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高校生が泥臭くたっていいじゃない。高校サッカー。早実が初の全国選手権出場へ。献身的な守備を貫く。ラグビー日本代表を彷彿させるゲーム

高校生にとって泥臭いって、ダサい?泥臭くても格好いい。そう思える試合だった。高校サッカーの全国選手権東京都A決勝で、早稲田実業が強豪の国学院久我山を2-0で下し、初の全国切符を手にした。堅い守備を貫き通した。「全員守備」で献身的に動き続けるスタイルは、競技こそ異なるが、ワールドカップを戦ったラグビー日本代表を彷彿とさせた。

早実は決勝までの4試合を無失点で勝ち上がってきた。相手は2年連続で全国を狙う国学院久我山。12年前にも同カードで決勝があり、その試合では久我山が延長で逆転勝ちをつかんでいた。

リベンジを誓う早実。今大会の決勝は「まさか」の立ち上がりだった。キックオフから1分も満たない時間帯で、先制点を奪ったのだ。1年生FWの竹内大志選手が2戦連発となるゴールを決めた。

「攻」の久我山、「守」の早実のゲーム展開を予想していただけに、意外なスタートだった。「美しく勝つ」をモットーに戦う久我山は、その後、ボール支配を続けて、得点機会をうかがう。

しかし、早実はDFの5人をはじめ守備重視で、チャンスを与えない。相手がペナルティエリア内に進もうとすると、2人がかりで止めに行く。

試合終了間際にリードしているチームが取りそうな分厚いディフェンス。「泥臭い」「献身的」「粘り強い」。こんな言葉が思いつくような戦いぶりだった。そしてFW陣もボールをキープしている選手に高い位置から絡み続ける。

前半28分には早実が攻め上がり、ゴール前で右へ左へとパスをつなぎ、最後はMF西山礼央選手が追加点をゲットした。

ボールを持った相手にチェックし続けていれば、体力がしだいに削られていくものだ。ボールを保持しているのは9割が久我山。それでも早実の泥臭い守備は変わらない。献身的な守備が後半も続く。

早実の集中力の途切れない堅固な守備。しだいに久我山は焦りを生んでいった。フリーキックのチャンスも直接狙うがゴールを大きく外れた。

格上の久我山選手に向かって、粘り強くプレッシャーをかけ続ける。ボールにからみ、大きくクリア。早実は泥臭いスタイルに自信をもっているようだった。

それはラグビーワールドカップで強豪に立ち向かった日本代表を彷彿させた。相手がボールを持っていれば、2人がかりで止めに行く。相手を焦らせていき、一気にボール奪取を狙う。世界を戦った日本と、この日の早実サッカー部がシンクロして見えた。

早実は高校野球のイメージが強い。過去には荒木大輔さん、斎藤佑樹さんとアイドル投手も生まれた。その試合ぶりには、どこか華やかさが満ちていた。

早実サッカー部は、野球部とは真逆のベクトルを歩んだ。そして、この試合2-0のリードを守り抜いて試合終了。初の全国選手権の切符をつかんだ。

華やかさと泥臭さ。若者が前者を選びたくなるのは理解できる。それでも勝利のために後者の選択肢を選んだ。

泥臭さを貫き通した早実サッカー部よ、おめでとう。そして敗れたとはいえ、久我山はオーバーヘッドシュートでゴールを狙うなど、美しく勝とうとするスタイルを見せてくれた。

高校生が泥臭くたっていいじゃない。それが青春というものだから。

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