえた

目を開けると昼間の白い月が見えた

必要なだけの時間は
僕等の手の中にある

ふたりはずっと同じ世界に居て

同じものを見ていた 


彼女は小さな声で破滅の淵 

そう囁いた


過ぎ去って来た歳月を

一瞬にして埋める出逢い

今も雲はゆっくりと流れている

僕等は

1人では埋める事の出来なかった 

空白を見つめた 

そして僕は君の名前を呼んでいる

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