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"教育系" note まとめ

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"教育系" noteのまとめです。
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#毎日note

「ZEN大学(仮称・設置構想中)」と数学への本気具合が凄まじい

先日、N高等学校を運営するドワンゴが日本財団と共同で運営する「ZEN大学(仮称・設置構想中)」(以下「ZEN大学」)の設置に関するプレス発表が行われました。 「ZEN大学」私立通信制大学で、2025年4月の開学を予定しているそうです。 設置学部は「知能情報社会学部」の1学部のみで、全ての授業がオンラインによる映像授業で行われ、通学の必要は無いとしています。 現在においても通信制の大学は国内に複数存在しますが、それらの多くは社会人の学び直しやリスキリングに利用される側面が

WBCの決勝戦を授業で見せることの是非

先日、日本チーム(侍JAPANという呼び名を使うのは個人的には恥ずかしい…)の優勝に終わったWBCの決勝戦に関して、教員界隈のSNSでは話題になっています。 決勝戦は3/22の月曜日の午前中であり、小中学校は終業式前であり、この時間に授業があった学校も多いようです。 WBCを授業中に見せたことへの賛否その授業時に試合を生徒に見せた(という体で自分が見た)クラスが存在したようです。 このような否定的な意見がかなりの数、見られました。 (とはいえ「辞職してください」は言いす

「予習」と「教材研究」の相違から小学校課程の学びや指導を共通テスト対策に生かしたい、という管見

教員の日々の業務の重要なものに「教材研究」と呼ばれるものがあります。 これは授業に関して知識や理解を深めるために行うもので、業務であると同時にある種のスキルアップでもあります。 近年は教員の多忙さから「教材研究」の時間が取れない、といった問題が噴出しており、これが公教育の質の低下につながるとも言われています。 「予習」と「教材研究」の違いこう聞くと、門外漢の方はそれは「教材研究」とは授業の予習のことか、と考える人も多いでしょう。 実はこの2つに関しては明確な定義もなく

過不足が双方乱立する国語のデザイン

 my note において、この頃は一層、《一緒くた》や《チグハグ》というワードがヘビーローテーション化しているのか?という様相です😵‍💫  世間に多くの「なんで、そうなっちゃうの?」が目白押しな感じなので、ネタが尽きませんね💧  という流れで、今回は《チグハグ》な一例を☝   ◆◈◆◈◆◈◆◈◆◈◆    国語の話です。  『ら抜き言葉』ってご存知ですよね?詳しく解説しようとするまでもないですが、要は、 必要な語(文字)を欠落させて/端折ってしまう態度の一例です

「型にはめる」の再考 - 息子の小学校入学を迎えて思い出した水泳大会

小学校入学🏫 子にとっても親にとっても人生で大きなイベントです。 (新しい環境に適応できるかな。) (新しい友達ができるかな。) (先生とお話ができるかな。) 初日のオリエンテーションを控え、5歳児ボスも緊張が隠しきれませんでした。 (*イギリス系のインターに入学を決めたので、一年早い入学です。) どこに行っても一瞬で友達を作ってくるボスでさえ 小学校入学はかなりのストレスがかかっているようでした。 先生から言われていた言葉を私がてっきり忘れ、初日のドタバタでボス

「分かりやすい授業」の是非について考える

学習者にとって授業が「分かりやすい」という要素は極めて重要です。 自分自身が中高生であった時分も、あの先生の授業は分かりやすい、この先生の授業は分かりにくいという評価を仲間内でしていました。 こうした様子は現代の中高生も変わりません。 それどころか、大手予備校の講師の授業をオンラインで知る彼らの目はさらにシビアになっており、評価基準も20年前よりも厳しいものとなっています。 ところが、授業者、教員側からの意見ではこれと全く逆の意見をよく見かけます。 「「分かりやすい

【読書メモ】組織学習の定番テキスト!:『コア・テキスト 組織学習』(安藤史江著)

キャリア理論を研究していると、ついつい個人を主体として事象を捉えてしまいますが、組織という面で捉えることも重要です。本書では、組織における学習という学習論とも密接に関連する内容を扱っているので学びになることが多い良書でした。組織学習に関する定番のテキストと言える存在で、こういう本で読書会をしたいものです。 本書については、中原研博士課程の先輩である東南さんが以前にまとめていらっしゃいます。東南さんのnoteは、本書の全体像を俯瞰されていてかつわかりやすいので、以下をまずはお

