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"歴史" 系 note まとめ

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2021年4月の記事一覧

緊急事態宣言が出たのでヒッタイト語を学んでみた

温泉に行けない。外出できない。緊急事態宣言が出たためだ。外で羽を伸ばすことができなくなり、休みの日が暇すぎる。 ということで、かねてから興味のあったヒッタイト語をきちんと学んでみることにした。存外面白い。使用テキストはテキサス大学がオンラインで公開している資料を読んでいる。 今日は"The Proclamation of Anittas (Old Hittite)"を通読した。楔形文字は流石に読めないけれど、テキストを読むと標語文字と表音文字が組み合わさった書き方をしてお

「歴史総合」の教科書を採択する基準

文部科学省の教科書検定結果が出て、各教科書会社からダイジェスト版が送られてきた。本物を見て採択を決めたいところだが、今のところ送付されてきた資料から判断するしかない。 2022年度から新たに始まる「歴史総合」は、どのような内容や仕様になっているのか、地歴科の教員は興味津々だろう。 実際、先週はオンライン会議が開かれ、いくつかの教科書について意見交換した。 「歴史総合」の目指すものがぼやけ、これまでの「世界史A」と「日本史A」の内容をパッチワークしたものが多い。だが中には

アメリカの「本家」禁酒法の知られざる実像

 緊急事態宣言の発令に際し、飲食店での酒類提供を禁止するという報道があったため、一部界隈では「現代の禁酒法か?」とざわついている。  このような事態を引き起こした政治家の責任は重大だし、市民には風刺をする権利もある。が、禁酒法が施行されていた20世紀前半のアメリカの状況と、現代日本の状況が安直に同一視できるわけでもない。  いわゆる禁酒法とは、1917年に可決された「憲法修正第18条」と、それを受けて1919年に可決された「国家禁酒法(通称ボルステッド法)」のことである。

世界史的日中関係

もうあまり読まれなくなったのだが、戦前に人気のあったアナトール・フランスというノーベル賞受賞作家がいる。彼に『白き石の上にて』という作品があって、日本でも広く読まれた。 というのも、1905年に発表されたこの小説では、日露戦争の世界史的意義というのがくり返し強調される。「ロシア人と君たちの間には、君たちとサルくらいの違いがあるんだから」といわれた日本人がロシア人にケンカをふっかけて勝利する。それは、今までの白人支配が覆される契機になるかもしれない。そういう意義が示唆されてい

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日本史学習の方法(2021年度版)

ぜんこうです。いよいよ新年度も近くなりました。そこで、学習案内の記事の方も改訂したいと思います。前回のものから内容を大きく拡張し、目指すレベル別に学習法、参考書紹介を行います。 今回は、参考書を詳しく紹介するので日本史のみとなります。世界史を見たい方は、下の記事をご覧ください。 1.通史学習概論参考書を紹介する前に、まずは抽象的に方向性を示したいと思います。これは、どこを目指す場合でも共通になります。 通史学習の大原則 ①単語からではなく、理屈から ②本を読むときは、理