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あの流行語の元ネタ!ゾンビコメディの元祖「バタリアン」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(475日目)

「バタリアン」(1985)
ダン・オバノン監督

◆あらすじ
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1969年、軍人病院の薬品事故が原因で死体が次々に蘇生してしまった。ゾンビは長年極秘保管されていたが、ある日そこで働くフランクたちが不老不死のゾンビ「バタリアン」を蘇らせてしまう。ゾンビたちは人間の脳みそを求めて街中で暴れ出し…。(公式より引用)
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ゾンビ映画界の巨匠ジョージ•A•ロメロ監督による不朽の名作「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」(1968年)のパロディ作品であり、原題は「The Return of the Living Dead」です。邦題の「バタリアン」は配給会社の東宝東和によるオリジナルです。

“Battalion”は大群や大隊という意味で、
1989年の新語・流行語大賞で流行語部門の金賞に選ばれた「オバタリアン」(あつかましいおばちゃんのこと)の元ネタとなっています。

漫画化、アニメ化もしています。
ちなみに主人公の絹代を演じているのは片岡富枝さんです。

一貫したおバカなノリとテンポの良さで、本来は恐怖の対象であるゾンビとそのゾンビに翻弄される人々をコミカルに描き、いわゆるゾンビコメディ映画の元祖とも呼べる作品です。

なんでも日本公開時、地方によってはシュワちゃん主演の「コマンドー」と同時上映されていたそうです。

現在、U-NEXTで配信中です。
私はTSUTAYAのレンタルにて視聴しました。

ダン・オバノン監督曰く、「シリアスな世界観はジョージ•A•ロメロ監督にまかせる。ロメロの世界は荒らしたくない」とのことでコメディ方面に舵を切ったそうです。また「小さなチャレンジが塊となって転がり回ってた」というコメントがとても印象的でした。

こんなのが会社の地下にあったらそりゃあ覗きますよね。

「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」は実話で、この映画も真実なので名前などは全て実名です

という導入からすでにコメディですが、脚本は非常に秀逸で、“ユニーダ医療会社のフランクたち”と“墓地でハメを外す若者たち”の2つの視点でストーリーが進み、後々合流してからは思いもよらぬトンデモ展開が繰り広げられる素晴らしい構成です。
ゾンビが増殖してしまう流れは非常にアホですが一切無理がなく、また墓地から大量のゾンビが蘇るシーンはそのロック調の音楽も相まって非常にキャッチーな仕上がりでとても印象的でした。

そしてまともなヤツ一人もいないのかよ!とツッコミたくなるおバカなラストは必見です(笑)

首を切り落とす、頭部破壊、燃やすなどが一切通用しないゾンビは非常に斬新で、しかも揃いも揃ってゾンビのキャラクターが濃いです。

あまり予算がなかったらしく、大群で現れる際はよく見るとほぼノーメイクの人がいたりします。

死んでいることへの痛みを全身で感じており、それを和らげるには鎮痛作用のエンドルフィンが含まれる人間の脳みそを食べる必要があるため、常に人間を襲おうと行動します。

拘束されているゾンビ(オバンバ)の吹き替えを担当したのも片岡富枝さんです。

ちなみにゾンビたちが作中で貪っていたのは“牛の脳みそ”(もちろん食用)で、その見た目から誰も食べたがらなかったので食べてくれたゾンビ役の俳優には特別手当が支給されたそうです。

無線で警察や救急車を呼ぶ知能の高さ、猛ダッシュもできる高い身体能力を誇ります。

超細身の俳優アラン•トラウトマンが演じたゾンビのタールマンはその不気味な見た目とぎこちない動きでとてつもないインパクトを残しており、シリーズ屈指の人気ゾンビとなっています。

タールマン

DVDにはダン・オバノン監督とプロダクションデザイナーのウィリアム•スタウト氏による副音声が収録されており、

フランク役は当初オバノン監督自らが演じる予定だった、解剖用死体からヒントを得て死体を黄色にした、予算節約のためオフィスの倉庫で撮影した、ガスを黄色にしたかったので硫黄ガスを使用したら悪臭過ぎて皆体調を崩した、発注したのと全然違う色の衣装が届いた、気が短いクルー・ギャラガー(バート社長役)は些細なことで監督を殴ったなど

眉唾モノの情報がわんさか語られます。

監督を殴った(らしい)クルー・ギャラガー

個人的には
フレディのジャンパーの背中に「F〇CK YOU」と書かれていたため、テレビ放送時は「テレビ版」という文字に加工した
というエピソードが緩い時代を象徴しており好きです。

要所要所で主に「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」などのパロディが散りばめられており、ホラー好きには堪らない仕様となっています。オススメです!

☆この度ホームページを開設しました!
もしよかったら覗いてやってください。

渋谷裕輝 公式HP↓


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