僕はケンタに恋をした。①(ケンタとの出会い)
今回は旅の話でも、大阪の話でもないのですが、どうしても書き留めておきたかったので、書かせて下さい。
※※※
今から17年前・・・話はまだ中学生の私にさかのぼる。
小学、中学、高校、大学と過ごしてきたが「一番楽しかったのは?」と聞かれたら間違いなく「中学時代」と答えるだろう。
その楽しかった記憶を作ってくれた大きな要素に、1人の同級生がいる。
その名はケンタ。
ケンタは中学1年の春に、同じ市内の別の地域から引っ越してきた。
入学式の後、クラス分けの掲示を見て指定された教室へ。
自分が通った中学校は3つの小学校から集まり、同じ小学校出身の友達と会話をしながら周りを見渡すと、1人異彩を放っていた生徒がいた。
それがケンタだった。
長谷川健太という昔活躍したサッカー選手から名前をもらったのか、サッカーがとってもうまくて、セレクションで難関の地元プロサッカーチームの下部組織にも入り、平日は学校が終わったら電車に乗って練習に通っていた。
ケンタはただサッカーがうまいだけでなく、ビジュアルも良くて、頭も良い。
そして何よりもとっても優しい。
もう完璧だった。女子だけでなく男子からも慕われ、引っ越してきたとは思えないほどクラスに溶け込み、気付くとクラスの人気者になっていた。
一方、自分は運動は苦手で吹奏楽部へ。ビジュアルも決して良いとも言えない・・・なので、ケンタが自分の対極にいるような気がして、一方的な憧れを持っていた。
そんな私にもケンタは優しく接してくれたのと、ケンタも自分に心を開いてくれたこともあり、毎日学校に行くのが楽しみになっていった。
自分は男だしゲイではないけど、ケンタを好きになる女の子の気持ちが分かるような気がする。
そして、自分も次第にケンタの魅力に引き込まれていった。
ケンタとはサッカーが休みの日に出かけたこともあった。
今でも良く覚えているのが、一緒に服を買いに行った日のこと。
電車を乗り継ぎ、自宅から30分ほどの場所にある大きなショッピングモールに行くことになった。
当時の私は「自分で服を買う」なんてことはしたことがなく、母親が買ってくる服を着るという、今考えると恥ずかしい(当時は当たり前だったけど)ような服装をしていた。
待ち合わせの駅に現れたケンタはオシャレで「親が買った服ではない」ことは一目瞭然。
自分が着てる服が恥ずかしかったことを良く覚えている。
学校以外で会うことの嬉しさと、自分の私服の恥ずかしさを感じながら電車に揺られショピングモールへ。
そこのモールは総店舗数が400以上と地域の中ではかなり大規模で、休日だったのでとても賑わっていた。
いくつかお店をフラフラして、たどり着いたお店がJEANS MATE
知らない方にJEANS MATEとは・・・
ジーンズメイトはジーンズを中心としたリーズナブルなカジュアルウェアを豊富に取り揃えています。いつでも、誰でも気軽に楽しく、安心して買い物ができるショップです。 (JEANS MATEホームページより)
今の私にとってはライトオンと同じような感じのような印象だが、当時の私にとっては、もうお店全体がオシャレでどれもかっこいい!!!と新鮮だった。
(そりゃそうだ。母親が買う服とは全く違ったのだから、、、)
当時は確か母親に「服を自分で買ってみたいからお金ちょうだい!」と言い、親から1万円くらいもらったような気がする。
ただ、初めて自分で服を買うので何を買えば良いのか迷っていた・・・
ケンタはセンスが良いので次々と服を選ぶ中、自分はどれを買おうか店内をフラフラしているばかりだった。
「そろそろ行こっか!おなかすいたし!」
確か、ランチ前だったのかな。ケンタがそんなことを言ったのを覚えている。
(よく17年前のことを覚えてるなぁと自分でも関心してしまう。それだけ印象的な出来事だった)
私はこんな素敵なお店にケンタと来れたこと、そこで何も買わないで帰るなんてありえない!!!と思い、とっさに買ったもの。
それが当時流行っていた七分丈のスボン。
もう適当に手に取り、お会計へ向かった。
とりあえずオシャレなお店でケンタと服を買えて良かった!
これで自分もオシャレの第一歩だ!ケンタと同じお店で買ったんだぞ!
と、幸せな気持ちだけで家に帰ったのだった。
が
家に帰って母親の前ではいてみせた時・・・母親からは
「うーん、ちょっとダサいんじゃない???」
その通り。足があまり長くない私にとって七分丈はとても微妙な長さで、くるぶしソックスもあまり出回ってなかった時代、もうダサくてダサくて仕方なかった。。。
鏡の中に写る自分を見て、一気に現実に引き戻されたあの時の光景は今でもよく覚えている。
確か7000円くらいしたのだが、一回もはかずに友達にタダで譲ることになったこともよく覚えている。
そんなこんなで、ケンタとは学校だけでなく、プライベートでも仲良くなっていった。
それは、いつまでも続くと当然のことに思っていた。
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