マガジンのカバー画像

"歴史" 系 note まとめ

1,166
運営しているクリエイター

#アート

noteで西洋美術史をみんなで楽しく読み解く連載

こないだイロハニアートさんで連載していた西洋美術史の連載が無事に終了しました。全30記事。あらためて見返したら約1年もやってた。すげえ。 下の記事にまとめていますので「おじや用のレンゲ」がくるのを待ってる間にでも、読んでください。 いやこれ書くの、毎回マジで楽しかったんです。ほんま幸やった。エクセルシオールカフェで原稿書いてる間はふわふわしてたし、たぶん頭の周りをティンカーベル的なサムシングが飛び回ってました。 「エジプト文明でミイラ作ってた理由」とか「ルネサンスで写実

「ロック」と対比したものは「クラシック」ではないよ

少し前のこちらの記事↓ について、以下のような感想を目にしました。 これについて、残念ながら僕の意図が伝わっていなかったのかな、と思った点を反論してみようと思います。 それは、 あの記事で僕がロックと対比させたのは「クラシック」ではない。 ということです。 僕が対比させたのは、「アンサンブル的な"ポップス"」と「泥臭いルーツミュージック的なギターサウンド」であって。 単純にそれを「クラシック vs ロック」と読まれてしまうと、僕がnoteで書いてきたことが全く伝

音楽の学問における「西洋視点の反省」。正しいはずなのに、どこか感じる違和感の正体。

音楽における最新の"正当な学問的分野" では、19~20世紀に正しいとされてきた「音楽 = 西洋音楽のこと」「正しい音楽 = 西洋音楽理論に則ったもの」という態度を反省する流れにあり、既存の西洋音楽理論で説明できない非西洋の民族音楽に注目したり、既存の音楽理論の正解を否定するような実験が推奨されています。 狭義のクラシック音楽の美学は19世紀ヨーロッパのブルジョワ階級による視点であり、帝国主義の植民地支配に深く関係するものであったことは間違いありません。これまでの史観では民

「ゴシック」ってにゃに? 建築、文学、美術、書体そしてゴスロリ

「週末のアート」マガジン日頃は、デザインについての記事を書いていますが、週末は、アートの話を書いています。アートとデザインは別物ですが、アートがデザインに及ぼす影響は大きいので、アートについても何かと抑えておくと(デザイナーにも、デザイナーじゃない方にも)便利です。 ゴシックゴシック(英: Gothic)は、もともと12世紀の北西ヨーロッパに出現し、15世紀まで続いた建築様式を示す言葉でした。しかし、この言葉は、絵画や彫刻など美術全般の様式にも適用され、それを「ゴシック美術

女性作家-ラ・ヴォーン・ベルと植民地時代のアート

女性作家-ラ・ヴォーン・ベルと植民地時代のアートラ・ヴォーン・ベル(La Vaughn Belle,1974- /米領バージン諸島出身の現代アーティスト) そのコンテンツは、ドローイング、絵画、木工品、陶器、写真、ビデオなど、さまざまなメディアが使われている。 La Vaughn Belle デンマークで最初の黒人女性の記念碑「I Am Queen Mary」ラ・ヴォーン・ベルは、デンマークで最初の黒人女性の公共彫刻(記念碑)、*メアリー・トーマス(Mary Thomas

歴史の中に埋もれた事象を発掘するアート

絵の描かれていない大きなボードが、美術館の壁に所狭しと掛けられています。Tokyo Contemporary Art Award (TCAA) 2020-2022 受賞記念展の藤井 光さんの展示です。 日本人が観ることのできなかった「日本の戦争美術展」 1946年8月21日から9月2日まで、上野の東京都美術館で「日本の戦争美術展」という展覧会が開かれました。アメリカ合衆国太平洋陸軍が主催した展覧会で、占領軍関係者のみが入ることのできる展覧会でした。ここで展示されたのは、藤

絵画の歴史 その2ルネサンス期(14c)から写真の誕生まで

「絵画の歴史 その1」では人類の誕生から振返ってみましたが、ここでは我々が美術館などで鑑賞できる絵画について振り返ってみます。 ルネサンス期における絵画の目的古い絵画のイメージとして、宗教画があると思います。イエスキリストなどが描かれている絵画ですね。 宗教画が描かれた目的は、端的に言うと、その宗教の信仰を広めるためです。聖書といった経典があったわけですが、当時は文字が読める人も少なかったので、聖書に書かれていることを知らせるための1つとして、絵に表現して理解してもらう必

