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ヨーロッパの映画

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「愛と激しさをもって」恋愛心理を濃密に描いたまさにフランス映画。

「愛と激しさをもって」恋愛心理を濃密に描いたまさにフランス映画。

「愛と激しさをもって」(2022年)は人気女優J・ビノシュの主演。監督C・ドゥニがベルリンで銀熊(監督)賞を受賞した作品。
言ってみれば、現在と昔の恋人との三角関係のハナシだが。
この雰囲気、まさにフランス映画。ビノシュとバンサン・ランドンの心理、葛藤、愛憎がとても濃厚に描かれて、苦しくなるほどだ。
ハリウッドの映画人たちが撮ったら、こんな感じにはならない。愛憎よりも性欲ばかり強調され、セックスシ

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「モーリタニアン 黒塗りの記録」グアンタナモ収容所を告発したすごい作品

「モーリタニアン 黒塗りの記録」グアンタナモ収容所を告発したすごい作品

「モーリタニアン 黒塗りの記録」2021年のイギリス映画。
グアンタナモ収容所に収監されたモーリタニア人の青年と、彼を救うべく奔走する弁護士たちの実話で、すごい。
こういうことを現代のアメリカという国はやるんだ。この映画はアメリカでとられなかったが、イギリスで撮られることを妨害しなかった。というか妨害するほどの力がもはやなかったということか。
この青年は25年の後釈放された。アメリカ政府は謝罪して

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「ONODA 一万夜を越えて」フランス人がこの作品を作ってくれた。

「ONODA 一万夜を越えて」フランス人がこの作品を作ってくれた。

「ONODA 一万夜を越えて」(2021年、フランス・ドイツ・ベルギー・イタリア・日本合作)は、小野田少尉が終戦から30年後に日本に帰還するまでを描いた作品。
なんとフランス人のアルチュール・アラリが監督。驚いた。重厚で、胸が締めつけられるような重い内容だ。
なぜフランス人が、という興味が当然あったが、このインタビューを読んでわかった。

https://www.banger.jp/movie/6

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「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」は素晴らしいミュージカル。

「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」は素晴らしいミュージカル。

「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」(2023年)は素晴らしいミュージカル。原作者も監督も英国人だからディズニーとはちょっと違う。とっても英国ぽくて品がある。
6月に「リトルマーメイド」を観たときも思ったけどど、オペラはミュージカルに敵わないね。子供も大人もすべての人をこんなに夢中にさせちゃうんだから。
連日テレビをつけると戦争の悲惨なニュースがあふれている今、わたしたちにはこういう作品が必要

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ドイツの人たちは「コリーニ事件」をどう観たんだろう

ドイツの人たちは「コリーニ事件」をどう観たんだろう

コリーニ事件 (ドイツ 2019)
マルコ・クルイツパイントナー監督

1968年に施工されたドーレアー法は、ナチ犯罪に加担した法律家、軍人が行った犯罪の時効を短縮させた。これにより多くの法律家らが訴追を免れ、公職追放を免れた。
その問題を告発した弁護士で小説家によるベストセラー小説の映画化作品。
思想信条にかかわらず、社会派サスペンス、或いはリーガルドラマとして見応えがあり、誰でも楽しめる。

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「キーパー ある兵士の奇跡」でフレイア・メーバーに首ったけ

「キーパー ある兵士の奇跡」でフレイア・メーバーに首ったけ

2019年バイエルン映画祭最優秀作品賞の「キーパー ある兵士の奇跡」が良かった。
マンチェスターシティで活躍した実在のサッカー選手、バート・トラウトマンの伝記映画。第二次世界大戦で捕虜となったナチス兵だったが、終戦後のイギリスで、やがて国民的ヒーローとして敬愛されていく感動のストーリー。
どんな困難にも立ち向かっていく男の不屈の魂。戦争が生む国家、国民の間の憎悪。でもそれらを乗り越える力が人間には

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ライフ・イズ・ビューティフル

ライフ・イズ・ビューティフル

名前を思い出せないが、ある歌手がこの映画を見て深く感動したと語っていたので見よう見ようと思っていた。BS3で先週やったのでさっそく見たら、その通りすごい名画だった。

