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私文「書き置きをする」

ネットに公開した情報が、データの集合の一片になって、いつまでも保持されることを、とても危ういと思っています。

それでも、残るということを活用させて、こうして記録を作って遊んでいる、とも言えます。

自分に出来ることは僅かしかないけれど、さしあたって、遺したいことを書き事にしたり、遺したいものを写真に写しています。

たとえば、誂えた料理をお題にして、自分なりの料理の準備と手順を書き付けて、写真に撮って。

どれもこれも拙いけれど、それは自分にとって大切なこと、ささやかな物作りです。作ることで遺って、作らなければ遺らない。

作り事の仕込みに没頭していることが、作り手の愉しみです。しみじみと思います。

思えば、歳を取りました。生きていくことには、称賛も喝采もなくて、聴こえるのは、老いた自分の鈍い足音だけ。そう思っていたら、家のネコたちの声と足音も聴こえます。

こうして、静かに暮らしていたということを遺しています。

-オワリ-   文・写真/スカーラ主人


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