絵画の歴史 その1ラスコー壁画からルネサンス期まで

ちょっとアートを考えるにあたって、そもそも絵画の歴史を少し振返っておきたいと思います。そもそも過去はどのような思いでアート作品を作成してきたのかとか、アートに何が求められてきたのかとか、技術革新がアートにどのような影響を与えてきたのかなどを考えることは、自分の創作活動にも役立つような気もします。 最も古いアートはラスコー壁画?世界史の初めに勉強する人類(旧人類・ネアンデルタール人)の誕生が50万年前ぐらいと言われていますので、そのころから気が赴くままに落書きとかしていたと思

浮世絵の象たちをご紹介いたします

現代人にとって、動物園やテレビで見慣れた動物である象。浮世絵にもしばしば登場するのですが、本来、象は日本には生息しない動物です。今回は江戸から明治にかけて象を描いた浮世絵をご紹介しながら、当時の人々にとって未知の動物である象が、どのような存在であったかも見ていきたいと思います。 北尾重政「江口の君図」寛政1~10年(1789~98)頃 絹本着色 一幅 白い象に乗るのは、謡曲『江口』で知られる遊女。『江口』は、西行法師が摂津国の江口で遊女と歌問答を行ったことや、遊女が普賢菩

「ロココ様式」って一体何か、知っていますか?

ビジネスに使えるデザインの話「人生とビジネスに役立つデザインの話」マガジン。グラフィックデザイン、書体から建築までビジネスに使えるデザインの話を扱います。 「ロココ調」の「ロココ」は美術様式「ロココ調」……聞き流して、見流してきたんですが、え?何?それと突然、その正体が知りたくなったりしませんか?「いや、なんとなくは知っているんですよ」と思うも、「なんとなく」というベールは剥がせない。ということで、剥がしてみることにしました。 ロココを語るのが、少し面倒な理由ロココを理解

アール・ヌーヴォーとアール・デコの違い

火曜日なので人生とビジネスに役立つデザインの話。今回はインテリア・デザインにでてくるアール・ヌーヴォーとアール・デコの違いについて。 どっちが先?アール・ヌーヴォーが先で流行したのは19世紀末から20世紀はじめごろ。アール・デコは、1910〜1940年ごろに流行しました。アール・ヌーヴォーが先。アール・デコがあと。 アール・ヌーヴォーとは アール・ヌーヴォー作品 アール・ヌーヴォーとはフランス語で「Art nouveau」と書きます。意味は、「新しい芸術」。ヌーヴォー

「バロック」様式と何か?

ビジネスに使えるデザインの話デザイナーではない方に向けた、ビジネスに役立つデザインの話マガジン。グラフィックデザイン、書体から建築まで扱います。毎週火曜日7時に更新。 冒頭のまとめ バロック様式とは? 前回「ロココって何?」という記事を書きました。 今回は、ロココ様式が発生する前の時代のバロック様式について紹介していきます。 いつの時代?16世紀から17世紀。16世紀は日本では、室町時代後期(戦国時代)、安土桃山時代あたりで、戦国大名たちが乱立する状態になっていまし

日本のアイドルの歴史を年表でまとめ|1970年代〜2021年までの流れを徹底解説

日本の音楽を振り返るうえで「女性アイドル」は外せない。日本音楽シーンを席巻してきた「歌謡」とはまた違う。アイドルはアイドルだけのカルチャーを築いてきた。 以前の記事でもさらっと触れたが、私は数年前まで女性アイドル雑誌で書いていた。もともとまったく興味がなかったのだが、メジャーにもインディーにもインタビューをしていくうちに「あ、これはハマるな」と気持ちが分かった。 インタビューの現場はだいたいアイドル、マネージャー、カメラマン、私くらいだ。でも彼女たちはステージ上と同じなの

ティシオ・エスコバル:アートの普遍性を問う「アルテ・インディヘナ」

私が在籍するエクアドルの大学院のクラスメートに、アメリカからの留学生が一人いる。彼女は学部時代、アメリカ合衆国の大学で美術史を勉強し、アメリカ大陸の先住民のアートに興味を持っている。学部時代のある授業で、彼女が先住民のアートの話をすると、「それは工芸だ」とクラスメートたちに批判された。彼女はそれでもアートの文脈で考えようと議論しようとしたが、それに対して2人の女子クラスメートが「工芸をアートとして語るのはアートへ冒涜だ」と主張した。 今でもインディヘナ(先住民)は自分たち作