東北地方の石造物㉒:紅葉山公園宝塔

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名称:紅葉山公園宝塔

伝承など:なし

所在地:福島県福島市杉妻町 紅葉山公園


現在の福島県庁はかつての福島城の跡地で、県庁内には江戸時代の土塁の一部が現存している(三枚目)。

県庁に隣接する紅葉山公園は旧福島城の二の丸であるが、公園内には鎌倉時代中期の宝塔がある。

この宝塔は、福島城の前身である大仏城(後に杉妻城と称され、戦国期には伊達晴宗の隠居城であった)跡から出土し、かつては土塁の上にあったと言うが、後に公園内に移設された。

大仏城築城以前には、この地には杉妻寺と言う寺院があったと言い、この宝塔は同寺にあったものと推測される。

現状は塔身と基礎のみで、笠と宝珠は復元されたものであるが、基礎には鎌倉時代中期の弘安六年銘があり、これは東北地方の在銘宝塔としては最古の事例で、かつ平泉周辺に残る特殊形式の宝塔(「有頸五輪塔」とも呼ばれる)を除けば、唯一の鎌倉期の宝塔である。

孤立的な事例であるため、この宝塔がどのような経緯で造立されたのかはわからないが、数少ない東北の在銘宝塔の事例として貴重である。

なお、私が紅葉山公園を訪れたのは十年近く前で、その際には公園内が東日本大震災の影響を受けての除染作業中であったため、遠目でしか宝塔を確認することが出来なかった(二枚目)。

今回一枚目に掲載した写真は、その後訪れた知人から提供を受けたものである。


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