超進学校に見る「社会的学習理論」をいかに普通の学校に持ち込むか

超進学校という存在が世の中には存在します。 私の住む九州では「久留米附設」などがその代表例でしょう。 全国で言えば、「灘」、「開成」、「筑駒」、「日比谷」、「北野」など私立、公立を問わず超進学校と呼ばれる学校は数多く存在します。 東大や京大、医学部などの合格者を多数輩出する学校でもあります。 では、どうしてそういった学校は優れた進学実績を誇っているのでしょうか。 「カリキュラムが優れている」「カリキュラムが優れている」ということが進学実績の理由であると考えるのは自然

日本の教育に新風を吹き込む(かもしれない)学校

新指導要領や小学生の英語必修化、PBLやアクティブラーニング、入試改革など日本の教育制度を変えようとする動きが盛んです。 もちろん、日本中の地域の小中高校でも名もない学校が独自の取り組みや改革に挑戦しているのは想像に難くありません。 しかし、そんな中でも非常に特色のある教育を行っている学校が近年は増えています。 教員を職業とする人間として、あるいは就学前の子供を持つ保護者として興味深い新設(予定)の教育機関をまとめてみたいと思います。 「軽井沢風越学園」この話題で取り

「三角関数不要」発言とその議論を整理する

数学担当者として、やはり最近Twitterで盛り上がっているこの話題は触れずにはいられません。 今日はこのことについて考えていきたいと思います。 国会・財務金融委員会での野党議員の発言要約すると、国会議員が委員会において三角関数よりも金融経済を教育すべきではないか、という旨の発言をしたというものです。 私も過去記事において、「なぜ数学を勉強する必要があるのか?」という記事を書いていますが、今回はこれを深掘りをしていきたいと思います。 論点の整理上記事において、二つの視

「笑顔なんて、何の役に立つんですか?」という問いに即答した忘れられない先生の一言。

忘れられない先生の一言。 今回は、そんな話をしてみようと思います。 「素敵な笑顔だね!」 小さな頃からそんな声かけをして頂くことが多くありました。 そのおかげで、周囲の大人や学校では先輩から可愛がってもらえるようなことも多く、中学生くらいまでの間は、良好な人間関係に恵まれていました。 ところが、高校に進学すると同級生が200名以上いるという環境に馴染めず(中学校は、2クラスしかなく全員が顔なじみという状態でした)、クラスでも大人しく過ごすようなことが多くなりました。

授業中に水を飲むことを「許可」するか

たびたび教員界隈で問題になる話題なのですが、授業中の水分補給に関して私見を述べたいと思います。 むしろ、授業中に水を飲むべき科学的、医学的観点から水を飲む行為は推奨されています。 厚生省のHPにも記載があるように、室内でのテレワークなどでも水分補給が重要で、のどの渇きを感じる前に水分を摂ることが推奨されています。 また、マスク生活においては呼吸数や体感温度が上昇し体に負担がかかるため、なおさら水分のこまめな摂取が必要との見解を出しています。 今と昔、教員の肌感覚といま

なぜ地方の進学校は、地方国公立大学進学を勧めがちか?

最近、YouTubeなどでも度々話題になるこの話に触れたいと思います。 私は地方の私立進学校に勤務しています。いわゆる自称進学校と呼ばれることも多い学校かもしれません。 さて先日noteでよく見る「でまち」さんの記事に以下のようなものがありました。 要約すると、「地方の進学校の教員は地方国公立大学への進学を勧めがちだが、自分でよく調べよう。個人的には就職に有利な都会の私立大学がおすすめ。」といった内容です。 これに関して、地方の進学校の、一応は進路指導を担当している立

「自由には責任が伴う」わけがない

新学期の時期となりました。 この時期になると、新年度のHRなどで教育観などを開陳する教員の方も多いのではないでしょうか。 その中でよく聞くフレーズで、かつ個人的に賛同しかねるものがあります。 それが「自由には責任が伴う」という言葉です。 言葉の出典この言葉の出どころはどうやらフロイトのようです。 この自由と責任の説教は私が中高生のときから嫌というほど耳にしてきました。 そして、教員となった今もこの言葉を深く考えずに口にする教員は多いようです。 しかし、本当に自由