最近見た映画。ベルファスト、とんび、ファンタスティック・ビーストなど

最近見た映画。ベルファスト、とんび、ファンタスティック・ビーストなど

このところ映画づいている。暖かくてテニスのない日はグランベリーシネマまで歩いて、映画を見るっていいもんだ。

ベルファスト、とんび、ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密。
ベルファストは北アイルランド紛争のこと。宗教が違うことでこれほどの憎悪、残虐が行われるのだ。
とんびは安倍寛、安田顕らの演技で泣いたし、中国地方の言葉が心地良買ったが、実は原作重松清は泣かせやだから作り話だろうって気

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ガイ・リッチー監督の作品は訳わからんけど面白い、って皆んな言ってる

ガイ・リッチー監督の作品は訳わからんけど面白い、って皆んな言ってる

ガイ・リッチー監督の「ロックンローラ」(2008)、「リボルバー」(2005)を続けて見た。
2本ともなんかハラハラドキドキして目が離せないシーンが続くんだが、そのうち何の話かわからなくなって、ブルーレイレコーダーを止めては巻き戻すがやっぱりわからない。そのうちにエンディング。
Filmarksでレビュー見たら、“わからん、ついていけん、理解不能、でも面白い”って書いてから、ああどれでもいいんだっ

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ミケル・ノガール監督「特捜部Q」シリーズがすごい!

ミケル・ノガール監督「特捜部Q」シリーズがすごい!

デンマーク映画「特捜部Q」シリーズの「檻の中の女」「キジ殺し」がすごい。
重くて暗いサスペンス。取り組む未解決事件も陰惨。ハリウッドとはちょっと違うこの感じ。北欧サスペンスっていうのかな。
事件を追うカールの己の地位も命も省みず、悪事は許さないという行動、執念に圧倒されドラマに引き込まれる。

「英国王のスピーチ(2010)」を撮らせた英国、王室、国民の懐の深さ

「英国王のスピーチ(2010)」を撮らせた英国、王室、国民の懐の深さ

NHKがBS3で「英国王のスピーチ(2010)」を放映することを決めたのはいつなんだろう?
ぼくは2010年当時見ていた、はずだけどまったく覚えていなかった。
エリザベス女王の父親のジョージ6世が吃りで、こういう苦難を乗り越えて、王位についたのだと。
ヒトラーがヨーロッパを支配し始めていたあの時代に。

アカデミー賞4部門受賞も頷ける素晴らしい映画で心を揺さぶられた。
が、エリザベス女王の死の十何

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「あなたを抱きしめる日まで」アイルランドカトリック教会の驚愕の事実

「あなたを抱きしめる日まで」アイルランドカトリック教会の驚愕の事実

「あなたを抱きしめる日まで」(2013年、英)はイギリスでベストセラーとなったマーティン・シックススミスによるノンフィクションを映画化した作品。
1950年代カソリック修道院は出産した男の子を勝手にアメリカの裕福な家庭に養子に出し、母親と切り離していた。ひとりの母親が50年後に息子を探すハナシ。
こんなことをアイルランドのカトリック教会が行っていたとは驚く。
監督は「クィーン」のスティーブン・フリ

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ミア・ハンセン=ラブ監督「それでも私は生きていく」とてもフランス人映画らしい。

ミア・ハンセン=ラブ監督「それでも私は生きていく」とてもフランス人映画らしい。

ミア・ハンセン=ラブ監督「それでも私は生きていく」(2022年)はカンヌでヨーロッパ・シネマ・レーベル賞。
仕事や子育て、老父の介護に追われる多忙なシングルマザーが、新たな恋に巡り合うハナシ。
どこにでもあるモチーフ。日本人監督ならどんなふうに撮ったかなとふと考えた。
老人ケア施設の様子はほとんど日本と同じだったが、主人公サンドラと一緒に、20年前に離婚した元妻の母親が再婚した夫と、元夫の面倒をみ

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ジャック・オーディアール監督「パリ13区」これがパリ、パリの人々なのか。

ジャック・オーディアール監督「パリ13区」これがパリ、パリの人々なのか。

ジャック・オーディアール監督「パリ13区」(2021年)はフランスの現代社会を描いたんだろう。都市に生きるフランス人たちの仕事、家族、恋愛、セックス....。わかるような、わからないようなフランス人。
オーディアール監督は“ディーパンの闘い”でパルムドールのほか、“真夜中のピアニスト”、“預言者”、“君と歩く世界”などで数々の受賞をしている、んだが見てない。
モノクロームの映像は美しいが、これがパ

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